①のつづきです~。
孤児院や神学校など、カソリック教会聖職者と子供たちが共同生活を送る施設で
[児童への性的虐待]が常習的に行われ、その事実は隠蔽されてきた。
この問題を2002年にアメリカのメディアが大々的にとりあげたことをきっかけに、
アイルランド、メキシコ、オーストリアなどの国々でも訴訟が起き、
イギリス、オーストラリア、オランダ、スイス、ドイツ、ノルウェーにおいても
一挙にに問題化した。
そして、2010年3月28日には、ロンドンで当該問題に対する
ローマ・カトリック教会の責任を問い、
教皇ベネディクト16世の退位を要求する抗議デモが行われる事態に発展した。
ローマ法王ベネディクト16世は、2010年4月18日、訪問先の地中海の島国マルタで、
虐待被害者の男性8人と会談、涙ながらに謝罪。
法王は8人とともに祈った後、「遺憾と悲しみ」の意を伝えた上で、
事件の徹底的調査と 責任者の処罰を約束した。
2013年の2月11日に、ローマ教皇ベネディクト16世は教皇職を退位を表明。
本来、教皇職は、終身制が慣習となっているため、カトリック教会の指導者としての退位は1415年にグレゴリウス12世が教皇職を放棄して以来のことであった。
ベネディクト16世は、児童性的虐待の他、
バチカンによる麻薬犯罪の黒い金のマネーロンダリングの問題、
また、避妊、人工妊娠中絶、同性愛に対しては、断固反対の立場をとり、
アフリカにおいて、HIV感染予防に用いられるコンドームの使用に反対するなど
無知蒙昧な発言が批判を受けた。
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さて、実話に元づく映画「オレンジと太陽」のお話しに戻ります。
マーガレット・ハンフリーズは『児童移民』の問題の抗議活動の中で、
あらゆる妨害や、誹謗中傷に立ち向かいますが、
被害者の悲しみに同化し、心的外傷後ストレス障害に陥ってしまいます。
そんな彼女を最も恐怖させたのが、生々しい児童虐待の現場である
キリスト教会の養護施設に足を踏み入れることでした。
当初、彼女は、そこにだけは、訪れることを頑なに拒否していました。
おそらく、マーガレット自身も、人生の節々に、教会に足を運ぶ
キリスト教社会に育った少女であったはず。
深い信仰心があろうとなかろうと、教会は聖なる空間であるという観念は、
自然に根付いていたことでしょう。
しかし、彼女が直面させられた真実は、そうではありませんでした。
幼いころから植え付けられ潜在意識の中で拠り所としていた
教会の聖なるイメージが壊れ去ろうとしていたのです。
彼女にとっても、教会の醜い真実の姿と向き合うには痛みを伴うことであったでしょう。
増して、彼女にとって兄弟姉妹のような絆が生れてきた被害者らの痛みは、
彼女自身の痛みになっていたのですから。
そこにある真実は、
非力な幼い子供たちに酷い折檻を行い、
醜い欲望の捌け口に、子供たちを性の道具のように扱う邪悪な場所でした。
そして、聳え立つ大きな教会の、
その石塀や十字架の塚など、殆んどの建造物は、
小さな子供たちの傷だらけの手によって、
重い石を積み上げられて造られたものだったのです。
聖なる仮面を被った欺瞞と邪悪の巣のような場所。
それを直視することを拒むマーガレットに、
被害者の中でも、用心深く、最も心を閉ざし、
人を信じることを恐れていたていた男(レン)が、彼女を説得します。
「あなたも頭の中の怪物を追い払ったらどうだい?」と。
そして、彼と共に、荒涼とした大地に建つ、教会の養護施設を訪れ、
聖職者たちと対峙するのです。
ちょうどお茶の時間に集っていた聖職者たちとにとって招かれざる客である二人。
無言のまま、緊迫した空気が流れますが、
マーガレットは、言い放ちます。
「あなた方は、私を恐れているのですね?
恐れる必要は、ありません。あなた方は大人なのですから。」と。
この被害男性レンは、ある聖職者に常習的な性的虐待を受けつづけた、
最も傷ついた子供の一人でした。
彼は、「ぼくは、奴のお気に入りだった。8歳以降、泣くことも忘れたよ。」と言い、
彼は、感情を封じてまま大人になり、事業に成功し、一見、ハンサムなアッパーミドルの
スノッブな人間に見える男になっていました。
教会から押し付けられた「養育費の借金」は、呪文のように彼を縛り、
彼は、借金返済という名目の多額の献金を強いられており、裏手にプールを拵えるなどし、いつしか、教会に対して有力者となり、発言権を持っていたのです。
凍りついている聖職者に、客にお茶を振舞うよう所望します。
子供時代を奪い尽くした教会の養護施設を訪れても、
乾ききった大地のような心のレンは、
もはや、涙一滴こぼれないけれども、「あなたは、ちがう」と言い、
マーガレットの存在だけが、「自分たちに与えられた贈り物だ」と彼女に告げます。
そんな二人が、
車の中で、カーステレオから流れてくる音楽に
声を合わせて歌うシーンがあります。
その挿入歌は、キャット・スティーブンスの『WILD WORLD』。
この曲を訳してみます♪
キャット・スティーブンスは、以前紹介したことのある、
映画『ハロルドとモード 少年は虹を渡る』の中で、音楽を提供し
『If you want to sing out, sing out』を書いた人ですね♪
キャット・スティーブンスというミュージシャンは、
ジミ・ヘンドリックスなどとも音楽活動を共にし、
1960年代後半以来世界中で6000万枚以上のソロアルバムを売り上げ、
栄光の頂点にあった1977年に、イスラム教に改宗。
ポップ・スターであることより、自らの音楽を通じて平和活動に専心することを
志向するようになります。
しかし、911以降イスラム教にたいする弾圧傾向を強める
アメリカや、イスラエルへの入国を拒否され
FBIに身柄を拘束されるという事件もありました。
WILD WORLD
Now that I've lost everything to you,
you say you want to start something new,
and it's breaking my heart you're leaving,
baby I'm grieving.
どうやら ぼくは君のために全てを失ったようだ
君は新しい何かを始めたいと言うんだから
そして、君が去ってしまうと僕の心は壊れてしまうよ
ベイビー ぼくは悲しみで打ちのめされている
But if you wanna leave take good care,
hope you have a lot of nice things to wear,
but then a lot of nice things turn bad out there.
でも もし君が出て行きたいのなら どうか体を大事にしておくれ
素敵な事がたくさん起こる事を願うよ
けれども 良い事は悪いことに変わるものさ
Oh baby baby it's a wild world,
it's hard to get by just upon a smile.
Oh baby baby it's a wild world.
ああ ベイビー、ベイビー ここは荒れ果てた世界
ただ微笑みを浮かべて乗り切るのは難しい
ああ ベイビー、ベイビー ここは荒れ果てた世界
I'll always remember you like a child, girl.
You know I've seen a lot of what the world can do,
and it's breaking my heart in two,
cause I never want to see you sad girl,
don't be a bad girl,
but if you want to leave take good care,
ぼくには いつだって君は子供のままなんだ ガール
解るかい?ぼくはこの世界がしてきた多くのものを見てきたよ
そして、それが僕の心を二つに引き裂いているんだ
ぼくは君が悲しむのを決して見たくないよ
悪い女の子にならないでおくれ
でも もし君が出て行きたいのなら どうか体を大事にしておくれ
hope you make a lot of nice friends out there,
but just remember there's a lot of bad and beware,
beware,
そこでいい友だちを沢山できる事を願うよ
だけど 悪いことが沢山あるってことを ちゃんと覚えておくんだよ
そして、気をつけるんだ、 どうか気をつけておくれ
Oh baby baby it's a wild world,
it's hard to get by just upon a smile
Oh baby baby it's a wild world,
and I'll always remember you like a child, girl.
ああ ベイビー、ベイビー ここは荒れ果てた世界
ただ微笑みを浮かべて乗り切るのは難しい
ああ ベイビー、ベイビー ここは荒れ果てた世界
ぼくには いつだって君は子供のままなんだ ガール
Baby I love you, but if you wanna leave take good care,
hope you make a lot of nice friends out there,
but just remember there's a lot of bad,
and beware, beware,
ベイビー 君を愛しているよ
でも もし君が出て行きたいのなら どうか体を大事にしておくれ
そこでいい友だちを沢山できる事を願うよ
だけど 悪いことが沢山あるってことを ちゃんと覚えておくんだよ
そして、気をつけるんだ、 どうか気をつけておくれ
oh baby baby it's a wild world,
it's hard to get by just upon a smile.
Oh baby baby it's a wild world,
and I'll always remember you like a child, girl.
ああ ベイビー、ベイビー ここは荒れ果てた世界
ただ微笑みを浮かべて乗り切るのは難しい
ああ ベイビー、ベイビー ここは荒れ果てた世界
ぼくには いつだって君は子供のままなんだ ガール