マイケルは、なぜ、子供たちを彼らの「お母さん」と一緒に育てようとしなかったのかしら?
マイケルの特殊な状況は計り知れないけれど。。
時折、何度もこのことが頭をもたげます。
「Heaven Can Wait」と云う曲・・
"天使たちにノーと言っておくれ 僕のベイビーを一人で置き去りにしたくないよ・・"
そして、リサも言っていたけれど、
マイケルは、自らの早世を予感していたのですよね?
そして、いつか、彼らを親のいない子供にしてしまうかもしれない
・・そう予感していたのですよね?
マイケルは、きっと小さな頃から、
ショービジネスに野心を持つ厳しいジョーパパといる時間の方が、
キャサママといる時間より多かったのですよね?
そして、10歳やそこらでインディアナのお母さんと離れて
モータウンに行かなければならなかったんですよね。。
キャサリンは、遠くにある完全な愛の人、思慕の母で居続け、
ジョーは、子供たちの父であるよりも、マネージャーとして接することを優先し、
「ダディ」と呼ばせなかったのですから、
幼いマイケルには、本当の意味で親としての温もりを
常に傍にいて与えてくれる人が、いなかったということになります。
マイケルは、公然と父の虐待を口にしましたが、
母キャサリンに対しては、この上ない愛を傾けてくれた聖母のような
イメージを持ち続け、この母を愛して止みませんでした。
しかし、現在進行中のAEG裁判を見るにつけ、
マイケルと母キャサリンの、「夢のような」親子関係を感じます。
マイケルも母キャサリンの実像ではなく、彼とキャサリンの夢の母を想い、
キャサリンも、マイケルとキャサリンが望む息子像を想って、
二人は、二人が思い描く「夢のような母子」でいたかったのだな・・と思うのです。
潜在意識の中から子供たちが紡ぎだすの遊びの世界のような、
互いの大切な夢を傷つけぬよう守りあって・・。
けれども、きっと、マイケルは、解っていたでしょう。
「ほんとうのお母さんと息子」よりも素晴らしい「夢のような母子」である以上、
互いが、遠くて慕わしい孤独者、厳しい現実に苛まれれる個人であることを。
このことを考えるとき、
ピーターパン・・そして、作者のジェームス・バリのことを思うのです。
マイケル自身が、「僕は、ピーターパンだ」と言った物語の中のピーターパン、
また、バリの人生と通底する響きをマイケルに感じずにはいられません。
とりわけ衝撃的に感じるのは、ピーターパンのこの言葉。
「ほんとうのお母さんなんていらない!」
「おいで、ティンク。
ぼくたちは、お母さんなんてばかなものはいらないんだ」

ジェームス・バリとピーター
ジェームス・バリのピーターパンの物語は、
『小さな白い鳥』(1902年)に始まって、
そこから『ケンジントン公園のピーター・パン』(1906年)が生れ、
『ピーター・パン 大人になりたがらない少年』(1904年)という戯曲も。
ケンジントン公園の~の流れをくむ『ピーター・パンとウェンディ』(1911年)となって幾度も書き換えられていきます。
私たちがよく知るディズニーが描くピーターパンは、
『ピーター・パン 大人になりたがらない少年』をベースにし
誇張されたファンタジックなものですが、
ジェームス・バリが創造した、そもそものピーターパンの
霊気を帯びたミステリアスな、「魔的な本質」からは遠ざかっているものかもしれません。
『小さな白い鳥』は、
子供たちの生まれる前の姿は、白い鳥だった・・という内容の物語です。
そして、ピーターパンは、「半分人間」で「半分鳥」。
「自分自身がいったいだれで何者なのか少しも分からない」というのです。
ピーターパンは、生れた日に、両親が「この子が大きくなったら何にしよう」と
話しているのを聞いて、「いつまでも遊んでいたい。大人になんかなりたくない。」と、
7日目の夜ケンジントン公園に逃げ出してしまいます。
けれども、お母さんが寝言で彼の名前を呼んでいるのを聞いて安心し、
戻って来ようとするけれど、窓には鉄のかんぬきがかけられ、
彼のベッドには新しい赤ちゃんがいたのですね。
ピーターパンは、
半分、生まれて来て生きていて、
半分、生まれて生きることをこばみ、まだ生れる前の世界に追放された存在。
あの世とこの世、生と死、現実と幻想が、混在した存在。
ジェームズ・バリは十人兄弟の9番目の子(三男)でした。
やがて、末の子が生れ、独占していたはずの母を
喪失する不安を帯びた少年であったかもしれません。
そして、6歳のとき、母が溺愛していた次兄のデイヴィッドが
アイススケート場で転倒事故死してしまいます。
以来、半病人のようになった母を慰める為に、
バリは亡兄の真似をし、演じ続けていたと言います。
その後、エディンバラ大学卒業し、作家をめざし、結婚をし、
ケンジントン公園近くで暮らしていたバリは、
この時期、仕事も結婚生活もうまくいっていませんでした。
そんな頃、彼は犬を連れて散歩に訪れていたケンジントン公園で、
公園の向かい側に住むデイヴィズ夫人とジョージ、ジャック、ピーターの
3人の男の子たちと出会うのです。
ディヴィス家の3男ピーターがピーターパンのモデルであり、
ディヴィス夫人がウェンディのモデルでした。
おそらく不思議なピーターパン物語は、彼らとの交流から、
子供が遊びの中で語る潜在意識に直結したイマジネーションの物語と、
バリ自身の置き忘れた子供の魂が融け合って生まれていったのですね。
バリは、ディビス一家と深く交流し、弁護士ディヴィス氏が癌に侵されたときも
治療面、金銭面で献身的に一家を支えるのです。ディヴィス氏が亡くなり、
さらにディヴィス夫人も癌に侵され、バリに子供たちの後見を頼むとの遺書を遺し
亡くなってしまいます。
そして、バリは、ジョージ17歳、ジャック15歳、ピーター14歳、マイケル10歳、ニコ6歳、
孤児となった5人の子供たちを自分の子供として養子に迎えるのです。
その後、ジョージは、第一次大戦に志願兵として出兵し21歳で戦死。
ピーターも、次いで出兵するが、神経症を患い帰還。
マイケルは、オックスフォード大学生となりますが、
親友ルパートと共に学内のダムで溺死。
泳げなかったマイケルは、疑問が残る謎の死を遂げたのでした。享年20歳。
悲しみの内に心身共に衰弱したバリは、77歳で永眠します。
ピーターは、結婚し3人の子の父となり、出版社を経営し、
末弟ニコと共に事業に励み、英国の出版界の重鎮になりますが、
突然、ロンドンの地下鉄の列車に身を投げ自殺してしまいます。享年64歳。
Your Mother and Mine
From "Peter Pan"
Music and Lyrics by Sammy Fain and Sammy Cahn
Your mother and mine
Your mother and mine
あなたのお母さんと私のお母さん
あなたのお母さんと私のお母さん
The helping hand that guides you along
Whether you're right, whether you're wrong
あなたが 正しくても間違っていても
ずっとあなたを導いてくれる助けの手
Your mother and mine
Your mother and mine
あなたのお母さんと私のお母さん
あなたのお母さんと私のお母さん
What makes mothers all that they are?
Might as well ask, "What makes a star?"
Ask your heart to tell you her worth
Your heart will say, "Heaven on earth"
Another word for divine
Your mother and mine
何がみんなのお母さんたちを作っているのかしら?
ついでに訊いてみましょう 「何が星を作るの?」って
お母さんの有難さをあなたの心に訊いてみてごらんなさい
あなたの心は答えるわ 「この世の天国」って
神さまみたいって
あなたのお母さんと私のお母さん
=======================
つづく・・