パネラー3名の講演を紹介します。
①遅れている「Consumer Science」の研究
名古屋文理大学健康生活学部教授の清水俊雄氏の演題は、「コンシューマーサイエンスの海外研究動向と今後の展望」。
「Consumer Science」とは、消費者の行動と嗜好を評価分析する様々の技術を用いて、真の意味のInformed Choiceの状況を作り出すことである。
EUの「Food Consumer Science」プロジェクトを筆頭に、この分野の研究は欧米を中心に拡大している。学術雑誌での栄養・健康表示に対する消費者行動の関連論文数は、海外では10年間に200件以上あり、Food Consumer Science学部・学科は海外では15以上もある。これら、欧米に比べて日本は大きく遅れているのが現状である。
Consumer Scienceの研究が立ち遅れている日本では、一般的な消費者が商品を選択する上で、重要な情報となる食品の表示に関しても十分な調査が行なわれているとは言えない。
今後は、日本においても、消費者の健康維持促進に実際的に役に立つ表示の調査研究を広く実施し、消費者が見やすく、理解しやすく、商品選択の現場で役に立つ表示の具体的な提言が必要である。
②資格の養成・認定団体は20を超える
独立行政法人国立健康・栄養研究所情報センター長の梅垣敬三氏の演題は「アドバイザリースタッフに関する調査研究」である。
保険機能食品に係るアドバイザリースタッフ(以下、AS)は、民間組織により養成・認定されてから10年が経過した。ASの実態やASが当初求められていた役割を果たしていたかを把握する調査を行なった。その結果、ASと想定される資格の養成・認定団体は20以上もあり、その多くが国の求めているASのレベルを満たしているか曖昧であることがわかった。
今後の対応としては、AS資格者が社会で活躍できるように、ASの知名度の向上、健康食品に関する基礎情報と最新情報の提供、AS取得者の教育システムの確保、消費者への説明ツールの提供、活躍の場の提供が求められる。健康食品の利用による有害事象は、優れた製品でも起こりうる。そのような有害対象の早期発見や被害の拡大防止についても、ASの活躍が期待される。
③「特定保健用食品」と「健康食品」
独立行政法人国民生活センター宗林さおり氏の演題は「特定保健用食品(トクホ)と健康食品の今後の展望について」。
特定保健用食品は一般用医薬品(OTC)に匹敵する市場を持ち、900種類ほどの商品が存在する。制度発足20年が経過し、古い条件で承認された商品について直近の条件での再確認、さらにはカテゴリー別に承認基準の統一化や透明性の確保ができる利点を持っている。国民が、正確に認識、適切な使用ができるように配慮していくことが大事である。
「健康食品」については、より健康にトラブル抱えている消費者がその解消を目的に使用することが多い。しかし、商品の表示からそこに含まれる機能性成分とその含有量、どのような場面での利用が適切か、わかるものは少なく、逆に広告から見て過度の期待をする可能性のものが少なくない。
一定の成分が認められた場合は、誤認を招かない表示方法や制度を検討すべきである。一方、機能性が認められないものについては、機能性に係る表示を禁止し、取締りを強化して消費者に被害が及ばない対策が必要である。