
イタリアのパオロ・ソレンティーノ監督のこの映画、公開になって観たいと思ううちに日が過ぎていき上映がいよいよ終わりそうになってきた(一日一回のレイトショーのみになった)ので、先日慌てて観に行った。
あらすじを簡単に書くとこんな感じです。
主人公のイギリス人、フレッド・バリンジャーは世界的に有名な作曲家・指揮者だったが、80歳を迎えた今はすべて引退しアルプスの高級ホテルで優雅なバカンスを送っている。
そこへ英国の女王陛下からの出演依頼が舞い込む。だがフレッドは頑なに断り続ける。
一方同じホテルに滞在しているフレッドの長年の親友で映画監督でもあるミックは現役にこだわりつづけている。
ミックや他のホテルの滞在者との交流、娘レナとの確執、妻とのある秘密などを通じて、自分自身無気力人間だと思っていたフレッドも最後にはステージに立つことを決意する・・・
元指揮者が主人公なのでクラシック音楽満載かと思いきや違った。
ほんとはドビュッシーやストラヴィンスキーの曲が使われていたらしいのですが、恥ずかしながら全然気づかなかった
映像にあまりに見入ってしまってBGMが耳に入ってこなかったのかもしれません・・
シュールというかなんとなく退廃的というかそんな映像だったり、あとから考えるとこれとこれを対比させてたり、何かを示唆していたり、全然意味がわからなかったり・・・ ヨーロッパならではの映画ではないだろうか(アメリカ映画にはないような)
主人公のフレッドを演じたマイケル・ケインさんの演技が本当にうまい。うまいと書いてしまうと表面的で失礼かもしれないけど、演技というよりもっと深いものを観た気がした。
マイケル・ケインさん自身今年83歳だそうだ。83歳で現役俳優ってのがすごいが、その現役のケインさんの表情(セリフではなく)を通じて、過去の栄光を捨てて今は無気力に日々を過ごす主人公の葛藤、哀愁、そして希望がひしひしと感じられた。
若いころにこの映画を見たとしたらあんまり面白みを感じなかったかもしれない。
「老いる」って何だろうとつくづく考えた。 正直「老い」ってこわい。若いときは老いていく自分なんて考えたこともなかった。年々身体のあちこちに年齢を感じるようになるとだんだん不安や怖さを感じる。自分はどんな風に弱ってどんな風に死んでいくんだろうか・・なんて時々考えたりする。
ソレンティーノ監督がこの映画で描きたかったことは、
「年老いた者がもつ将来への展望」なんだそうだ。
「もう若くはないという年代になって、人は将来に対してどう関わっていくか」
「若いうちは、年配の人が未来に立ち向かうことについてなど考えないし、ともかく年配の人が将来への展望と向き合っているとさえ思っていない。でも私は逆に、どんなことなのか見てみようと考えた。80歳を生きる人たちが、明日に対して期待することについてね。」
映画の最後のシーンでフレッドの指揮でオリジナル曲(映画の中ではフレッドの作曲ということになっている)の「シンプルソング #3」が演奏されるのだがそのシーンが圧巻
ソプラノ歌手のスミ・ジョーが本人役で歌っていて本当に素晴らしい。
あとあとジェーン・フォンダが出てたのにびっくり!
往年の大女優という役柄で、ご本人そのものと重ねて観てしまった。
けば~い厚化粧やふてぶてしい言動などほんのちょっとのシーンなのに圧巻の演技力だった!