地中海沿岸に伸びる高級保養地
コート・ダジュール(リビエラ)に位置するモナコ公国は、
三方をフランスに囲まれ、南は地中海に面した丘陵地帯である。
モナコのモンデ・カルロはカジノ賭博の街として、
また、F1、WRC・ラリー・モンテカルロが開催されることで知られる。
モナコの隣に位置するカンヌでは、
1946年にフランス政府が開催して以来、
毎年5月カンヌ国際映画祭が行われている。
この映画祭に訪れたグレース・ケリーは、
モナコ大公レーニエ3世と知り合った。
グレース・ケリーは、
1956年のミュージカル映画『上流社会』を最後に女優業を引退。
モナコ大公レーニエ3世と結婚し、
モナコ公妃となった。
同時代の女優マリリン・モンローとは対照的な、
気品に満ちた美貌で「cool beauty」と賛美され
人気絶頂の最中のことであった。
一方のマリリン・モンローは、
マフィアとの関係が深いシナトラの紹介から、
1950年代より米国ケネディ大統領と不倫関係にあり、
さらにケネディ大統領の弟、当時の司法長官だったロバートとも
不倫関係にあった。
1962年8月5日、ロサンゼルス郊外の自宅で
睡眠薬の大量服用による急死であったが、
何らかの不都合な秘密事項を記録していたと思われる
モンローの赤い手帳が消えていたことから、
暗殺説が囁かれ、今もその死は謎のままである。
さて、グレース・ケリーが皇妃となったこのモナコという世界最小国は、
タックス・ヘイヴンのひとつとして知られており、
個人居住者に対して所得税を課していない。
所得税がないため、
モナコ国外からほとんどの収入を得ている富裕者の多くが
この国にやってくる。
ただし、1957年以降に移住したフランス国籍者は
例外として税金をフランス政府に納める。
これがフランスが併合を強要しない主な理由である。
モナコはカジノを含め、資金洗浄に対し監視が甘い政策で、
モナコ政府による圧力によって、
司法当局は適切に調査していない。
そればかりではなく、
モナコには、もうひとつ重要な
アンタッチャブルな事実が隠されている。
滅びの麻薬、ヘロインである。
ヘロインが欧州に齎らされる重要な経路は、
このモナコなのである。
ヘロインは、夏の間、
コルシカ、モナコ間を往復するフェリーに積み込まれて、
コルシカからやってくる。
コルシカからモナコを経由して、フランスに運ばれる迄、
実質的な国境が存続しない為、通行自由な国境を通過して
ヘロイン運搬の際にも国境検査されないという訳である。
モナコ王室は何世紀にも渡って、
麻薬密輸に関与してきたのだ。
1982年9月14日、
南仏のロックアジェル坂道で一台の乗用車が、
急カーブを曲がりきれずガードレールに激突。
道路横の崖を40メートルほど転落して自動車は大破した。
ドライバーの女性は事故後すぐに病院へ搬送され
意識が回復しないまま翌日に死亡。
同乗していた次女は、軽傷で一命を取り留めた。
事故死したのは、グレース・ケリーモナコ公妃(享年53歳)、
同乗していた次女のステファニー公女(当時17歳)であった。
33年前のグレース公妃のこの自動車事故死は、
一説には、ブレーキオイルが漏れるように細工がされていたとして、
今尚、暗殺ではないかと疑われている。
外部者は、誰にも車は調べることはおろか、
近づくことさえ許されず、
トレーラーに乗せられ、カバーで覆い隠されて、
警察が保管してしまったのだという。
このグレース妃の死の15年後、1997年8月30日に、
同じく、自動車事故で、
元・ウェールズ公妃ダイアナも、
婚約者・エジプト人大富豪のドディ・アルファイド氏と共に
死亡した(享年37歳)。
マリリン・モンロー、グレース・ケリー、ダイアナ、
恐ろしいデジャブである。
さて、
グレース・ケリーは、モナコ皇妃となって、
唯一出演した映画作品が存在する。
邦題『悪のシンフォニー』である。
国連が製作した麻薬撲滅キャンペーン作品で、
煌星のような多国籍のオールスター・キャストらは、
全員に1ドルのギャラが支払われての
ボランティア出演によって実現した。
007シリーズの
イアン・フレミング(英海軍情報部の元スパイ)の原作であるが、
いかにも凡作の仕上がりである。
しかし、一般公開される段になって、
グレース・ケリーは王妃としての出演場面はカットされた。
ABCのテレビ放送のため80分の短縮版と、
その後アストラル映画による米国劇場公開用の
100分の完全版とが存在する。
タイトルも、
元々の原題は『Poppies Are Also Flowers(ケシもまた花である)』であるが、
The Opium Connection(アヘン・コネクション)
UKでは、Danger Grows Wild (危険は野生する)と3種ある。
いわゆる駄作と言われたこの作品において、
私が、注目するのは、
麻薬密売の重要ルートになっている
モナコという国の裏事情と、
『悪のシンフォニー』という映画が暴く「悪」は、
等しいということ。
さらに、麻薬密売に手を染め続けてきた国の皇妃グレースケリーが、
国連制作の麻薬撲滅キャンペーン映画に出演しているという
皮肉である。
内容は、あらまし次のようなものだ。
――アヘンのルートを追っていた一人のアメリカ麻薬捜査官が、
イランの山岳地帯で、アヘン商人に化け、
けしの栽培をしている遊牧民からアヘンの買い取りに成功した。
ところが彼は、数日後、死体となって発見される。
イランの首都テヘランの、サレム大佐の事務所に、
国連麻薬対策委員会のイラン代表博士、アメリカ財務省のジョンズ、
国連職員のリンカン、国連化学研究所の美人学者らが集まり、
麻薬業者を一網打尽にすべく頭をひねっていた。
彼らは、ある奇策を練った。
アヘンに放射性分子を染みこませ、
放射性物質を測量するガイガー・カウンターを使って、
麻薬の総元締めを捕らえようという計画である。
まず、放射性物質が仕込まれたアヘンは、ナポリに運び込まれた
ナポリは、アヘンがアメリカに輸出される基地となっていることで
有名な港街だ。
アメリカ財務省ジョンズと国連のリンカンは、ナポリの検査官と共に、
疑わしいスパゲッティ屋の工場を訪れ、
地下室が麻薬精製所になっていることを突き止める。
しかし、重要な証人となるはずのアヘン中毒の踊り子が、
怪力の男に殺されてしまい、捜査は暗礁に乗り上げた。
ところが、一匹の警察犬が、アヘンの匂いを嗅ぎつけて意外な発見をした。
ナポリの港に碇泊していた欧州の実業界、社交界に君臨する
大富豪の船である。
彼を追ってモンテカルロの夜会に出席したリンカンは、ヨットに招待され、
船の内部をさぐっていた。
それを富豪の夫人に見られ、リンカンは、船員に射殺されてしまう。
しかし、リンカンは、「パリ行きブルー・トレイン夜行列車」という
メモを遺していた。
アメリカ財務官ジョンズは、この列車に乗り込み、
ついに、アヘン密売の黒幕の大富豪ら一味を倒した。
しかし、麻薬追放のため、命をかけた闘いは、
これから始まるのだともいえるのだ。―――
最後には、
アメリカの財務官が生き残って、
事件をそっくり片付けるというストーリーも
お笑い種である。
英国・東インド会社の海賊貿易システムは、
アメリカに、そっくり引き継がれ、
今も尚、CIAが、麻薬貿易を操作している。
正義を謳い上げて自己正当化する欧米のエスタブリッシュの気質が
そのまま表れた陳腐な映画である。
FULL 1966 Poppies Are Also Flowers
イアン・フレミング・原作
ジョー・アイシンガー・脚色、
007シリーズのテレンス・ヤング監督
ユル・ブリンナー、マルチェロ・マストロヤンニ、オマー・シャリフ、E・G・マーシャル、アンジー・ディッキンスン、トレヴァー・ハワード、ハロルド・坂田ほか多数出演。
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Directed by David Fincher 1993
「Who Is It」from Dangerous (1991)
さて、
今日の本題は、
マイケル・ジャクソンの『Who is it』なのです。
そして、ここまで語ってきたお話は、
マイケルの楽曲のSFの中でも、
最も謎めいている『Who Is It』において、
マイケルが、深層に秘めて伝えようとしていたメッセージに、
関わる内容です。
前振りが長くなってしまったので、
一旦仕切ります。
「Who is it」の謎 のお話は、
つづく・・