1月頭の島根温泉巡り、続き。
池田ラジウム鉱泉 を後にして向かったのが今宵の宿、小屋原温泉「熊谷旅館」。
この旅館、実は温泉好きになった頃からずっと気になっていた宿なのである。
理由は単純で、ぼくの苗字と旅館の名前が同じってところ。
それと、全国の温泉好きがわざわざ訪れる魅惑の湯があるというところ。
ようやく願いがかなったのは2008年だったが、その日は宿泊を断られたため立寄りのみとなった。
2~3組しか泊まれないという意味ではなかなか宿泊のハードルも高め(宿代は安めだが)な宿なのである。
また立寄りだと4つある浴槽のうち1つしか入れない。
全浴槽を楽しむにはやっぱり宿泊をするしかないのだ。
2008年に宿泊を頼もうとして予定の前日に電話したときは、あっさりと断られた。
電話応対はかなりそっけない。
今回は2ヶ月ぐらい前に電話をし、自分の苗字を告げるとその瞬間に打ち解けた感じに![]()
そう、女将さんの熊谷十之子さんは、実はとっても気さくで温かい人だった。
訪れて、その思いはさらに強くなった。
小屋原温泉 「熊谷旅館」
小屋原温泉の開湯は200年以上前とのことだが、建物には一部を除いて歴史を感じさせる趣はない。
はっきり言ってかなり素っ気ない建物ではある![]()
今回高齢の両親同伴とあり、色々迷惑をかけるかもしれないと思って事前に手紙を出しておいた。
そのこともあってか、案内を乞うと十之子さんと娘さん二人で両親を背負って運びそうなぐらいの勢いの出迎えをしていただいた。
ホント、ありがとうございました。
部屋は2Fの階段から一番近い部屋。
階段の上り下りぐらいは両親も大丈夫だったので、特別に暖房を増やしてもらったその部屋は簡素ながら快適であった。
とにもかくにもまずは風呂である。
上で触れたように、浴室は4つ。
それぞれ源泉が違うような表記をしてあることもあるが、源泉は1つである。
自然湧出で30.8リットル/分しかない。
源泉温度は37.8度でこれを大事に加温することもなく、それぞれの浴槽へ完全にかけ流しているのだ。
よって浴槽はどれも小さく、家族風呂が4つという構造になり、どれも貸切で入ることができる。
源泉の湯口のほかに蛇口がついており、加温された白湯を投入することもできるので、どうしてもぬる湯で抜け出せない場合は温度を上げることは可能になっている。
普通の宿みたいに各浴室に名前などは付いてないが、便宜上手前の浴室から第一の湯~第四の湯と名づけることにする。
だがこの日は第四の湯が何と使用できなくなっているではないか![]()
ここは唯一の木製浴槽の浴室なのだが、十之子さんに確認したところ、冬は源泉を4つに分けると投入量が少なくて冷めやすくなってしまうので、3つに限定しているとのこと。
入れない源泉があるわけでないので、納得了承![]()
さて、源泉は同じとしながら源泉からの距離と自然湧出具合でそれぞれの浴室の湯の表情が違うのが小屋原温泉の面白さである。
泉質は含二酸化炭素-ナトリウム・マグネシウム-塩化物・炭酸水素塩泉として知られているが、新しい方の分析表だと単にナトリウム-塩化物泉となっている。
これは単に成分が減ってきたというよりは、分析したときの湯がたまたまそうだったと考えた方がよい。
というのも翌朝まで何度か3つの浴槽ともリピートしたが、入るタイミングで泡が付いたりあまり付かなかったりなど、印象が変わった実感があるためだ。
と言うわけで、それぞれの浴室に分けて紹介する。
<第一の湯>
第一の湯の一番の特徴は湯の花の量だった。
湯に浸かった瞬間、まるで入湯を祝福してくれたかのようにオレンジ色の湯の花が大量に舞い上がった。
金気臭があり、炭酸の苦酸味がある。
鉄味と微塩味もあり、全体で白くささ濁っている。
泡も付くがそれほどの量ではない。
スベスベ感もある上に炭酸の泡のシュワぷち感もある。
3つ全ての浴室に言えるが、析出物と色素の沈着がなんとも素晴らしい。
ここまで色とりどりなのも貴重である。
この第一の湯はリピートした結果、総じて印象に変化はあまりなかった。
なぜこの浴槽だけ湯の花が多かったのかは分からない。
<第二の湯>
今回の宿泊で一番気に入ったのがこの第二の湯だ。
浴槽は一番小さい。
その分、若干だが温度が高く感じられた。
色はほとんど透明で、味わいには第一の湯よりエグ味が少し多いように思えた。
湯口の析出具合が素晴らしい。
まさにこの投入量にちょうどよい浴槽の大きさだ。
そして第二の湯が一番よかった最大の理由が泡付きだ。
日中に入ったときはそうでもなかったのだが、夜と翌朝の泡付きが凄かった!
湯に浸かった瞬間からみるみる泡が付き始め、あっという間にこのような状態に。
シュワぷち感がハンパじゃなく素晴らしい。
これは泉質で含二酸化炭素(3100mg)と言えるだけの内容だ。
口に含んでも炭酸のシュワシュワ感が顕著だった。
<第三の湯>
以前立寄りで訪れた際に選択したのがこの浴室。
そのときは十分満足したのだが、今回の3つの浴槽では一番特徴が少なかったかも。
ただ色は一番濃く、淡く白濁している。
泡付きは一番少なかった。
それにしてもこのかけ流し芸術の美しさよ!
入っている人の情けなさは目を瞑ってくださいまし![]()
とにかく湯も浴場の雰囲気も温泉世界遺産にしたいぐらいの素晴らしさ。
大好きな温泉、小屋原温泉「熊谷旅館」は初夏あたりにぜひ再訪したい。
さて、この宿の食事については次の記事で紹介します。
小屋原温泉 「熊谷旅館」
島根県大田市三瓶町小屋原1014-1
08548-3-2101
宿泊料 一泊二食付き9000円ほど
含二酸化炭素-ナトリウム・マグネシウム-塩化物・炭酸水素塩泉(ナトリウム-塩化物泉の表記もあり)
低張性・中性・温泉
37.8℃
pH6.0
成分総計 7.35g/kg(CO2=3100mg)
30.8リットル/分
自然湧出
源泉でほぼ透明、浴用で透明から淡白濁まで
オレンジ色の湯の花あり(特に第一の湯)
金気臭あり
炭酸の苦酸味(シュワシュワ感)、鉄味、微塩味、エグ味あり
スベスベ感あり
浴槽によっては大量の泡付きあり










