久しぶりに観たら、やっぱり騙されました(笑)アメリカン・ニューシネマの傑作
午前十時の映画祭16
映画「スティング」

1973年/アメリカ/129分
アカデミー賞では作品賞・監督賞を含む7部門を受賞。今なお“最高のコンゲーム(騙し合い)映画”として語り継がれる名作ですね。
<監督>
ジョージ・ロイ・ヒル
<キャスト>
ポール・ニューマン、
ロバート・レッドフォード、
ロバート・ショウ、
チャールズ・ダーニング、
アイリーン・ブレナンほか
■内容
1930年代のシカゴ。
若き詐欺師ジョニー・フッカー(ロバート・レッドフォード)は、仲間を殺されたことをきっかけに、大物ギャングのロネガン(ロバート・ショウ)への復讐を決意します。
そこで彼が頼ったのが、伝説の詐欺師ヘンリー・ゴンドーフ(ポール・ニューマン)。
二人は仲間たちと共に、架空の競馬ブックメーカーを舞台にした巨大な信用詐欺(コンゲーム)を仕掛けていきます。
緻密に組み上げられた“だましの計画”は、ロネガンを自分たちの土俵へと引きずり込み、やがて予想もしない展開へと進んでいきます。
■やっぱり何度観ても面白い
内容が内容だけに、できるだけネタバレしないように書き記していきたいと思います。
いや~久しぶりに観ましたが、この映画、やっぱり何度観ても面白い。
麺食い街道で例えるなら、
旨街道~!
って、感じですね(私のブログご覧いただいている方はわかるかと笑)
まさに
「騙される快感、ここに極まる」。
軽快なラグタイム音楽、
小気味よいテンポ、
洒落た会話。
そして二転三転するストーリー展開。
「これはこういうことか」
と思った瞬間、またひっくり返される。
観客も完全に騙されながら物語に引き込まれていきます。
しかもラストには、とてつもなく大きなどんでん返しが待っている。
初めて観たらたぶんビックリするはずです。またストーリーがわかっていても、観終わったあと思わずニヤリとしてしまうような爽快感があります。
久しぶりに観返したのですが、忘れていたシーンや伏線も多く、
「こんな演出だったっけ?」
と改めて感心してしまいました。
50年以上前の作品なのに、まったく古さを感じさせない。
やはり名作ですね。
■ポール・ニューマンの“貫禄”がすごい
今回、久しぶりに改めて観て感じたのですが、私はロバート・レッドフォードとポール・ニューマンって、同じくらいの年齢だと思い込んでいました。
でもいやいや、画面に映るポール・ニューマンの貫禄が圧倒的。
調べてみると、実際には10歳ほど年齢が離れていたんですね。
レッドフォード演じるフッカーが“勢いのある若手”(でも実際は30代ですけど)だとすると、ニューマン演じるゴンドーフは“経験を積み重ねてきた本物のプロ”。
立っているだけで空気を支配するような存在感があります。あの余裕のある表情や仕草は、本当に格好いい。
二人の絶妙なバランスも、この映画の大きな魅力でしょうね。
■暴力ではなく“頭脳”で仕掛ける復讐劇
この作品の魅力は、“復讐劇”でありながら暴力に頼らないところ。
ドンパチするような銃撃戦で決着をつけるのではなく、巨大な詐欺を仕掛け、相手を巧みに誘導していく。
まさに詐欺師ならではの復讐劇です。
そして観ている側も、
「誰が味方で誰が敵なのか」
「どこまでが演技なのか」
が分からなくなっていくのでしっかり見ていないと置いてきぼりになるかも(笑)。
映画そのものが一つの“スティング(騙し)”になっているんですよね。

■主要登場人物を整理するとわかりやすい
『スティング』は、意外と「途中で話がこんがらがる」という人も多い作品みたいです。
後半は特に、“誰がどこまで芝居をしているのか”が重要になるので、主要人物を整理しておくと理解しやすいです。
●ヘンリー・ゴンドーフ(ポール・ニューマン)
伝説の詐欺師。作戦全体を指揮する中心人物。
●ジョニー・フッカー(ロバート・レッドフォード)
若き詐欺師。仲間の仇を討つため復讐計画に加わる。
●ドイル・ロネガン(ロバート・ショウ)
今回のターゲットとなる冷酷なギャング。

●ウィリアム・スナイダー(チャールズ・ダーニング)
フッカーを追う刑事。しかし彼自身もまた“騙される側”の人物。
この関係性を頭に入れておくと、終盤の展開がかなり見やすくなると思います。
■今回の注目株!“ロレッタ”にも注目
個人的に、フッカーがなじみにしている食堂の新顔のウエイトレスであるロレッタがかなり印象に残りました。というより彼女の展開はすっかり忘れていました^^;
登場してきて、あぁこのシーンだったかと記憶が蘇るのですが(笑)
殺し屋に命を狙われているフッカーの逃亡に力を貸し、また彼を自分の部屋にまねきいれ一夜を明かします。
物語の後半に登場する人物ですが、ミステリアスで彼女も単なる脇役では終わりません。
「えっ、まさか…」
という展開が待っており、この映画の“誰を信用していいのかわからない面白さ”をさらに加速させています。
本当にこの映画、油断して観ていると見事に騙されますよ(笑)
■鼻を弾くサインが意味するもの
「スティング」で何度か登場する、人差し指で鼻の横を弾く仕草。
これは詐欺師たちの間で使われる、仲間同士の暗黙のサインです。
ラストのほうでもそのサインを交わすシーンが登場します。
観客までも鮮やかに騙した“最高の仕事”が成功した瞬間でしょうか。
あの小さな仕草には、詐欺師同士の信頼や絆、そして
「してやったり」
という痛快さが込められているのです。ぜひこの仕草も頭の片隅においておくとより作品が楽しめるかも。
■音楽もまた最高
本作を語るうえで欠かせないのが音楽です。
映画を観たことがない方も、どこかで一度は聴いたことがあるのではないでしょうか。
特に有名なのが、スコット・ジョプリン作曲『ジ・エンターテイナー』
ですね。
映画の軽妙な雰囲気と絶妙にマッチしていて、一度聴くと耳に残ります。
インスト曲としては異例の大ヒットとなり、映画とともに世界中で愛される楽曲となりました。
■ちょっとしたトリビア
- 『Sting』とは「騙す」「ぼったくる」といった意味の俗語。
- フッカー役には当初ジャック・ニコルソンにもオファーがあった。
- ロバート・レッドフォード演じる“フッカー”の名前は、ブルース歌手ジョン・リー・フッカーが由来とも言われている。
- ロネガン役のロバート・ショウは撮影時に足を負傷しており、そのため“足を引きずる設定”になった。
ロバート・ショー、確かに観返すと、ずっと足を引きずっていますね。それが逆に妙な不気味さをだしていたので、正解だったかも。今回初めて理由を知りました(笑)
■ほくと的まとめ
派手なCGもない。
大規模アクションがあるわけでもない。
それでもこれほど面白い。

脚本、演出、音楽、俳優たちの魅力。
三位も四位も一体し、それらすべてが完璧に噛み合った作品だからこそ、50年以上経った今でも色褪せないのでしょう。
そして何より、最後の最後まで観客を気持ちよく騙してくれるのは圧巻でした。
「昔の映画だから」と敬遠している人にこそ、ぜひ一度観てもらいたい一本です。
評価:5点満点中4.2
(画像すべてお借りしました)
懐かしい淀川さんの解説です。














