青山通 著 『ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた』 | Wunderbar ! なまいにち

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まだまだひよっこですがクラシック大好きです。知識は浅いがいいたか放題・・・!?

ちょっと前に、ブロ友さんとシューマンのピアノ協奏曲の話題になり、この本のことを思い出した。 ↓



この本は2013年の4月に出版。 私はちょうどそのころクラシックに興味を持ち始めたころで、小さいころにウルトラセブンが大好きだった私はこのタイトルと表紙に惹かれて読んだのだった。
そしてこの本を通じて初めてシューマンのピアノ協奏曲というものを知った。

ウルトラセブンは1967年から1968年に放送された。自分が見たのは再放送だったのかな??
とにかく私はウルトラマンウルトラマンより断然ウルトラセブンウルトラセブンが好きだった。
一生懸命見てたと思うのだが、何しろ小さくて一話一話のストーリーはほとんど覚えてない。


著者がこだわったのは、最終回で流れた音楽だった。(でも私は全然記憶になかった。)
最終回でウルトラ警備隊であるダン(主人公)が同僚のアンヌに自分がウルトラセブンであることを告白するシーン。

「僕は・・・僕はね、人間じゃないんだよ。M78星雲からきたウルトラセブンなんだ
!!ハッ」


その瞬間、映像が二人のシルエットになり、あるクラシック音楽の冒頭部分が突如流れ出す。
著者はその音楽が何なのかずっと分からなかった。


数年後、家で母親がテレビで観ていたN響の番組でこの曲が流れた。
「これ、なんて曲?」  「シューマンのピアノ協奏曲よ。」

ここでようやく曲名を知った。

レコードを買い期待に胸をふくらまして聴いたが、冒頭を聴いて期待は失望に変わった。
「違う・・・同じ曲なのに違う。あれじゃない。似ても似つかない。」
その後レコードをさらに2枚買ったがテレビで流れたものとは違った。


中学3年になり、友人宅でクラシック通のお兄さんがかけてくれたレコードでやっと「本物」に出会う。それがディヌ・リパッティ(ピアノ)、カラヤン指揮・フィルハーモニア管の演奏のものだった。
「これだ!まさにこれだ!」

そして、「クラシック音楽は、同じ曲でも演奏によってまったく違う表情になる。そして同じ演奏者でも同じ演奏は二度とない。」
ということに著者は気付いた。
(実は著者が3枚目に買ったレコードはピアノはリパッティだったのだが、指揮者とオケが違っていたのだ。)


著者はなぜ自分がこの演奏にそんなに惹かれたのか、ピアニストのリパッティに興味を持った。
そして、リパッティがこの録音から2年後、33歳の若さで悪性リンパ腫の一種であるホジキン病で夭逝していたことを知る。つまりこれを録音したころリパッティは病気と放射線治療などの苦痛と闘っていたのだ。
著者はそのようなリパッティと、最終回で力を振り絞って地球のために戦うウルトラセブンの姿を重ね合わせる・・・・



自分の求める「本物」を探していく過程はまるで探偵ものを読んでいるようでワクワクした。
そしてこの本を読んだあと、リパッティ&カラヤンのCDを買って、初めてシューマンのピアノ協奏曲を聴いた。↓

グリーグ&シューマン:ピアノ協奏曲/リパッティ、カラヤン&フィルハーモニア管 (1948)

そしてその後他の演奏者の名盤といわれるものと聴き比べてみた。
確かにこのリパッティ&カラヤン盤は「鬼気迫る」というか疾走感がすごい。
音は古いのだが、そんなことが全く気にならないくらい演奏に引き込まれる。
ピアノとオケが一体となっていて、まさに「協奏」曲だと思う。

この本を通じて知ったこともあって、自分の中ではシューマンのピアノ協奏曲といえばこのリパッティ&カラヤン盤がなんといっても一番なのだグー


ちなみに・・・こんなに名演なのにリパッティ自身はこの録音を気に入っていなかったらしい。
知人あての手紙では、自分の意図した演奏ではなくカラヤンの指揮に対する不満などが書かれているらしい(本の中でもふれられていた)。

リヒテル&カラヤンも確か似たような話があったな~。
演奏者が思う自分の「名演」と聴衆が評価する「名演」って、えてして違ったりするもんなんだなぁ。



リパッティといえばショパンもとてもとても素晴らしいです。

ショパン:ワルツ集/ディヌ・リパッティ

これもショパンのワルツ集では私の中では一番です。

ブザンソン音楽祭における最後のリサイタル/ディヌ・リパッティ

これはリパッティが生涯最後、亡くなる2か月前のリサイタルです。

このころは病状は悪化しとても演奏できるような状態ではなく、主治医からはこの演奏会をキャンセルするよう勧められたにもかかわらず、リパッティは
「僕は約束した。僕は弾かねばならない。」
と言って、舞台に立ったそうだ。
高熱をだし注射をしながらの、妻と主治医が見守る中でのステージだったという。
ただ、最後の1曲に予定していた、リパッティの十八番であったショパンのワルツ第2番だけついに力尽きて演奏できていないのだ・・・

こういう背景を知って聴くと涙ながらには聴けないのだが、全く知らないで聴いたとしたらとても死の直前の体調が最悪の状態の人間が弾いたものとは思えないほど、清明で軽やかで気品あふれる演奏でとても美しい。


話を元に戻しますが、とにかく「ウルトラセブン」のほんのワンシーンで流れた曲をここまで追求した作者はほんとにすごい。
そしてこの本を読んでから、実際にCDを聴いてみて同じ曲でもソリストやオケによって全然違う(同じソリストでも違う)ことを知ってクラシックはほんとにおもしろい!と思うようになったんだったしみじみ