『アラバマ物語』の原題: To Kill a Mockingbirdは、
“Remember it’s a sin to kill a mockingbird.”
"覚えておきなさい。ものまね鳥を殺すのは罪なのだ。"
この台詞から来ています。
この台詞は、いったい何を表しているのでしょう?
その読者からの問いに、作者のハーパー・リーが答えた文章があります。
その内容を訳してみました。
These lines from Chapter 10 are the source of the novel’s title and introduce one of the key metaphors of the book: the idea of “mockingbirds” as good, innocent people who are destroyed by evil. Boo Radley, for instance, is like a mockingbird—just as mockingbirds do not harm people but only “sing their hearts out for us,” Boo does not harm anyone; instead, he leaves Jem and Scout presents, covers Scout with a blanket during the fire, and eventually saves the children from Bob Ewell.Despite the pureness of his heart, however, Boo has been damaged by an abusive father.
The connection between songbirds and innocents is made explicitly several times in the book: in Chapter 25, Mr. Underwood likens Tom Robinson’s death to “the senseless slaughter of songbirds by hunters and children”; in Chapter 30, Scout tells Atticus that hurting Boo Radley would be “sort of like shootin’ a mockingbird.” The moral imperative to protect the vulnerable governs Atticus’s decision to take Tom’s case, just as it leads Jem to protect the roly-poly bug from Scout’s hand.
第10章にあるこの台詞は、この小説のタイトルの元になっています。そして、
この本の重要な鍵の比喩のひとつを表しています。
悪によって破壊される無垢な人、善としての「ものまね鳥」のアイデアは、ものまね鳥のような―ちょうど、ものまね鳥が人々を傷つけることなく、ただ「彼らの心を私たちに向かって歌う」ように、ブーは誰も決して傷つけず、それどころか、ジェムとスコットにプレゼントを置いてやったり、火の中にスコットを毛布で覆い助けたりし、また、最後には、ボブ・イーエルから子供たちを救います。彼の心は純粋であるにも関わらず、ブーは、虐待する父によってダメージを与えられていました。
「歌鳥」と「無垢」の間の関係は、明らかに、何度もこの本の中に書かれました。
第25章、トムロビンソンの死からアンダーウッド氏になぞらえて「猟師と子供たちよって歌い鳥の無意味な虐殺」、第30章、スコットがアティカスに、ブー・ラドリーを傷つけることは、「ものまね鳥を撃つようなもの」でしょう?と言う。アティカスのトムのケースでとった攻撃され易いものを守る方に決める道徳心が命ずるのは、ちょうど、起き上がり小法師ような懲りない虫、スコットの手からジェムを守ることに繋がるのです。
===================================
さて・・
作者のハーパー・リーは、このように述べていますが・・
では、何故、「innocents無垢なもの」としての「songbirds歌鳥」は、
ヒバリでも、カナリアでもなく、
「Mockingbirdものまね鳥」でなければならないのでしょうか?
「Mockingbird」のMockとは、このような意味があります。
Mock= まねてあざける,まねてばかにする.
(人の行為などをからかって)まねる.
(攻撃などに)抵抗する, 屈しない
Mockingbird、和名「マネシツグミ」は、
北米南部産の、ほかの鳥の鳴き声を巧みにまね、
生涯ペアを代えない固い絆の象徴でもあるそうです。
名優ロバート・デュヴァルの俳優としての第一歩が、
Mockingbirdに例えられた、知的障害をもち父親に監禁され、
村人から怪しまれている存在、Boo Radleyの役でした。
しかし、好奇心旺盛で物事を素直にとらえる子供たちは、Boo Radleyが、
実は心根の優しい人物であることを確信するのです。
この役は、一切台詞がなく、影のように大きな図体を人目から隠して生き、
まるで湖面のような澄んだ瞳が、まさに鏡のような効果を表す、不思議な人物で、
研ぎ澄まされた演技力を必要とします。
彼の眼差しは、鏡のように、彼と対峙する者の真実の姿を映し出すのです。
あなたが、鏡の前に立った時のように、
その目に、怪物を見る者は、すなわち、自分こそが怪物であり、
その目に、無垢を見る者は、すなわち、無垢なる人であるということを表しています。
鏡に映るあなたは、こちらに立つあなた自身の「ものまね」をします。
「Mockingbirdものまね鳥」が、あなたの声色を見事に真似るのと同じように。
================================
さて、
マイケルジャクソンは、
ちょうど2002年に、Neverland Entertainmentにおいて、
MDP Worldwideという映画会社に投資し、
映画業界に進出することを表明しました。
もっともお気に入りの映画は、『アラバマ物語 To Kill a Mockingbird』であると
讃えながら、映画への大きな夢を語りました。
※MDP Worldwide=(Mark Damon's production /後にMedia 8 Entertainmentと名を変え、
シャーリーズ・セロンの壮絶な演技で注目されたMonster(2003)などを作るも、2012に倒産しました。)
また、それ以前、1996年3月にアルワリード王子と共に立ち上げた
「Kingdom Entertainment」がスポンサードした
映画「Ghosts」のオリジナルヴァージョンは、1996年11月、
シドニーでのHIStory Tour(1996~97)が開始される前の晩に上演されました。
その前に、マイケルは第一子プリンス君を妊娠中のデビーと結婚式をあげ、
公私ともに基盤を整え、着々と映画を撮る準備が進められていたのです。
その助走となるはずであったのが、映画「Ghosts」であり、
1997年のインディペンデント系の映画を守るカンヌ映画祭のコンペ部門でも上映されました。
しかし、その裏で、ソニーワーズと呼ばれる、sonyとマイケルジャクソンンの
決死の戦いが始まっていたのです。この状況から、映画「Ghosts」はスリラーを凌ぐ名作であったにも拘らず、一般の目に広く知れることはありませんでした。
マイケルは、ATVの権利を保持したまま、フリーエージェントとなり、
過酷なツアーに明け暮れるスタイルから脱却し、
映画界へ歩を進めることを目指していました。
マイケルは、映画界進出にリーチをかけ、
SONYをはじめ、彼のビジネスを取り巻く巨大で重い組織のジレンマから脱出し、
「映画」という空へ飛び立つために隠密作戦を練っていました。
アルバム『Invincible』の「2000 watts」という謎めいた意味不明の歌は、
私の私的解読によると、その大脱出を歌う歌なのです。
マイケルジャクソンが、旧世界から新しい映画界へ旅立つための
軽量高機能、脱出船体を準備し、
聴く者に、その飛行物体への乗船命令を発していることは、
sonyの首脳陣でさえも、気付いていなかったことでしょう。
「2000 watts」の解釈、和訳全文は↓コチラ
*2012年12月04日(火) 改訂版・2000 watts(和訳)~キャプテンと新しい空へ☆
すでにご存じのように、
映画「Ghosts」は・・
『I'm gonna be
Exactly what you wanna see
僕は、お前が見たいものになる』
・・という奇怪なメッセージを送っています。
I'm gonna be
Exactly what you wanna see
It's you who's taunting me
Because you're wanting me
To be the stranger
In the night
僕は まさにお前が見たいものになるよ
僕をあざけっているのはお前だ
何故なら お前が
夜の得体の知れぬ存在になることを
僕に望んでいるから
―Is It Scary(和訳byてん)―
※Is It Scaryの和訳全文はコチラ↓
*2011年12月30日(金)Is It Scary&Ghosts~ピーターパンのどんぐり 心理劇①
つまり・・・
マイケルジャクソンの映画「Ghosts」の
マエストロもまた、無垢なる
鏡のような存在であり、
Mockingbirdであることを表しているのです。
==========================
ここで、
カポーティの短編「ミリアム」の中で、
降る雪を、銀幕に例える妖しくも美しい一文を紹介したいと思います。
ミリアムという名の孤独な老女は、雪の降る日に限って、
自分と同じミリアムという名前の不思議な少女に出会う。
雪は、「すばやく垂れさがる銀幕(スクリーン)となって降り注ぐ」――
銀幕(スクリーン)とは、鏡なのだ。。
カポーティのこの言葉は、
マイケルジャクソンの映画「Ghosts」の
「僕は、お前が見たいものになる」――にリンクしないでしょうか?
つづく・・