皮垂の手術について | みのり先生の診察室

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5万人以上の「オシリ」を診察してきた
肛門科専門医の女医がつづる
お尻で悩める人へのメッセージ

皮垂の手術について

時々問い合わせを頂きます。


そちらでは手術してもらえますか?


と尋ねられることが多いです。


保険診療の肛門科で

手術を断られているケースも多いです。


それは断った先生が

不親切でも

間違っているわけでもなく

とても良心的だと思います。


手術した方が儲かるのに

自分の利益を犠牲にしてでも

正しいことをされているわけです。



なぜなら

皮垂は痔ではありません。

病気ではないので

わざわざ切除する必要もないですし

切除しても

また出来る可能性もある
からです。



それに

美容的な目的で手術をされるため

正直なところ

健康保険の適応にしていいのか?

と私は思っています。


もともと

命は平等だ

という考えのもと

発足した国民皆保険制度です。


命を守るための制度だったはずです。


だけど

命に関わらないものにまで

健康保険が適応されると

財源が足りなくなって当然です。


財源が無くなると

どんどん削られることになるのですが

命にかかわる病気だけは

削ってほしくないですね。


でないと

本当に困っている人を

救うことが出来なくなってしまいます。



皮垂の手術は美容的手術です。


出来ているモノを切除する

ということだけでは済まされません。


肛門を美しく仕上げるキラキラ

という「治療」とは違った側面があります。


この肛門を美しく仕上げるのは

実はすごく難しいです。


何でもいいから取ればいいんでしょ

というワケにはいきません。


というのも

肛門って平面ではなく立体なので

しかも

水平方向にも垂直方向にも動く筒です。


だから

その動きを妨げないよう

肛門の機能を損なわないよう

切除しなければなりません。


また

術後は多少むくみが出ます。


そのむくみが大きく腫れたりすると

その腫れたるみとなって

残ってしまいます。


せっかくたるみを取ったのに

またたるみが出来ることがあります。


でもそのたるみは

必要だからこそ出来ている

とも言えるわけです。


だって

シワやたるみがないと

肛門って伸びたり縮んだりしにくいでしょう?




そのシワがあるから

たるみがあるおかげで

ちゃんと穴が開いてくれるんです。


その自然に出来たシワやたるみまで

切除してしまうと

つっぱって開きにくい肛門になります。



細い便しか出せなくなったり

便が出しにくくなったり

出すときにつっぱるような感覚があったり

人によったら痛みが出たり


色々と不具合が生じるわけです。


だから

安易に皮垂を切除することには

賛成できません。



もちろん

大きさや程度によると思います。


これは確かに邪魔だよね・・・・・・。


と思うような

大きな皮垂もあります。


その場合は手術をお引き受けしています。



でも

米粒くらいの

本当に小さな

よく見ないと分からないようなものを

気にされている患者さんもいます。



その場合は手術を勧めませんし

頼まれても引き受けません。



だって

肛門に悪いと思ってるから。


わざわざ肛門を傷付けることはないと思うんです。


安易にメスを入れることには

私は反対です。



肛門科ではなく

美容外科や形成外科で

皮垂の手術を受けた患者さんが

来られたことがありましたが

ひどい肛門狭窄を作ってました・・・。



肛門科の先生ではないので

仕方ないのですが

ちゃんと

肛門の機能を考えて

手術されていないので

キレイにしようと整えるあまり

つっぱった肛門を作ってしまうようです。



だから

皮垂の手術については

慎重に考えて欲しいです。


肛門は死ぬまで使う大切な場所。

便が出せなくなったら

本当に人生が暗くなるくらい

苦痛なものになります。


どうかよく考えて下さいね。


そして手術を受けるのであれば

ちゃんと専門の先生を選んでくださいね。



肛門科の専門性についての話はコチラ↓

「肛門科専門医の探し方」
「何が専門?」
「本業か副業か」
「女医さんはもうこりごりです(;。;)」
「ちゃんと肛門科の先生に診てもらってる?」
「専門じゃないって書いてて欲しかった!」


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