「時が滲む朝」読後感 | グルコサミン博士のブログ

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第139回芥川賞を受賞した楊逸(ヤン・イー)さんの「時が滲む朝」を読みました。中国語を母国語とする人が日本の最高の文学賞に選ばれたのはすごいと思います。


小説の概略は以下のとおりです。

浩遠と浩強という高校生。彼らは親友同士であり、揃って成績優秀。二人して秦都の大学に合格し、将来、国のために役立つ人間になるべく勉学に励んでいた。やがて吹き荒れた民主化要求の動き。その急先鋒は大学生であり、彼らふたりも国を愛する一心でそれに参加した。そしてあの天安門事件。民主化運動は壊滅させられ、失意の最中、彼ら二人は、民主化運動などより今日食べるご飯のほうが大事、と主張する街の人たちとつまらないケンカを起こしてしまい、退学させられる。将来への希望に胸がはち切れそうだった若者は、一転、大学の寮から街へ放り出された。予想だにしなかったどん底生活を味わった後、浩遠は日本の東京で生きる道を選び、浩強は秦都で起業家への道に踏み出すことになる。


著者、そして主人公たちと似たような人生を歩んできた私としては、時には感情移入がつよすぎて、胸が熱くなった部分もありました。政治に翻弄される人々、大学で学ぶということ、理想と現実の生活との相克、異国で暮らすことの難しさ、そして故郷と母国への愛・・・。


中国もさらに変わって行くことでしょう。そしてその変化の方向は、最終的には生活者である国民が決定していくのだと思います。現在という短いスパンから見れば優れた個人が時代を動かしているように思われますが、50年、100年などという長い単位で時間の流れを見れば大衆が動かしている。。。。。生かされている人生を淡々と受け入れながら、一日一日を大切に過ごして生きたい。そんなことを再度感じさせてくれる作品でした。