2024. 11. 2(土) 14 : 00 ~ 福岡シンフォニーホールにて
ショパン:ポロネーズ 第7番 変イ長調 Op.61「幻想ポロネーズ」
:即興曲 第1番 変イ長調 Op.29
:即興曲第2番 嬰ヘ長調 Op.36
:即興曲第3番 変ト長調 Op.51
:即興曲第4番 嬰ハ短調 遺作 Op.66 「幻想即興曲」
:ソナタ第1番 ハ短調 Op.4
モンポウ:ショパンの主題による変奏曲
アルベニス:ラ・ベガ(草原)
「イベリア第3集」より 「エル・ポーロ」、「ラヴァピエス」
(アンコール)
リスト:ハンガリー狂詩曲 第10番 ト長調
シューベルト:「楽興の時」D 780 Op.94より 第3番 へ短調
ラフマニノフ:「6つの楽興の時」Op.16より 第4番 ホ短調
ピアノ:マルティン・ガルシア・ガルシア
待ちに待ったガルシア・ガルシアさん(以下親しみを込めてガルガルくんと勝手に呼びますw)のリサイタル!
ガルガルくんを聴くのは昨年7月のコンツェルト
以来2回目。
この時も素晴らしいショパコンでしたが、今回はソロ・リサイタルぅ~![]()
上の記事内でも私がガルガルくんをどんなに買っているかを力説してるんですがw 前回の2021年のショパン・コンクールのファイナリストのコンツェルトで私が一番素晴らしいと思ったのがガルガルくんの演奏でした。優勝してほしい!と思ったくらい。結果は3位でしたけど、私の中ではブルース・リウくんと同じくらい同率1位でした。今でもそう思っています。
そして・・今回初体験だったソロ・リサイタルも めちゃめちゃよかった![]()
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前半は全曲ショパン。
前回のピアノはFazioli (ファツィオリ) の持ち込みだったけど今回はアクロス常設のスタインウェイだった。
私は1曲目から即興曲と思っていたので、いきなりガツーンと強打がきて、ええ?
となったw(←単なる自分の思い違い)
というわけで、1曲目は「幻想ポロネーズ」。
ショパン (1810-49)の晩年の1845-46年に作曲、1846年(36歳)に出版、A.ヴェイレ夫人に献呈された。この翌年にショパンはサンドと破局を迎え、心身ともに疲弊していき1849年10月17日に39歳でその生涯を閉じた。
ショパンは当初この曲のタイトルを「幻想」としており、ポロネーズとしてではなく幻想曲として書いていた。リストは『この痛ましい幻影は芸術の域を超えている』と評した。ルービンシュタインやホロヴィッツの演奏もあり20世紀半ばになって人気がでた。
ピアノの前に座って少しの間じっとして弾き始めた。
ガルガルくんの演奏で特に印象的だったのは冒頭の「序奏」。ここをめちゃめちゃゆ~っくり弾いていた。一音一音をかみしめるかのよう。ここの部分はピアニストによってテンポが非常に様々で、たとえばアルゲリッチやホロヴィッツなどはさらっと速め、リヒテルなんかはとてもゆっくり弾いている。ガルガルくんは他のピアニストと比較しても超ゆっくりだったのでインパクトが強かった。あとで出てくる序奏の再現部分もやっぱりとてもゆっくりだった。だたひとつひとつの音がとても美しく、弱音もとても響いてくる。とにかくここがインパクト大だった。
ちょうど2年前に藤田真央くんでポロネーズ全曲を聴いたときはこの「幻想」で印象的だったのは、piu lento 第4主題からのコラール風の部分と長~~いトリルが印象的だったなぁ。
マルク=アンドレ・アムランさんの演奏も素晴らしいです![]()
一番最後のカーンという和音もアムランさんは力を抜き加減にやや弱め、でも大抵のピアニスト(この日のガルガルくんも含め)はカーン!と強打で終わりますよね~。
ショパン:ポロネーズ 第7番 「幻想ポロネーズ」(12分59秒)
/ マルク=アンドレ・アムラン (Pf)
一旦舞台袖に戻って、次は即興曲集。即興曲第1番、第3番、第2番、幻想即興曲の順に演奏された。ガルガルくんは幻想ポロネーズの時と違って、椅子に座ると間髪入れずに弾き始めた。
第1番はショパン27歳のときの作品。ガルガルくんの第1番、めっちゃ速かった!軽やかな曲なのでみんな跳ねるような速いテンポで弾くけど(中間部は除く)、それにしても通常よりもかなり速い。頭を左右に振りながら楽しそうに弾いていた![]()
第3番は1842年の夏にノアンの館で書かれた。冒頭部は第1番と似てますよね~。
即興曲あたりから幻想ポロネーズのときより指がさらに回り、さらに滑らかに、さらに美音になってきた気がした。
第2番はショパン最晩年の1839年に書かれた。5つの部分とコーダからなる変奏曲形式で書かれている。この第2番嬰へ長調と第3番変ト長調は実質は同じ音(ファ#とソ♭)を主音とした調性だが、第3番はフラット系、この第2番はシャープ系でショパンが書き分けていることも注目される。第2番は動きのある第3番に比べると、ゆったりとした曲想で始まる。「舟歌」と似てますもんね~。
ここでもガルガルくんのキラキラとした美しい音色が光っていた![]()
第1,3,2番と連続して弾いてきたが「幻想即興曲」はやや間をおいてから。
この曲はショパンの4曲の即興曲のうちもっとも早い1834年頃に作曲されたが、ショパンの死後の1855年に友人のユリアン・フォンタナの手によって「幻想」と名付けられ出版された。第4番という番号はパデレフスキ旧全集による便宜上の番号。
これは最もポピュラーな作品なので弾き始めるとお客さんもおっ!という感じで聴き入っていたが、これめちゃめちゃうまかった!!
近年聴いた中では最も素晴らしかった。ピアニストにとっては簡単な作品なのだろうが、単に技術に頼って弾き流すんじゃなく、謳心たっぷりで粒立ちもよく素晴らしい演奏だった。隣で聴いていたオットもえらく感動していたくらいw
大好きなルービンシュタインの演奏を載せておきます。
ショパン:即興曲第1番、第2番、第3番、幻想即興曲(20分21秒)
/ アルトゥール・ルービンシュタイン (Pf)
前半最後のショパンは ピアノ・ソナタ第1番。
この作品はショパンがワルシャワ高等音楽学校在籍時の1828年 (18歳)にソナタ形式の学習のため作曲したもの。師のヨゼフ・エルスナーへ献呈された。
このころのショパン
(アンブロツィ・ミエロシェフスキ作 1829年)
(画像はwikipediaよりお借りしました)
このソナタ1番は滅多に演奏される機会がないので(私も実演は初聴き)、貴重な機会でした![]()
ある程度予習をしていったが、実際に聴いてみるとさらに面白くって20分ほどの演奏があっという間だった。
第1楽章は最後がーっとクライマックスを迎えてそのまま終わるのかと思いきや最後が p で終わるのが逆にとても印象的。第2楽章 メヌエット (ショパンの多くの作品の中でもメヌエットを書いてるのはこの作品だけらしい)は予想してたよりも結構ゆっくりめ。リピートもすべてやっていた。ガルガルくんが弾くとよりかわいらしい印象。そして第3楽章の音色が美しいこと
益々指が回るようになって第4楽章は爽快にかっとばしてくれました
客席からも大きな拍手が![]()
ガルガルくんで第1番が聴けてよかった!
ショパン:ピアノ・ソナタ第1番 ハ短調 Op.4 (23分1秒)
/ イディル・ビレット(Pf)
後半はすべて初聴きの曲だった。
最初はスペインのカタルーニャ出身のフェデリコ・モンポウ作曲の「ショパンの主題による変奏曲」。主題はショパンの24の前奏曲第7番 イ長調。これが冒頭に弾かれ、12の変奏が展開される。
フェデリコ・モンポウ (1893-1987)
太田胃散のCMで有名なあの主題が変奏のたびに見え隠れする。幻想的だったり可愛らしかったり情熱的だったり。時には全然別の曲のように聴こえたりw
ガルガルくんの美音が益々冴えわたり(彼のハミングも健在w)うっとりしている間にあっという間に終わってしまったw
モンポウ:ショパンの主題による変奏曲(20分37秒)
/ ダニ―ル・トリフォーノフ (Pf)
残りの3曲はいずれもスペインの作曲家、イサーク・アルベニスの作品。アルベニスはとグラナドスと共にスペイン国民楽派の作曲家で、スペイン南部のアンダルシア民俗音楽を作品に取り込んだことで知られる。
イサーク・アルベニス (1860-1909)
最初は「ラ・ベガ(草原)」。
アルベニスはオーケストラのための組曲「アルハンブラ」を構想し、最初にこの作品をピアノ版として書いた (1897年) が、その他の曲は書かれることはなく、本作のみ単独作品として知られることとなった。以下の記事にこの作品の詳しい解説が載っていました。![]()
初めて聴いたこの曲、なんと幻想的で不思議な曲なんでしょう。哀愁に満ちてるけどなんか懐かしいような。さっきのモンポウと同じくとても魅了されてしまった。とにかく彼から放たれる音色がほんっとに美しくって・・・
彼自身が弾いたものがあったので載せておきます。
アルベニス:「ラ・ベガ(草原)」(15分14秒)
/マルティン・ガルシア・ガルシア (Pf)
最後は「イベリア 第3集」より「エル・ポーロ」と「ラヴァピエス」。
組曲「イベリア」はアルベニス晩年の1905~1909年にかけて作曲された3曲ずつを収めた4集からなり、スペインの情緒と特有のリズム、音数の多い多層的なパッセージに満ちた技巧的作品群となっている。第3集からの「エル・ポーロ」はアンダルシアの舞曲を題材としたもの。「イベリア」のほとんどの曲はアンダルシアの地名や舞曲などをタイトルとしているが、「ラヴァピエス」のみマドリードの地名を冠している。曲調はアンダルシアのタンゴと同じリズムをとっている。組曲の中でも最も技巧的で難度の高い作品であり、演奏の可能性を恐れてアルベニスが楽譜を破棄しようとした
という逸話がある。(飯田有抄氏の解説とwikipediaより)
この2曲についても前述のサイトに詳しい解説が載っていました。![]()
どちらの曲も独特のリズムがとても楽しかった!「ラヴァピエス」の(上の解説によると)第78小節からの新しい主題の部分がなんかの曲に似てる(けど思い出せない~💦あれですよ、あれ!)。最後に高音の旋律からのややゆっくりしたところも気を持たせる感じでめっちゃいい。イベリアいいな。全曲を生で聴いてみたくなった。
ガルガルくんが今回モンポウやアルベニスという母国の作曲家を紹介、しかもあまり普段聴くことがないような(私にとっては)未知の作品を紹介してくれてとてもよかった
アルベニス:「イベリア第3集」より 「エル・ポーロ」(7分1秒)
/ アリシア・デ・ラローチャ (Pf)
アルベニス:イベリア第4集より「マラガ」第3集より「ラヴァピエス」(10分44秒:ラヴァピエスは5分4秒~)/ ユジャ・ワン (Pf)(2022年 ヴェルビエ音楽祭より)
組曲「イベリア」全曲版も載せておきます。
アルベニス:組曲「イベリア」(52分28秒)
/マルク=アンドレ・アムラン (Pf) (2005年9月11日 東京)
アンコールは3曲も!!
1曲目のみご自身で曲紹介された。
シューベルトとラフマニノフで「楽興の時」を聴けるなんて最高![]()
(11日のミューザ川崎公演でも弾くみたいですね。ガルガルくんはミューザ川崎が世界一好きなホールだそうで、この公演だけ他とは違う演目みたいでうらやましい~)
お客さんは大盛り上がりであちこちからブラボーが飛び交い、スタンディングオベーションしてる方も大勢いらした。![]()
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今回初めてガルガルくんのソロ・リサイタルを聴いて思ったこと。
私はやっぱり彼のピアノが大好きだということ。
ショパコン3位だから3番目、というのは完全な先入観なんですよ。私の中ではあのコンクールでいうとブルース・リウくんとガルガルくんがダントツ素晴らしいと思った。ふたりはタイプは違うけど、聴いてるとほんとに魅了された。私にとってこういうコンクールは順位付けということよりも自分の好みのピアニストに出会えるとっても貴重な機会なので、このふたりをめっけてw よかったな~![]()
それからスペイン出身という先入観や彼の風貌、ハミングしながら弾くスタイルなどが相俟ってか、”陽気” ”明るいショパン”、”ラテン系のショパン”とかショパコンでもよく言われていたけど私はまったくのナンセンスな評だと思う。もちろん彼の演奏を聴くとハッピーな気持ちになる面はたしかにあるのだが、なんとなく”陰”の面も含んでるような、表面だけに騙されちゃいけないよ、と言われているような気になる。(このことについては以前彼自身もツイートしてました)たぶんね、音源だけ聴いたら これはラテン系の演奏だって果たして言えるんですかねw
アクロスのスタインウェイは古い(と勝手に決めつけているw)。それをこんなに活き活きと輝くような音色を放っていたのにほんとに驚いた。しつこいけどほんとに美しい音色だった。
そして私がピアノを聴くときにいつも注目してしまう、粒立ちのよさと弱音の美しさ。ほんとに素晴らしかった
来年5月にも福岡市内でリサイタルがあるとのこと、ぜひ行きたい!
今度はどんな作品の世界を私に魅せてくれるのかな。楽しみです![]()
余談:
風呂敷とタオル…
— Martín García García (@martin_gg_piano) November 1, 2024
私は準備ができています😁
Fukuoka time! pic.twitter.com/8DRDE12hdU
この写真に写っている青と赤のミニタオル、本番で前半は青のタオルを、後半は赤のタオルを手にして曲の合間に汗をぬぐっていました![]()
新千歳空港でガルシア•ガルシアに遭遇!
— 宇野秀和 (@elderly_claota) November 7, 2024
話しかけて握手してもらいました。
ストリートピアノで子犬のワルツと幻想即興曲を弾いてくれた! pic.twitter.com/FMy7bJTXU8
新千歳空港ではストリートピアノを弾いていたそう。出会った人たちいいなぁ。




