Netflixドラマ『ガス人間』
感想~怪物より恐ろしかったのは人間だった…
全8話428分を2日で完走!
■作品情報
<監督>
片山慎三
<脚本>
ヨン・サンホ
<原作>
『ガス人間第一号』
<キャスト>
小栗旬、
蒼井優、
広瀬すず、
林遣都、
UTA、
竹野内豊、
岡部たかし、
ピエール瀧
ほか
■内容
ある不祥事を起こし謹慎中だった刑事・岡本賢治(小栗旬)は、前代未聞の殺人事件の捜査に駆り出される。
生放送番組に出演中の大学教授の身体が突如として膨張し、爆死したのだ……。
現場に向かった賢治は、かつて愛した女性で事件を目撃した報道記者の甲野京子(蒼井優)と再会する。
驚く暇もなく、《ガス人間》を名乗る男(UTA)が連続殺人を予告し、世間は大パニックに陥る。
犯人逮捕と真相究明に乗り出す賢治と京子だったが、2人をあざ笑うように次々と消されていくターゲットたち。
果たしてガス人間とは何者なのか?
彼はどのように特異な能力を手にしたのか?
その真の目的とは?
やがて事態は警察・マスコミ・動画配信者・裏社会の住人たち・時の権力者――各々の思惑が入り乱れる攻防戦へと発展。
事件を覆う分厚いガスが晴れた時、この国を根幹から揺るがす壮絶な真実が姿を現す。
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■冒頭から衝撃!一気に作品の世界へ
最近、テレビでも頻繁に宣伝されていて気になっていたNetflixドラマ『ガス人間』。
「あれ?これって、今年12月の『午前十時の映画祭』で上映される東宝特撮映画『ガス人間第一号』のリブート作品なのかな?」
そう思ったのが鑑賞のきっかけでした。
しかし、映画祭まで待っていられません(笑)。
まずは配信でオリジナルの『ガス人間第一号』を鑑賞し、その余韻が残る中、速攻でNetflix版へ。
そして…
冒頭からの衝撃的な映像。
一気に作品の世界へ引き込まれてしまいました。
■「今日はここまで」が通用しない…
この作品全8話、
「今日は1話だけ。」
「続きは明日にしよう。」
そう思っていたはずなのに、気が付けば次のエピソードを再生。
結局、全8話428分(7時間8分)を、2日間で完走してしまいました(笑)。
おかげで、見る予定だったテレビ番組まで見損なってしまいました(笑)。
それだけ続きが気になる展開だったということでしょう。
■原作とは別物。でも、どちらも魅力がある
ガス人間が誕生した経緯、能力、そして事件の内容。 そのどれもが原作とは大きく異なっています。
だからといってガッカリするどころか、これはもう「別作品」として楽しむのが大正解だと思いました。
もちろん特撮の迫力は圧倒的に今作のほうが上ですが、私の印象では、描くテーマそのものが綺麗にアップデートされていると感じました。
●オリジナルの『ガス人間第一号』:
昭和の「強大な個 vs 冷酷な社会」の構図が強く、怪物ゆえの圧倒的な孤独と、一人の女性を愛した暴走を描いた「悲恋の物語」。
●Netflix版:
SNSの動画配信者(林遣都さん・広瀬すずさん)やマスコミの思惑を絡め、現代のネット社会における光と影、そして「人と人との絆や断絶」を描いた群像劇。
昭和の原作が「孤独」を際立たせたのだとすれば、令和のNetflix版は「繋がり」を描いている。そう考えると、この大胆なアレンジも非常に納得がいきます。
■怪物よりも恐ろしかったのは…
タイトルは『ガス人間』ですが、
実際には怪物映画というより、人間ドラマでした。

- 警察。
- マスコミ。
- 動画配信者。
- 裏社会。
- 政治。
それぞれの思惑が複雑に絡み合い、
「本当の怪物は誰なのか?」
そんなことを考えさせられる作品でもありました。
背景には現代社会が抱える問題も描かれており、単なるSFやサスペンスでは終わらない深みがあります。
■サスペンスだけじゃない!
笑いまで詰め込んだエンタメ作品
サスペンス。
スリラー。
ミステリー。
アクション。
社会派ドラマ。
そして…思わず笑ってしまう場面まで(笑)。
「いやいや、それはさすがに!」
とツッコミを入れたくなるシーンもありました。
シリアス一辺倒ではなく、思い切りエンタメ要素も盛り込んできたところが、この作品らしいところです。
■予想を裏切る展開の連続
最初、
「ガス人間の正体を刑事とテレビ局の記者が追い詰める刑事ドラマ」
だと思っていました。
ところが、物語はそんな予想を何度も裏切ります。
次々と明らかになる真実に、
「えっ、そうなるの!?」
の連続で、最後まで引き込まれました。
そして、ガス人間を演じたUTAさんのミステリアスな存在感も、この作品の大きな見どころの一つ。

実は、本木雅弘さんのご子息であり、樹木希林さん、内田裕也さんのお孫さんでもありますが、その経歴を知らなくても強く印象に残る演技でした。
■私が一番気になった俳優は…
豪華キャストが勢ぞろいしていますが、
その中でも私が一番印象に残ったのは、
吉田警部を演じた、こばやし元樹さん。
特にボーリング場でのシーン。
あのシーンを詳しく言いたいところなのですが、ここではぐっとこらえて辛抱です。
あの異様な存在感。
そして狂気を感じさせるパフォーマンス。
ご覧になった皆さんはいかがでしたか?
私は、かなり好みでした(笑)。
■アイドルまで登場!?
さらに驚いたのが、
物語の重要な場面で突然登場するアイドルグループ。
劇中アイドル
「ドリームサキュバス」
が披露する
『わがままナイトメア』
のMVは、かなり強烈なインパクト。

「ここでアイドル?」
と思いましたが、それも含めてこの作品の世界観なのでしょう。
シリアスな中にも遊び心を忘れない演出は、好き嫌いが分かれるかもしれません。
このシーンも個人的には大ヒットで、とても好みでした。
あの踊りに音楽がくせになります!!(笑)
■まだまだ残された謎
もちろん、最後まで観ても、
「えっ? あれは結局どういうこと?」
と思う場面がいくつか残ります。
伏線の多くはしっかり回収されているのですが、それでも
「あの出来事には、まだ別の見方があるのでは?」
と思わせる余白も残されています。
すべてを説明し切らないからこそ、見終わったあとも作品についてあれこれ考えてしまう…。
そんな余韻の残し方も、この作品の魅力なのかもしれません。
■印象に残った小さな発見
今回も印象に残った俳優さんがいました。
ピエール瀧さんです。

Netflix作品をすべて観ているわけではありませんが、私が観た作品ではなぜかよくお見かけします(笑)。
「またピエール瀧さんだ!」
と思うことが多いのですが、今回も短い出演ながら強い存在感を残していました。
また、劇中で登場する「パフィーニー」という言葉も印象的でした。
実は撮影現場で生まれた言葉だそうですが、劇中では拷問を意味する隠語として使われています。
こうした細かな設定や裏話を知ると、作品世界をさらに楽しめますね。
■原作を見ていたからこそ分かったオマージュシーン
作中には原作へのオマージュが色々と散りばめられているのですが、その中でも特に興奮したのが「ライター」の存在です。

林遣都さん演じる動画配信者の兄・藤川富士太が、広瀬すずさん演じる妹の華歩からプレゼントされたライターが関わるある出来事があるのですが、実はこのライター、原作でも結末を左右する超重要なシーンに登場していました。
今作でも、物語の大きな出来事でこのライターが使われています。
「ガス」に対して「火(ライター)」がもたらす緊迫感。過去の名作へのリスペクトと制作陣の作品愛がしっかり伝わってきて、本当に嬉しくなっちゃいました。
■ほくと的まとめ
サスペンス。ミステリー。SF。社会派ドラマ。そしてエンターテインメント。
実にさまざまな要素が詰め込まれた作品でした。
この辺は原作よりもけっこう複雑です。
伏線や謎解きも多く、これからご覧になる方もいらっしゃると思いますので、多くは語らないでおきましょう。
ただ、一つだけ最後まで気になったことがあります。
劇中の印象的で重要なシーンで流れるサザンオールスターズの名曲『いとしのエリー』。
サザンには数多くの名曲がある中で、なぜこの曲だったのでしょう。その理由を考えることも、この作品の楽しみ方の一つなのかもしれません。(笑)
オリジナルを知っている方は、その大胆なアレンジに驚くでしょう。
一方で、原作を知らない方でも十分楽しめる作品だと思います。
428分という長さを感じさせない、見応え十分のNetflixエンターテインメントでありながら、その根底には、どこか不穏で、そして人間らしい物語が流れていました。

原作とは大きく異なる展開のエンタメ作品でした。
「怪物より怖いのは人間。」
その言葉が最後まで頭から離れない作品でした。
評価:5点満点中 3.8
(画像すべてお借りしました)












