山崎豊子さんの本、長編が多いですがけっこう読んでいます。『華麗なる一族』、『白い巨塔』、そして『沈まぬ太陽』。
初めて映画化された『沈まぬ太陽』をさっそくみてきました。
山崎豊子の原作は新潮社なのに、映画は角川という、なんとも面白い組み合わせ。ヒットするといいね!
国営企業から純然たる民間企業に変遷していく中での様々な社内外のあつれき。航空利権を巡る財・政・官の連携。フィクションですが、本当にこれにしい事実が例のあの企業とそれを取り巻く周囲に存在していたことは、あまりにおぞましい。
恩地=渡辺謙=正義と、行天=三浦友和=悪というわかりやすい対比とキャラ造型、働く側(社員)も、働かせる側(事業主・経営者)も、お互いが必死だったんだ!そして働くことも働かされることもすごく重みがあった時代だったんだと感じさせられました。
労働組合は会社に対して過酷な労働条件を改めるように要請。しかしストという切り札は会社側の怒りを買ってしまう。社員達のためにと闘った恩地は、パキスタンのカラチ、イランのテヘラン、さらにはケニアのナイロビと海外の貧困地へ転々と飛び回されてしまう。
会社に詫びを入れれば日本に帰してやると言われても、自分のやったことは正しいことだと筋を曲げない恩地。そして、本人のみならず夫人、子ども・・・家族も「赤」のレッテルを貼られてしまう。
最近では、働くことは自分とその家族の幸せを得るための「手段」に過ぎないと考えれるようになってきていますが、一昔まえの、働くことは生きること、仕事は単なる職業ではなく、その人の生き方そのもの、そんな風に捉えていた時代。
それにしても、国民航空?の不正経理が、めぐりにめぐって政界と繋がりがあるということが、救いのないエンディングですね。最後には正義漢である会長は解任され、恩地もふたたびアフリカに左遷されてしまう。
三時間半という異例の長い映画、辿り着いた結末はハッピーエンドには程遠い内容で、映画鑑賞後の爽快感のようなものもなんとも感じ難い・・・
しかし、この映画の主人公の恩地とか国見って、良くも悪くも一昔前の昭和の人間ですね。
今の企業戦士では恩地や国見にはきっと共感できない、もっとうまい闘い方があるはず、と感じてしまうのではないでしょうか。
こんな斜陽の国民航空なんか見捨てて、さっさと転職すればいいじゃないか?なんて感じちゃうんですよね。
昨今のJALの経営危機などは、『沈まぬ太陽』に描かれたような膿が現実に噴出した結果のような感があります。
まさに映画に現実が追い付いてきている。
そういう意味では、非常にタイミングがよかった映画なのかもしれません。