1972年の6月25日2人は 高校卒業する前の バス旅行一泊二日の旅に鳥取県米子市に近い「金田川蛍の里」に来ていた。
「米子の弓ヶ浜海岸〜とっても綺麗だったね〜💓」と すっかり中学時代の花子より 大人びた顔立ちになった花子は さりげなく 良太郎に近づき 手を握る。
「君の方こそ 前よりも もっと もっと綺麗になった〜」
にっこり微笑み 良太郎も花子の手を 小刻みに揉む。
時刻は19時過ぎ 日が長くて 本来なら まだまだ 日差しが強いはずなのに 遠く出雲の方から 積乱雲が発生してきた。
「うわっ、なんか 暗くなってきてるょ 良太郎くん」
「傘持ってきてないよね? やばいなあ花子。」
「な〜に 雨が降ってきても 宿まで歩いて 30分こっからかかるけど それでも 大好きな良太郎くんの前だと ずぶ濡れでも なんか楽しく感じない?」
「そりゃそうだ。でも 風邪ひくよ〜 月曜から 学校休むことになるかもしれないぜ。」
2人は 金田川を散策しつつ さりげない会話を楽しんでいたら
本当に ポツポツと夕立が降ってきた。
「うわっ マジか〜 しかも この雨 なかなかやまないパターンの 雨じゃね?」
少し空を見ながら うろたえる花子。
みるみるうちに ザァザァ振りになってきた時、良太郎の背負っている軍服に着いてるような鞄から良太郎は 以前 花子に見せた 黄金バッドが着るようなマントを取り出した。
花子「えっ?このタイミングで 変身?? それ おかしくない?」
良太郎「ふはははは このマントは こう使うのさ。」
マントを 花子と共に 被さるように 傘がわりに上に乗せて 帰り道の休憩小屋のところまで 2人ダッシュしたのだった。
花子「良太郎くん ナイスグッドアイデア💡」
黄金バッドが着るようなマントを取り出し 雨の中
小屋まで 走り出す良太郎と花子(イメージ画像)
小屋までついて2人は 雨が止むまで意味深なトークをし始めた。
花子「良太郎くん、将来の夢なんなの?」
良太郎「僕は世界各地を旅するカメラマンになることさ」
花子「えっ?そんな……外国に良太郎くんが 行っちゃうなんて あたし 泣いちゃいそう」
花子は涙目になり不安そうだ。
良太郎は そんな 悲しそうな花子の肩に そっと手を置いて こう言った。
「やだねったら やだねっ 花子。まだカメラマンの試験も合格してないのに〜」
「だよね。 やだ 私ったら うふふふふ」
チョコバットを 鞄から取り出しながら花子は笑った。
「美味しい〜!近年発売された このチョコバット!
良太郎くんも いる? カバンの中に 3つほど 美味しすぎるので 実は 入ってんだぁ」
「サンキュー!もらっておくよ。 てか カメラマンのための試験は この夏にあるんだ。
その結果が よくても 悪くても 秋には一緒に コスモス見に行かない? 最後かもしれない だから
花子と 2人でコスモスを見ておきたいんだ。」
「最後かもしれない なんて……なんで 急に」
また 悲しそうな目になる 花子に良太郎は 優しい口調で言った。
「ごめん、 冗談冗談よ。 そんな〜ありえんよ」
でも カメラマンの仕事で 海外に行って 時に紛争などに巻き込まれて帰ってこない人を良太郎は この時すでに知ってたようだ。
しかも 良太郎の父親が ベトナムに行って 帰ってこないことを………
彼は 立派なカメラマンだった
良太郎も冗談だよと花子には 言ってたが
親のツテもあるので夏の カメラマン採用試験にはシードで合格する予感もしていたようだ。
少し感慨深い話の後に
まだ19時台なのに 金田川の 森林と川の雰囲気は 薄暗く なっていた。
しかし
川の上流で やたらと幻想的な光が輝いている。
「す、すごいよ花子、あれ 見てごらん」
花子の手を強引に引っ張って 上流の 水車が回ってる
小屋のあたりまで 走っていく2人。
そこには 光っては消える 蛍の大群が乱舞していた。
金田川の渓流の流れも 蛍の乱舞で
より幻想的に感じた。
「すごーーい💓 こんな綺麗な蛍の乱舞って はじめてだわ。」
「最後かもしれない だから ぜんぶ僕たちの胸に この景色を 宝にしておこう」
「えっ 最後かもしれないだなんて〜そんな 儚いこと言わないのっ良太郎くん。 この 蛍さん 確かに儚い命だけど……
でも 綺麗〜 」
「あっ 蛍も綺麗だけど 上空 を 見上げてごらん花子。」
花子は そっと上空を見上げた。
外には満天の星が 蛍の乱舞と金田川の渓流を より神秘的に 輝かせる。
「feel the moon月を感じよう。
てか なんだか 蘇州夜曲を 歌いたくなるんだけど〜
」と 花子。
君がみ胸に抱かれて聞くわ 〜🎵
夢の舟歌 鳥の歌
水の蘇州の 花散る春〜
って 花散る 春?? んん? 花子の 恋が散るのぉー!
OH no😅
自身で蘇州夜曲を歌って その歌詞に 思わず 自我自傷してしまう花子。
軽く パニくってる花子に 後ろから抱きしめて良太郎は
こう言った。
「花子、見上げてごらん 夜の星を⭐️」
花子が良太郎の 声がけに 合わせて夜空を見上げれば
星と満月と なんとも美しい夜だと 2人 この蛍の乱舞の景観と共に心に刻んだのだった。
そして 夏。
予想通りか
旅するカメラマンの仕事が採用された 就職前祝いの旅行を兼ねて
良太郎と 花子は コスモスの綺麗な岡山県北房町コスモス畑に出かけた。
「良太郎くん 旅するカメラマンの お仕事 採用おめでとう。」
「父さんの夢 まだまだ 世界各地を旅したかったのに 志半ばで 旅先で 消息を絶ってしまった。
もしかしたら そのベトナムに父さん生きてるかもしれないんだ。
父さんに 会うためにベトナムにいく意味もあるんだ。」
良太郎は 花子の手を引っ張りながら コスモス畑の近くの道で 力強く言った。
「そ、そうだったのね……
はじめて それ聞いたわ。 単にカメラマンとして世界を旅したい わけじゃなかったんだ」
「あぁ でも 日本に戻ってきた時は 君との時間 なによりも どんな時よりも 宝だと 思って過ごしたい。
だから だから 僕は 最後には お父さんも 呼んで君と盛大に お祝いされた結婚式を挙げたいんだ!」
「まぁ💓」
ほんのり 花子の顔が桜色に色づいた。
そんな桜色と 同化してなのか?歩いて すぐのところにコスモス畑が ちょうど 立体的に広がっていた。
しかも
先ほどの わずかな キツネの嫁入りが降ったせいか
外には 虹が
かかっていた。
「OVER the rainbowーー🎵」
良太郎は まるで 祝福された未来が2人には あるのかと思えるほど 花子の手を持って 2人で 大きく万歳した。
それから 良太郎はカメラマンとして 各地を旅して
帰った時には花子に甘える日々を過ごしていた。
21歳の春。1974年4月。
良太郎は ベトナムに旅立つことに
ある駅のホームでの会話
良太郎「僕は父さんのいなくなってしまった。ベトナムに これから 旅立つことになった。」
花子「……………」
思わず 言葉がでない花子。
もちろん 色々言いたいことがあり 寂しさと切なさと もどかしい気持ちで内心は はちきれそうだった。
良太郎「何も言わなくていい 今は。
来年の10月10日の午後16時に あの僕と君が結ばれた
岡山県成羽の 吹屋ふるさと村 一本の大きな思い出の柿の木の下で 待っていてほしい。
きっと 無事なら
僕は そこにいくから。
必ず 生きて帰ってくるから………
良太郎は 色々 言い出そうとする花子を遮って
人混みの中に消え電車に飛び乗った。
花子は 涙流しながら 良太郎に手を振った。
良太郎「たっしやでなぁーーー」
良太郎は どんどん 小さくなって 見えなくなっていった。
果たして 来年の10月10日
大きな思い出の柿の木の下に 良太郎は 生きて戻って帰れるのだろうか……
次回乞うご期待。


