「Aタイプやったか、Cタイプやったか、
いろんなタイプがあるらしいけどな、
1966年、初代のウルトラマン
太秦の広隆寺半跏思惟像、
いわゆる広隆寺弥勒菩薩。
あれがモデルやと・・・多分ほんまやな」
「まぁ最近みうらじゅんさんとか
いろんな人が言うてはりますわな
むかし亀井勝一郎さんが
言うてはった古拙的微笑いうやつかな
いわゆるアルカイックスマイル
怒ってるんか笑うてるんかワカらん顔
確かによう似てますわ」
「みうらじゅんさんは
ウルトラマンのスペシウム光線ポーズ
あれも広隆寺弥勒菩薩のポーズやと」
「そうかもわからんけど
ウルトラマンの殺陣いうかアクション
あれ、甲賀流忍法そのままなんですけどね」
「スタイルも顔もアクションも
別の次元から来た別世界の人いう感じ
初代ウルトラマンがー番出てたな」
「円谷プロダクション創業者・円谷英二
さんは最初、烏天狗をモデルにしよう
思うてはったらしいな。ところが
円谷プロの造形をほとんど手掛けた
優秀な工業デザイナーやった
成田亨さん。それに待ったをかけて
あちこちの仏像見て回ったいうんが
ウルトラマン広隆寺菩薩説の・・」
「あーそれは多分本当でしょう
笑い話として初代ウルトラマンの
初回放送に出てくる怪獣ベムラー
ウルトラマンで最初その名前になる
はずやったらしいですわ」
「それようウルトラマンが追いかけてきて
地球周回軌道上で科学特捜隊の
スペースシャトルに衝突した。それで
事故死したハヤタ隊員に命を預けて
一生地球で滅私奉公や
こういうこともあるんやからちゃんと
自賠責には入ってなあかんのや」
「まぁあれがあたったことで
円谷プロダクションは最後の黄金時代
しかし円谷英二氏と成田亨氏の
間柄に微妙なヒビが入ったです
円谷氏が成田亨氏に無断で
ウルトラマンの目に前を見るための
穴を勝手に開けたらしいですから」
「そこんとこは難しいな
黒澤明作品の黒沢組かて
はっきり言うて分裂の歴史やったしな
異例の大成功した所帶ほどそうなるな」
「それはそうと広隆寺の弥勒菩薩
中宮寺のそれと一緒で、あと飛鳥寺か
飛鳥寺は蘇我氏の氏寺やったから
焼かれてしまうて寺はもう・・
しかし飛鳥大仏だけのこっとる
いわゆる百済仏言うたらあの3つですか?」
「飛鳥大仏言われとるのが多分ー番古い」
「中宮寺のは聖徳太子時代以後。わからん
のは聖徳太子架空人物説盛んに言われる
んですが、聖徳太子の奥さんの遺品、
やたらにたくさんあるんですよね
中宮寺なんかほとんど全部・・」
「さよう。あの辺りの時代の歴史研究
今の時点でも矛盾だらけなんやな
せやからあらゆる可能性を考えな・・」
「広隆寺の弥勒菩薩、渡来モノでっか?」
「国宝第1号になった広隆寺弥勒菩薩
あれかてな。戦後は盛んに朝鮮渡来説
ばっかりやったよ。しかしその後の調査で
日本の木も使われてることがわかってる
表側の木材と裏側の木材とは違うんや
両方の特性を知り尽くした仏師が
乾燥による変形を防ぐためそうした
大変に凝った工作技術や。
製作者は百済系の人間やったかもしれん
しかし日本に住んで長い。しかも
両方の木材の特性を知り尽くした
人間にだけにできる仕事やな
赤松の松脂の染み出しかたまで
完全に計算して作られとるんやな
乾燥してどれくらい変形するかもな
しかも漆もバッチリ使われとった」
「金箔張りやったでしょ出来た頃は
多分ハゲたんか盗まれたんでしょ」
「そうや。漆を使いこなす技術は
日本では縄文時代からあったからな
ウルシは硝酸、硫酸、塩酸、それから
金でも溶かす王水にも耐えられる
あまり知られておらんが、耐酸性で
いうたら今でも地上最強の
天然スーパープラスチックやぞ」
「古代日本の超ハイテクですね」
「その通りや。広隆寺弥勒菩薩の製作者
少なくともそれら全ての技術に
精通していたいうことになる
これは大陸や半島の技法だけでは無理やな」
「それ全部あの微妙なスタイルを守るため?」
「そうとしか考えられん。あのスタイルの
半跏思惟像。北魏様式と言われとる
当時の中国は魏晋南北朝時代から
隋帝国への統一に向かう頃やった
中国にも半島にも似通ったデザインは
あるのやけど、広隆寺弥勒菩薩ほど
圧倒的な完成度のものは二つとないな」
「昔ミロのビーナスとバーターで
ルーブル美術館いきませんでした?」
「いや、それは正当な取引やと思うな」
「しかしそれだけのもの作れる能力者
日本に来ていたということですね?」
「本当の問題がそこやと思うんやな
それだけのスーパーテクニックの持ち主
古代東アジアのミケランジェロやんか?
なんで日本に来たかいうことやろ?
それは大陸や半島にいつづけたら
危険やったからとしか考えられん
戦はしょっちゅうあったところや
つまりそれを超える何かがあったいうことやな
それは何か?長うなるからまた次回やな」