ある春の朝。
ニャン寺の門の向こうから――
パカ…パカ…パカ…
聞き慣れない音が近づいてきた。
村人たちがざわつく。
そして現れたのは――
馬に乗ったジャンジャン和尚。
しかも、なぜかドヤ顔。
「新しい移動手段です!!」
トラ住職、静かに一言。
「……どこで手に入れたのですか。」
ジャンジャン和尚、胸を張る。
「迷ってたので拾いました!!」
即座にメルタン住職。
「それ拾ったって言わないから。」
だが、その馬は不思議だった。
誰も手綱を引いていないのに、
まっすぐ寺の裏山へ向かって歩き出す。
ジャンジャン和尚、慌てる。
「ちょ、ちょっと待ってください!
私が操縦してる風にしたいんですが!!」
馬、無視。
そのまま進む。
坂を上がり、細い道を曲がり、竹林を抜け――
やがて辿り着いたのは、
かつて村人たちがよく使っていた古い参道。
今では草に覆われ、誰も通らない道だった。
トラ住職がぽつり。
「この馬は…昔、荷を運んでいた馬ですね。」
村の長老がうなずく。
「若い頃は、何百回もこの道を通った馬じゃ。」
ジャンジャン和尚、感動。
「すごい!!
ナビ付きじゃないですか!!」
メルタン住職、静かに訂正。
「経験です。」
長老が笑う。
「老馬は道を忘れず。
長く歩いた道は、体が覚えておるのです。」
トラ住職も続ける。
「人も同じです。
積み重ねたものは、迷った時に必ず戻る道になります。」
ジャンジャン和尚、真顔で言う。
「つまり私はまだ若馬!!」
トラ住職。
「あなたはまず、
道を覚えてください。」
その瞬間。
馬が急停止。
ジャンジャン和尚、前にスポーン。
草むらへダイブ。
「痛っ!!」
全員、沈黙。
メルタン住職、ぽつり。
「……近道しようとするからです。」
夕暮れ。
帰り道も、馬は迷わない。
ジャンジャンだけが迷っている。
「寺どっちでしたっけ!?」
トラ住職、ため息。
「……あなたが一番、
道を覚えていません。」
教訓:
老馬は道を忘れず。
だがジャンジャン和尚は、昨日の帰り道すら忘れる。
それでも――
迷いながら帰る者を、
道はいつも待っている。
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