朝のニャン寺。
霧がうっすら立ち込める。
その静寂を切り裂くように――
ズザァァァーーーッ!!
砂煙。
現れたのは一匹の茶トラ。
腰には――
木刀(おもちゃ)
振る。
ピコッ。
本人だけ真剣。
本堂前。
テツオ、腕組み。無言。
茶トラ、正座。
3秒後、足がしびれる。
だが耐える。
「拙者!!
新之助と申すでござる!!」
沈黙。
「弟子にしてほしいでござる!!」
沈黙。
「男になりたいでござる!!」
沈黙。
「モテたいでござる!!」
テツオ、わずかに瞬き。
テツオ、懐から一枚の紙を出す。
無言で渡す。
新之助君、読む。
震える。
「まずは…見た目…ということでござるな…」
テツオ、無言。
(ただチラシを配っているだけ)
✂️ barberそらまる
ニャン寺から少し離れた場所にある――
知る猫ぞ知る、硬派な理髪店。
看板には筆文字。
「barber そらまる」
〜迷うな。刈れ。〜
入口には回るサインポール。
ただし回転が遅い。
異様に遅い。
威圧感だけはある。
店内。
木の香り。
ジャズが小さく流れる。
壁には謎の標語。
理容椅子は一脚のみ。
重厚。
もはや玉座。
店主・そらまる君。
渋いスフィンクス猫。
無口。
鋭い目。
ハサミを鳴らす。
チキン。
チキン。
それだけで空気が張り詰める。
そらまる君、低く言う。
「どうする。」
新之助君、震えながら答える。
「武士にしてほしいでござる。」
一瞬の沈黙。
そらまる君:
「…覚悟はあるか。」
新之助君:
「ござる!!」
つづく。
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