ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第31番 変イ長調 Op.110
ショパン:スケルツォ 第4番 ホ長調 Op.54
12の練習曲 Op.25より 第5番 ホ短調、 第6番 嬰ト短調
ノクターン ハ短調 Op.48-1
バラード 第1番 ト短調 Op.23
ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」
(アンコール)
ショパン:マズルカ 第32番 嬰ハ短調 Op.50-3
ラフマニノフ:前奏曲 嬰ハ短調 「鐘」 Op.3-2
ピアノ:ギャリック・オールソン

1948年生まれのギャリック・オールソンは1970年の第8回ショパン国際ピアノコンクールでアメリカ人として初の優勝者となる。(そのときの第2位があの内田光子さん)
そしてクラウディオ・アラウの晩年の弟子らしい。
恥ずかしながらチラシを手にするまで私はお名前も存じ上げなかった
ところがところが今日は私の大好きなピアニストがまたおひとり増えた日になったのだった
ステージに登場したオールソンさんは長身で恰幅がいい。笑顔で挨拶したあと椅子に座った。
座った姿も背筋がぴんとのびていて足も長いのでとてもかっこいい。
座った後しばらくじっと前をみつめて静かに鍵盤に指をおろしてベートーヴェンのピアノ・ソナタ第31番を弾き始めた。
全体の印象としてはひとつひとつの音を堅実にゆったりとした流れで弾いている感じだった。
大体みんなが軽快なテンポで弾くことが多い第2楽章の始まりもすごくゆっくりと弾いていた。
第3楽章のフーガからのクライマックスがとてもよかった。
次がショパン。
このショパンがめちゃめちゃすごかった・・・
最初のスケルツォの第4番を弾き始めたとたん・・ベートーヴェンのときと音が全然違う!!
(この日は指がよく見える前方の席だったのだが)なんだか運指の仕方まで違うような気がしたけど気のせいだろうか。
音の粒立ちがとてもクリア。音色そのものもまばゆいばかりにキラキラ
していた。
スケルツォでいったん拍手に応えたがエチュード作品25の5番、6番、ノクターン、バラード1番は続けて演奏された。続け方もまたうまいんです
曲の最後の1音をペダルを踏んだままポーンとずっと響かせたまま次の曲をかぶせるように弾いていく。
続けて聴いていくと何だか組曲を聴いているような、とても心地よい時間だった。
エチュードなど指があまりに早すぎてじいっと見てると指の一本一本がなんか生き物のようにみえた。
前半最後のバラード1番がこれまたすごかった
この曲を生で聴くのはこれが4回目。昨年秋のユンディ・リ、3月の辻井くん、先月のポリーニのアンコールとここ最近聴く機会が立て続けにあったが、個人的には今日のオールソンさんの演奏がダントツでよかったかも。
なんだろう、観ているとショパンは完全にオールソンさんの身体の一部に同化している感じがした。そのくらい自然体の、身体の中からにじみでる音楽を聴いた気がした・・・
休憩をはさんでムソルグスキーの「展覧会の絵」。
これがぁ~~またまたすごかったんです

前回この曲を別の方の演奏で聴いたとき(当日疲れていたのもあったんだけど)途中で眠くてしょうがなかった・・
それが今日は眠くなるどころかおもしろくておもしろくて・・
ショパンのときとはまた音色が全然違った。軽やかな明るい音色から不気味でゾッとするような音色まで本当に多彩。
そして最後のキエフの大門の荘厳な音色・・・ただただ圧倒されて途中からずっと動悸がしていた
アンコールのマズルカもさることながら、最後に弾いたラフマニノフの前奏曲の「鐘」にまたまた感動
バンクーバー五輪で浅田真央ちゃんが滑って有名になりましたよね。あのオリンピックのときの真央ちゃんの演技を観て号泣したくちですので
思い出してしまいました。
今日最もすごいと思ったのはオールソンさんのフォルテの爽快さとペダリングの上手さ。
フォルテやフォルテッシモを鳴らすときに全然無駄な力が入っておらずズーンと響く気持よい強音。聴いていて爽快で「あ~もっと鳴らしてくれ~」(←
)と思ってしまったw
そしてペダリングが小刻みでものすごく丁寧。(違うかもだけど)半ペダルも多用しているんではないだろうか。よくペダルも音がするほどガンガン派手に踏み込む人いるけどそれとは正反対で、大柄な体格に似合わず
すっごく細やかで絶妙なペダリングだった。このペダリングあってあの美しい音色が醸し出されるんだろうな~。
この日は開演前に 「このホールは震度7の地震にも耐えうるような構造ですのでご安心ください」といつもはないアナウンスがあったり、ホール外の通路に緊急時用と思われるヘルメットや拡声器などの備品が無造作に置いてあったりして最初なんとなく落ち着かなかった。
演奏中にもしもまた携帯の地震緊急アラームがわんわん鳴ったらどうしようなどと思っていたが鳴らなくてよかった・・
