検査・麻酔のリスク ― 飼い主が知っておくべきこと | グルコサミン博士のブログ

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愛犬アラレを亡くした経験と、その後に続いた裁判を通して、私は動物医療に潜む大きな課題に気づかされました。

それは検査や麻酔に関するリスクが、飼い主に十分に伝えられていないということです。

検査と麻酔は安全が当たり前ではない

動物病院で行われる検査の多くは、採血や画像検査のように比較的安全なものもありますが、検体採取や内視鏡、手術に伴う検査では麻酔が必要になることがあります。
麻酔は医学の進歩で安全性が高まっているとはいえ、動物医療分野ではまだまだリスクが低くない場合があります。時には命に関わります。

アラレもまさにそうでした。検査のための全身麻酔、その後敗血症を起こして帰らぬ子となりました。
事前に「この検査には麻酔が必要で、最悪のケースでは命を落とす可能性がある」と説明されていれば、私は検査を受けさせなかったでしょう。

 人医療と動物医療の違い ― 麻酔管理の体制

人間医療では、麻酔は必ず麻酔科・麻酔専門医が担当します。
手術や検査の主治医とは別に、麻酔を専門とする医師がいて、手術中・術後を通して患者の全身状態を管理するのです。
体温や血圧、呼吸、脈拍などが細かくモニタリングされ、万一の変化にも迅速に対応できる体制があります。
ところが動物医療では、事情が大きく異なります。
個人開業の動物病院では、院長一人が診断から手術、麻酔、術後管理まですべてを担当するケースが多いのです。
さらに二次診療の動物病院であっても、麻酔専門医がいないことは珍しくありません。
アラレが検査を受けた病院も、麻酔担当の獣医師はいたものの、当時は麻酔専門の資格を持ってはいませんでした。
その結果、麻酔中に体温のモニタリングはされず、低血圧が起きた際の対応は乱雑でした。
さらに術後、獣医師がアラレを直接観察することはなく、どのような看護体制もよくわかりませんでした。なぜかというと、麻酔後の観察記録は一切ありません。それが「日本〇〇センター」と名を冠した動物病院でもそれ。
こうしたずさんな管理の積み重ねが、最終的にアラレの死へとつながったのです。

人医療では考えられないような合併症や副作用が、動物医療では今も起こり得ます。
その背景には、専門医制度や管理体制の不十分さがあるのです。

説明義務とインフォームドコンセントの不足

人間医療では、手術や麻酔を行う際、必ず医師が患者や家族に説明を行い、文書で同意を得ます。
「治療の目的」「方法」「起こり得る合併症」「代替手段」などを伝えることが法律で義務づけられています。

しかし動物医療では、先日にも書いた通り、その仕組みがまだ十分に整っていません。
同意書が形式的に使われることはあっても、リスクを丁寧に説明してくれる獣医師ばかりではありません。
その結果、飼い主は知らないまま大切な命を預けてしまうという事態に陥りやすいのです。

 飼い主が知っておくべきこと

私はアラレを失った経験から、飼い主にとって大切なポイントを痛感しました
・検査や麻酔を受ける前に、必ずリスクについて質問する
・「最悪のケース」を想定して説明してもらう
・可能なら別の病院の意見(セカンドオピニオン)も聞く
・同意書に署名する前に、不明点を残さない
これらは、愛犬の命を守るために飼い主自身が持つべき視点だと思います。

アラレの事件を通して、私は動物医療と人間医療の間にある大きな「説明と管理の壁」を知りました。
飼い主が情報を得られず、ただ「先生を信じるしかない」という状況は、命を預ける側にとってあまりに危ういものです。

ペットは家族です。
だからこそ、動物医療においても、より誠実で透明性のある説明と、安全な麻酔管理の体制が広がってほしいと願っています。