Newsweek日本版で、
「安田純平さん拘束と、政府の「国民を守る」責任」と題された
元朝日新聞の川上泰徳氏の記事を読んだ。
論旨としては、
当シンポジウムにおいて、
安田さんの救出に関して、政府の関与を求めるかどうかが
議論の焦点となり、
ジャーナリストの間では「日本政府を頼らない」という意見が多いが、
オバマも、人質事件の対応策を全面的に見直して
「テロ組織に妥協しない」という方針を大転換し、
「自国民保護を最優先する」大統領令を出したのだから、
日本政府にも「国民を守る」責任を全うするよう求め、
内外、官民が幅広く協力し合って安田さん救出に当たるべきではないか、
というものだった。
政府には、国民を守る義務があるのは当然だが、
現実を見るべきではないだろうか。
3.11の震災および原発事故、IS日本人拘束事件、次いで、熊本地震、
政府は何をしてきたのか?
日本政府は、「国民を守る責任」を果たしているのか?
捏造された温暖化人為論と原発推進、
地下資源開発とCO2地中貯留と誘発地震・・
これらは、現在進行形、ひとつながりで利権を漁る
グローバル企業と結び付いた国策であり、
その国策は、国民を危険の淵に追いやっている。
すでに政府は「国民を守る」というより
「攻撃している」状態と言えるかもしれない。
邦人拘束事件に関しては、
今も「政府の責任」を「国民の責任」にスライドさせるトリックに
騙されている人は多いが、ほぼ落語の「時そば」と同じほど単純な詐欺だ。
政府が「政府の責任」を怠っていることを覆い隠すために、
逆に「自己責任」という珍説を編み出し、
国民に責任転嫁してきたのである。
そもそも、憲法上、移動の自由という基本的人権がある。
危険な仕事に携わる人々は、
個人でできるリスク管理も行うだろうし、
相応の覚悟はあるだろうが、
一方では、国民の生命が危うくなったら、
国民の生命を守る責任は、
困難な仕事が増えようが、金がかかろうが、
人命最優先で政府が負わねばならない。
現政府にインテリジェンスやネゴシエーションの能力が
あるかとうかは別として、それが、政府の義務なのである。
義務が果たせなければ、糾弾され責任をとらされ、
辞職に追い込まれるのが本来あるべき成り行きだ。
しかし、現実は、義務を果たしていない政権が居座っており、
国民は、わざわざ税金を貢いで
政府に攻撃を仕掛けてもらっているというジレンマから
一刻も早く抜け出なければならないという時に、
「政府の国民を守る責任」を果たすよう働きかけ、
安田さん救出の陣頭に立つよう頼もうという考えは、異常ではないか?
税金は、不透明な特別会計や官房機密費などの莫大な金の
既得権益を貪らせておくためにあるのではない。
人命救助のために収めた税金が有意義に使われたならば、
互いに支え合う社会であることを心から喜べるだろう。
強欲な金持ちにタックスヘイブンを用いた税金逃れなどされることなく
累進課税が行われる真っ当な世の中なら、
闇資金がテロの温床を築くこともない。
いまだに「自己責任だろう」「迷惑をかけるな」「税金の無駄遣い」などと
思っている人々は、官房報償費(官房機密費)などの
驚きの中身をチェックしておいた方が良い。
知れば自分の頓珍漢に気づくだろう。
因みに、官房機密費(報償費)は、
内閣分で、月/約1億で 年/約12~13億と言われているが、
実は、本来外務省が使う外務省分、年/約20億を官邸に移して、
内閣が、合計で年/約32~33億円を使っている。(平成元年時点)
その官房機密費の詳細な使途は、
こちらに、公開されている。
やりたい放題、酒池肉林、贅沢三昧に年33億が使われている。
日頃、リスキーな紛争地域の取材は、
ほとんどフリージャーナリストに頼り切りの大手メディアが、
いかに官房機密費から出る金に、
転ばされ飼われているかも解る内容だ。
自己責任論を煽ってきた大手メディアの方こそ、
正しい報道を怠っている罪は重いが、その責任をどう取るのだろう。
正しい報道を行う努力を続けているジャーナリストを支援し、
購買行動を変えることでメディアの腐敗を許さないという
意思表示が必要だと思う。
2015/5/27 安倍「安全な場所に派遣するという気持ちは、さらさらなかった」
政府は、国民を守る「政府の責任」など果たしていない。
小泉政権時代から、
憲法違反の自衛隊派遣を行い、アメリカの誤った戦争に加担した。
自衛隊員やイラクで活動する人道支援家やジャーナリストらを
危険に晒した。
安倍政権に至っては、
シリア邦人人質事件を「テロとの戦い」の必要性のPRの材料にし、
強引に戦争法を成立させたのだ。
川上泰徳氏の言説は、
只今現在の現実に対応していない。空論ではないだろうか。
オバマが人質返還政策の方針転換をしたと言っても、
実際に調べてみると事実は異なる。
転換と言えるほどのものではないようだ。
その内容(2015年6月24日人質返還政策の見直しと関連立法―政策見直し報告と大統領令)の一番のポイントは、人質家族の心労を問題にしている点だ。
イギリスにもある法律だが、アメリカでは身代金を提供した者には罰則規定があり、人質家族などが身代金を支払った場合、
罰金や懲役刑が課されることになっている。(但し実行されたことはない)
これを見直し(法規定の段階ではない)、
家族の支援やケアにもっと尽力していこうというものだ。
基本的に「犯人側に譲歩しない」という考え方は固持した上で
「接触はするが交渉はしない」という意味不明なものであるし、
問題対応のための関係省庁の組織再編に対しても、
人質家族から官僚的な機能不全という旧弊に陥る可能性が懸念され、
議会からも実効性について様々な批判や議論があるようだ。
つまり、オバマの大転換とみせた人質返還政策は、曖昧模糊とし、
さほどの方針転換はできていない。
世論をなだめるポーズでしかないのだろう。
日本に視点を戻せば、安倍政権だ。首を振らざるを得ない。
現在、私たちが「国民を守る」責任を求め、協力し合えるだけの
信頼に値する政府ではないことは明らかだ。
川上氏は、
跛行状態の安田さん救出の複数の動きのツナギ役を
買って出ているように見受けられ、
政府が責任を果たすよう働きかけ、
政府主導でジャーナリストも協力し合う体制を期待しているようだ。
しかし、それは絵に描いた餅ではないか。
アメリカ政府の例でも、複数の窓口の対応が調整できず混乱し、
相互に矛盾した情報がもたらされるなど、
しばしば官僚制の弊害に戸惑ったという人質家族の経験談もある。
人の生命がかかった救出計画についての言辞としては、
あまりにも粗放ではないだろうか。
理想をかざすのは結構だが、
国民の命を守ることは政府の責任だと追及するタイミングなら、
今までも腐るほどあったはずだ。
今、安田さんの生命がかかっている事件を出汁にして
持ち出すべきではないだろう。
救出にあたって政府との連携が成功するという根拠はほぼないが、
政府は失敗した前科があり、その反省もしていないのであるから、
失敗に終わるにちがいないという根拠は、揃っているのだ。
願望と現実の違いを悟らねばならない。
メッセージ後半部・映画『Manglehorn』の台詞を引用 (解読詳細はこちら)
因みに、安田さんメッセージの後半部について、
川上氏は、次のように分析している。
~この言葉は日本では未公開の米国映画のせりふと似ているとの指摘もあるが、安田さんがこの言葉を「国に対して」と前置きして言ったことは重要な意味を持つはずだ。安田さんは自ら日本政府に助けを求めることはなかったが、一人の日本人が、どこかで囚われ、苦しんでいるのに、その日本人は存在しないことになっている、というメッセージを安田さんは「自分の国に向けて」発しているのである。~
個人的には、安田さんメッセージの後半部の
I have to say something to my country. 以下について、
"to my country"と言っているのであって、
"Japanese government"と言っているわけではないので、
「国に対して=日本政府」というよりも、
「国に対して=日本の人々へ」のメッセージだと受け取った。
また、
英語では、自分の体験を相手に共感してもらい易いように、
あるいは、一般論を語る時に、
You を使う話法は普通に使われるが、
安田さんは、この話法を利用し、自分の体験としてばかりでなく、
You を文字どうり 「You =日本の人々」に起こっていることして
このメッセージを送っているのではないかと思う。
【後半部】
I have to say something to my country.
When you’re sitting there,
wherever you are, in a dark room,
suffering with the pain,
there’s still no one.
No one answering.
No one responding.
You’re invisible.
You are not exist.
No one care about you.
私は、私の国に対して何か言わなければならない。
あなたがそこに座っているとき
あなたが暗い部屋に座り
痛みに苛まれているとき
どこにあなたがいるにせよ
誰もいない
答える者もいない
反応する者もいない
あなたは目に見えない存在だ
あなたは存在しない
誰もあなたを気にかける者はいない
このメッセージは、
~「日本の人々へ」言わなければならないこと~
自分の置かれた状況について語っているようにも聞こえるが、
それは、同時に、日本の人々の置かれた状況だということだ。
~安田さんが置かれた状況、
物理的に鍵がかけられた監獄に囚われた囚人であるのと同じく、
「日本の人々」もまた「情報を遮断された監獄」に囚われた囚人である。~
安田さんは、拘束されながらも、
ジャーナリストとして、日本の人々に警鐘を鳴らしているのだと思う。
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"Every man for himself
自分の頭で考えて行動せよ"
~映画『Manglehorn』
ロック&キーを扱う鍵屋マングルホーン
"恐怖によって政治的な要求を通す行為が「テロ」であるならば、
そうした感情に流されず、
冷静に、具体的に、論理的に考えることこそが
最大の抵抗である。"
~ジャーナリスト・安田純平
高藤菜穂子さん
イラクで人道支援を続けている高藤さんも、
同じように、「日本は情報鎖国である」と警鐘を鳴らしている。
常岡さんは、より具体的に
アドヴァイスをして下さっている。
活用しましょう。
☪常岡浩介容疑者@shamilsh
日本の新聞を読む時間があったら、日本語で発信している海外メディアの記事に目を通しておきましょう。それから、新聞は無能でも、シリアをちゃんと伝えている日本語の書籍はいっぱいあります。以下にまとめてみました。
https://twitter.com/shamilsh/status/717615759921442816