占星術には「ミッドポイント」という技法があります。
ミッドポイントとは、簡単に言えば2つの天体や感受点の中間点のことです。
例えば太陽と月の中間点であれば「太陽/月」、火星と土星の中間点であれば「火星/土星」というように表します。
この2つの天体の組み合わせによって作られるポイントを「軸」と考え、そこに別の天体が接触することで、その軸が持っている性質が引き出されると考えるのが基本です。
では、普通にネイタルチャートを読むだけではなく、なぜわざわざミッドポイントまで見るのか、という話。
ミッドポイントを見ると何が分かるのか
ネイタルチャートを見るだけでも、その人について分かることはたくさんあります。
サイン、ハウス、アスペクトなどを見ることで、その人がどんな性質を持っているのか、どんなことが得意なのか、どんな部分に葛藤を抱えやすいのかなど、かなり多くの情報を得ることができます。
ただ、それだけでは「この天体をどう使ったらいいんだろう?」ということが分かりにくい場合もあります。
例えば私自身、ネイタルチャートでは水星がノーアスペクトです。
水星単体で考えるなら、サインやハウスからその性質を読むことはできます。しかし、他の天体とのアスペクトがないので、「この水星を他の要素とどう組み合わせて使うか」ということになると、アスペクトから得られる情報がありません。
そんな時にミッドポイントを見ると、水星が関わっている軸や、水星が接触している軸を調べることができます。
すると、水星を他の天体の性質と掛け合わせて使う方法が見つかりやすくなります。
これが、私がミッドポイントを見る大きな理由の一つです。
自分の「取扱説明書」が細かくなる
ミッドポイントを見ていくと、ネイタルチャートだけを見ていた時よりも、その人について説明できる項目が増えていきます。
言ってみれば、自分の取扱説明書に細かな章や項目が追加されていくようなものです。
例えば、ネイタルでは火星がOOB(アウト・オブ・バウンズ)になっていて、火星の性質がかなり強く出ている人がいたとします。
ところがミッドポイントまで調べてみると、一方では「疲れやすい」と読めるような組み合わせを持っていることがあります。
一見すると矛盾しています。
でも、人間はそもそもそんなに単純なものではありません。
行動力が強いことと、疲れやすいことは同時に存在できます。
ネイタルチャートだけで判断できることももちろんたくさんありますが、ミッドポイントまで見ることで「だからこうなるのか」という納得材料が増えていきます。
同時に、一見すると矛盾しているような要素も増えていきます。
しかし、その矛盾も含めて「では、この性質を自分はどう取り扱えばいいのか?」と考えられるところが、ミッドポイントの面白いところです。
ミッドポイントとアスペクトの違い
では、通常のアスペクトが分かれば、ミッドポイントを見る必要はないのでしょうか。
これはアスペクトによります。
例えば私の場合、ネイタルの太陽と冥王星がコンジャンクションしています。
この場合は太陽と冥王星の性質がすでに非常に直接的に結びついているため、太陽/冥王星というミッドポイントを改めて見ても、それほど大きな意味はありません。
一方、トラインなどの場合は少し違います。
トラインはその性質自体は持っていても、それを外に向かって使いづらいことがあります。
そこでミッドポイントを見ると、別の天体がその組み合わせを引き出す補助役になっていることがあります。
つまりミッドポイントは、アスペクトの代わりになるものではありません。
すでに持っている天体同士の関係を、別の天体の力を借りてどう活かせるのかを見ることもできる技法なのです。
ミッドポイントはどうやって読む?
私は主に90度式でミッドポイントを見ています。
基本的な考え方は、
「軸を作る2天体の要素を掛け合わせ、その性質が接触する天体によって引き出される」
というものです。
例えば、
太陽/金星=木星
という組み合わせがあったとします。
まず考えるのは、太陽と金星です。
太陽は、その人自身の社会における性格やキャラクターを表します。
一方、金星には近しい人から好かれる部分や、その人のキラキラした魅力などが表れます。
この2つを掛け合わせた太陽/金星は、一般に「愛情軸」と呼ばれます。
ただし、「愛情軸がある=愛される」という単純な話ではありません。
ここには、その人自身の「愛すべきところ」も表れています。
では、この太陽/金星に木星が接触したらどうなるでしょうか。
木星によって太陽/金星の性質が広げられるため、広くいろいろな人から好かれやすくなります。
では、なぜ好かれるのでしょう。
例えばその人が誠実だったり、大らかだったりする。その性質が周囲の人の目に留まり、「この人、いい人だな」と思われる。
このように、単に「愛情軸+木星だからモテる」とキーワードを足し算するのではなく、軸を構成する天体と接触する天体をそれぞれ考えながら組み立てていきます。
「死の軸」があったら早死にする?
ミッドポイントを勉強すると、「愛情軸」「死の軸」など、さまざまな軸の名前を目にすることになります。
ここで注意したいのが、軸の名前に引っ張られすぎないことです。
例えば火星/土星は「死の軸」と呼ばれています。
では、ネイタルで火星/土星に太陽が接触していたら、その人は早死にするのでしょうか。
そんなわけはありません。
これは「死の軸」という名前だけを見て、その意味をそのまま現象として当てはめてしまった読み方です。
火星と土星という2つの天体そのものを考えてみましょう。
火星は行動する力やエネルギーを表し、土星は制限や持続などに関係します。
この2つを掛け合わせれば、エネルギーを一気に大量消費するようなタイプではない一方で、細く長く継続する力として使うことができます。
ただし、あまり無理が利かない部分もあるため、自分自身でエネルギー量を把握し、コントロールする必要があります。
こちらの方が、実際にその人が自分自身を取り扱ううえではずっと役に立つでしょう。
ミッドポイントの軸名は暗記しなくていい
そのため、私はミッドポイントの軸名を暗記する必要はないと考えています。
軸名の中には、かなり古い時代に作られたものもあります。
そのため、現代の感覚で見ると「そんな単純な話ではないよね」と思うものもあれば、どう考えても悪い意味にしか受け取れないような名前もあります。
名前はあくまで、その軸を表すためにつけられたものです。
「○○軸だから○○が起きる」と覚えるのではなく、
「この2つの天体を掛け合わせたら、どんな性質になるだろう?」
と考える方が重要です。
そして、そこに接触する天体が何を引き出しているのかを考えていきます。
その方が応用が利きますし、その人自身に合った読み方ができるようになります。
直接接触と間接接触の違い
ミッドポイントには、直接接触と間接接触があります。
私はネイタルの場合、直接接触については、本人がある程度意識できるくらいには顕在化しているものとして考えます。
一方、間接接触は、本人がまだそこまで自覚できていなくても、ポテンシャルとして持っているものとして読みます。
どちらの場合も、私はオーブを1度までとしています。
そのため、初めて自分のミッドポイントを調べるのであれば、まずは直接接触から見てみることをおすすめします。
実際の自分と照らし合わせて「確かにこれはある」と実感できるものから見た方が、ミッドポイントという技法自体も理解しやすいからです。
ミッドポイントは未来予測にも使える
ミッドポイントはネイタルチャートの分析だけでなく、未来予測にも使うことができます。
例えばネイタルの太陽/金星軸にトランジットの木星が接触する時期があれば、その人がもともと持っている太陽/金星のテーマが、木星によって引き出される時期として考えることができます。
この場合も私はオーブを1度までとしています。
ただし、未来予測では主に直接接触を見ており、間接接触はほとんど使いません。
一方、太陽回帰図などでは、間接接触も参考程度に確認することがあります。
このように、ネイタルで「どんな性質を持っているのか」を調べるだけでなく、「その性質がいつ表に出てくるのか」を見ることができるのもミッドポイントの面白さです。
ミッドポイントは無料で調べられる
自分のミッドポイントを調べてみたい場合は、Astrodienst(アストロディーンスト)というサイトを使えば無料で出すことができます。
90度式も、基本的な読み方さえ分かれば初心者でも読むことができます。
ただ、最初からすべての軸を読もうとする必要はありません。
ミッドポイントは組み合わせが非常に多いため、全部を一度に読もうとすると、情報量が多すぎて何が重要なのか分からなくなってしまいます。
初めて読むのであれば、まずは
太陽・月・アセンダント・MCが関わる軸
から見てみるといいでしょう。
その後、
太陽・月・アセンダント・MCに木星が接触している軸
を見てみます。
そして最初は直接接触を中心に確認します。
このくらいに絞った方が、自分自身と照らし合わせながらミッドポイントの読み方を掴みやすくなります。
ミッドポイントは「自分をどう使うか」を考えるための技法
ミッドポイントを見る目的は、「当たっている」「当たっていない」を確認することだけではありません。
ネイタルチャートでは使いどころが分かりにくかった天体について、他の天体との組み合わせから活かし方を探すことができます。
一見すると矛盾している自分の性質についても、「こちらの組み合わせではこう働き、こちらではこう働く」と細かく整理できるようになります。
自分では気づいていなかったポテンシャルが見つかることもあります。
反対に、無理をすると消耗しやすい部分など、自分でコントロールした方がいいところが分かる場合もあります。
そうやって一つずつ項目を増やしていくと、自分自身の取扱説明書がどんどん細かくなっていきます。
人間には矛盾したところがあって当然です。
それを無理に一つの性格にまとめるのではなく、
「自分にはこういうところもある。では、それをどう使ったらいいのか?」
と考える。
ミッドポイントは、そのために非常に役立つ占星術の技法の一つだと思います。
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