イタリアから海を渡り、マルタ共和国へ。
マルタは地中海のほぼ中央に位置する、小さな島国です。国土は東京23区ほどの大きさしかありませんが、マルタ島・ゴゾ島・コミノ島の三つの島から成り立ち、古代から多くの文明が交差した歴史の舞台でもあります。
午前中は、マルタ本島のほぼ中央にある古都ムディーナ(Mdina)へ。
その名はアラビア語の「マディーナ(町)」に由来すると言われ、「石の古城」とも呼ばれています。
11世紀に築かれたこの街は、中世には貴族たちの居住地として栄え、マルタの政治と宗教の中心でした。17世紀の大地震で東部の建物が崩壊し、その後バロック様式で再建され、現在の美しい街並みとなっています。
ムディーナは「静寂の街」とも呼ばれています。
というのも、基本的に居住者以外の車の乗り入れが禁止されており、細い石畳の路地を歩くと、まるで時が止まったかのよう。
観光客の足音や、教会の鐘の音だけが響く静かな空気の中に、マルタの長い歴史を感じます。
街の中心には聖パウロ大聖堂(St. Paul’s Cathedral)があります。
バロック様式の堂々たる外観と、内部の装飾が印象的。
『新約聖書・使徒行伝』によると、聖パウロはエルサレムからローマへ向かう途中、マルタ近海で嵐に遭い、漂着したと伝えられます。命を救われたパウロはこの地で伝道を行い、マルタの人々にキリスト教を伝えたそうです。
そのため今でも、マルタでは聖パウロが最も尊敬される聖人とされています。
午後は首都バレッタ(Valletta)へ。
バレッタは世界文化遺産に登録されており、港を見下ろす丘の上に建つ城塞都市です。
16世紀、聖ヨハネ騎士団によって築かれたこの町は、ルネサンスとバロックが融合した壮麗な街並みが魅力。
石造りの建物が並ぶ坂道を歩くと、かつて地中海の要塞国家として繁栄した時代の息吹を感じます。
そして バラッカの丘に建つマルタ・ヴァレッタ教会を見学しました。外観は石造りの質素な佇まいで、通りすがりには気づかないほど控えめ。
それだけに、一歩中へ入ると息をのむような美しさです。天井や祭壇を飾る金色の装飾、繊細なフレスコ画、柔らかな光に包まれた聖堂全体が静かな荘厳さに満ちていました。
カルパッチョの絵画が2枚飾られていると聞き、しばらく見入ってしまいました。
古都の静けさの中に今も息づく信仰と芸術の力を感じます。
その後訪れたアッパー・バラッカ・ガーデン(Upper Barrakka Gardens)は、港を一望できる絶景スポット。
眼下には碧いグランドハーバーと、対岸に広がる三つの古い都市。
海風に吹かれながら眺める地中海の光景は、本当に美しく、どこか平和への祈りを感じるような時間でした。
こうして、マルタでの最初の一日が静かに終わりました。
古代の信仰と騎士の歴史、そして地中海の青。小さな国ながら、その深い物語に心を打たれました。
















