今まで、何度か『児童移民』に纏わる
児童虐待についての記事↓を書いてきましたが・・・
※真夏の夜の夢物語~ハーメルンの笛吹き男・マイケルジャクソン
※チムチムチェリー ♪ ~児童労働
※続・チムチムチェリー ~子供たちに愛を
今日は、イギリスの黒い歴史と言われた「児童移民制度」における虐待や強制労働を、
政府相手に告発した社会福祉士、マーガレット・ハンフリーズの闘いの物語を
取り上げた映画についてです。
社会派ケン・ローチ監督の息子ジム・ローチの気骨溢れる初監督作品、
マーガレット・ハンフリーズの著書『からのゆりかご 大英帝国の迷い子たち』を
原作とした『オレンジと太陽』!
児童移民とは、イギリスやアイルランドから二度に渡る世界大戦前後に多く発生した孤児や貧困家庭の子供、不義の子、未婚女性の子などを、植民地であるカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、アフリカのジンバブエなどに移民させた政策のことです。
この政策を受けて、主導したのは慈善団体やキリスト教会でした。
「可愛がってくれる里親の元で適切な保護育成する」と実の親を騙し、
子供には、「お前は孤児なのだ。オレンジの実り太陽が溢れる素晴らしい場所に行くのだ。」と信じ込ませ、親や母国に結びつく出生証明書、あるいは本名も取り上げられ、家畜のように豪州各地へ労働力として、下は3歳の子供たちが、強制的に集団移民させられました。
これは、慈善活動を装った国策であり、そのどれもが、「国威の維持」を優先し、
子供たちをその道具として使役するためのものでした。
カナダの農場では便利な安い労働力として、オーストラリアでは戦後の人口を押し上げる手段として、ジンバブエでは白人の経営エリートを保護する方法として見なされました。
また身体障害のある子供や黒人の子供たちなどは国が受け入れませんでした。
この児童移民は、1618年から1970年まで350年以上にわたって続き、総数は13万人とも15万人とも言われ、特に1950年代~60年代に盛んに行われたと言われています。
第二次大戦後、オーストラリアへの児童移民が集中しました。
作中では、かつてのオーストラリア児童移民の犠牲者たちが、
「Who am I?いったい自分は何者なのか?」という彷徨える魂を抱えて、
エミリー・ワトソン演じるマーガレット・ハンフリーズの元に、次々と集まり、
にわかには信じがたい、自らの過酷な境遇の真実を語り出します。
衣服は古服一枚、食事も水も満足に与えられず、
学校教育も殆んど与えられず、
裸足のまま上半身ほどの大きさの重い石を運び、教会の石積みの工事や、
農作業などの過重労働を強いられました。
殊に甚だしい人権蹂躙は、常時、横行した修道士たちの暴力であり、
最も、子供たちの魂を傷つけ、成長した後も自らを「何ら価値のない存在」と感じさせる怪物を心に宿らしめた醜悪な行為は、「性的虐待」でした。
これは、子供たちを欲望の捌け口の道具にした聖職者による犯罪です。
さらに驚くべきは、一定の年齢に達し、養護施設を出所したあとも、
養育費という名目の、借金を負わされていたという事実です。
1987年にマーガレット・ハンフリーズによって「児童移民トラスト」が設立されるまで、
児童移民の問題は、全く注目されることなく闇に埋もれてました。
国や、教会、慈善事業団体は、「スラムから子供達を救った慈善活動を誹謗するのか!」と抵抗を示し、言われなき中傷や脅迫を受けます。
また、被害者の悲惨な体験を聞くことで、心的外傷後ストレス障害に陥ります。
しかし、家族や被害者たちの励ましに支えられ、活動を続けました。
そして、ついに、2009年11月16日、オーストラリア政府が公式に謝罪を発表しました。
「オーストラリア ケビン・ラッド首相の謝罪
我々は我々の国の歴史の中の醜い過去に対処するために今日ここにいる。
そして我々は我々の国家としての謝罪を行うために今日ここにいる。
我々は、承諾もなしに子供の時にこの島に送られた人々、家族から引き離された
子供であり、幾度も施設で虐待された子供である“忘れられたオーストラリア人”に
謝罪を伝えたい。
その失われた幼年時代の悲劇、絶対的な悲劇に我々は謝罪する。
我々の保護下にありながら、あなたがたに行われたすべての不公正を謝罪する。
国家として、我々は今、本来受けるべき保護を受けてこなかった人々に
対応しなければならない。
真実は、これが醜い歴史であったということである。
我々がこの過去の悪魔に全面的に立ち向かおうとするならば、
我々はその醜さを公平に語らねばならないのである。」
次いで、その3ヵ月後2010年2月24日、イギリス政府が謝罪を発表。
「イギリス ゴードン・ブラウン首相の謝罪
1960年代の後半まで、イギリス政府は、長期間にわたって児童移民のスキームを
サポートし続けていた。
すべての元児童移民および彼らの家族の皆さん、我々は真に謝罪する。
彼らは苦しんだ。
彼らを保護する代わりに、この国が彼らに背信的であったことを謝罪する。
彼らの声に耳を傾けなかったこと、助けを求める彼らの叫びに気づかなかったことを
謝罪する。
そして、正当な完全かつ無条件の謝罪を行うこの重要な日を迎えるまでに、
長い時間が費やされたことを我々は謝罪する。」
つづく。。。