特別版『ふたりはプリキュアMilkyWay&ちえりパステルガァル!スペシャル・ハーモニック』3
特別版『ふたりはプリキュアMilkyWay&ちえりパステルガァル!スペシャル・ハーモニック』第3章「ちえり・マジック」●アカネの試験泣き顔になったひかり、ひかり「ゆとりっ! ゆとりぃ~っ!」と叫びつつ、ドタドタとゆとりの座っているテーブルまで走ってくると、そのままの勢いでテーブルをバシーンと叩く。これにはゆとりはもちろん、隣でたこ焼きを頬張っていたちえり達もビックリである。ひかり「ゆとり、どうしてっ、どうして…!!」鉄板の事をアカネさんにバラしたの! …と言いたいのだが、息が上がって上手く喋ることができない。ゆとり、真剣な顔でひかりと向き合うと、スッと頭を下げた。ゆとり「ひかり、ゴメン! でもひかりの性格だったら、このままだと永遠にお蔵入りになっちゃうよ!」ひかり「それは! …それは、そうじゃなくて、そうじゃないの…!」アカネ「ひかり、何やってんだい。お客さん驚いてるじゃないか」ひかり「あっ…ごっ、ごめんなさいっ」ひかり、ちえり達に向かってペコリと頭を下げる。ちえり達も何が何やら事情がわからず、ただ唖然とするしかない。アカネ「あ、そうだ!」先ほど渡したたこ焼の皿が、すでに空っぽになっているのに気づいたアカネは、ちえり達の方を向いて、アカネ「良かったらアンタ達、これから新メニューを作るんだけど、ちょっと試食してくれないかな?」唐突にとんでもない事を言い出す。今度はゆとりが唖然、そしてひかりは絶望に満ちた表情になった。ちえり&みつば「ええっ、新メニュー!?」るりか「でっ、でもいいんですか?」アカネ「うん。アタシの妹がね、これから作るの。お代はいいからさ、あんた達もいっぺん食べてみてよ」ここでいう『妹』とは、もちろんひかりの事である。アカネ「すぐ出来ると思うけど、あんた達、時間とか大丈夫?」るりか「あ、はい。今日は一応ヒマですから…」一応ヒマでは無いのだが、アカネに押し切られてそう答えてしまう。ひかり「あ、アカネさん、勝手に決めないでください!」珍しくアカネに反抗するひかり。しかし、アカネ「勝手に決める。悪いね」と無下に却下される。アカネ「さて。これでもう逃げられないよ。ウジウジしないで、覚悟を決めな!」さらにアカネに頭から怒鳴られ、ビクッとするひかり。ひかり「でも…でも…」声のトーンがどんどん下がり、つられて顔も下がっていくひかり。ちょっとやりすぎたかな…と思ったアカネは、ひかりの前にしゃがみ込み、くしゃくしゃな顔を見つめてニコリとした。アカネ「何でそんなに自信なさそうなんだい? ゆとりから聞いてるよ、かなり美味しいって」アカネ、ひかりの頭をコツンと叩く。「ね、いっぺん作ってみてよ、ね。もし美味しかったら、メニューに追加してあげるからさ」ひかり「ええっ!? そ、それは、ええと…」アカネ「もちろん審査は厳しくさせてもらうからね。そこは覚悟しとくように!」ゆとり「やったネ! ひかり、チャンス到来よ!アカネさんをビックリさせて、メニューにバシッと追加してもらっちゃいましょ!」ひかり「そ、そんな…急に…」全く自信が出ずにオロオロするひかり。ついには顔を下に向けたまましゃがみこんでしまった。●ちえり・マジック発動そんなひかりを可哀想に思ったのか、ちえりがイスから立ち上がり、ひかりに近づく。ちえり「お姉ちゃん」そのまま、ひかりの手を両手でキュッと握った。ひかり「えっ…?」日だまりのような、暖かい手の感触。ひかりは反射的に、手を握ってくれたちえりを見つめる。ちえり「お姉ちゃんが作ってくれるの?」ニコニコとした表情で、じいっとひかりを見つめ返すちえり。その幸せそうな顔を見ていたら、泣いている自分が非常にみっともなく感じてしまった。ひかり「………うん! すっごく美味しいの。きっと喜んでくれると思うわ」ちえり「ほんと? お願い、作って、つくって~」ひかり「うん!」ちえり「えっと、るりかちゃんと、ぶんぶんの分も作ってくれる?」ひかり「ぶん…ぶん?」一瞬ひかりの頭の中に、ぶんぶん飛び回るミツバチのイメージが浮かんだ。ちえり「うん!」ちえり、みつばを指さし「あのカールの子がぶんぶん。みつばって言うんだよ」アカネさんをおばさま、と呼んだあの子だ…と、ひかりは身構える。みつば「はじめまして、分部みつばと申します」が、至極普通の自己紹介が返ってきたので、肩すかしを食らってしまった。ちえり「…んで、あたしはちえり、英ちえりです!」ひかり「はじめまして。わたしは九条ひかり、そして早瀬ゆとりと、弟のひかるちゃんです」ゆとり「ハロハロっ、早瀬ゆとりですっ!」ひかる「こっ、こんにちは…」るりか「あたしも紹介してほしいんだけどなぁ~」ホレホレ、と自分を指さし、紹介を乞うるりか。ちえり「うん、るりかちゃんはね…ええっと………どちらさま?」あまりに薄情な言い回しに、るりかはズコッとこける。るりか「こら~っ! 瀬・々・良・木・るりか、よっ!! ずっと一緒にいるのに、どちら様、ってあんまりじゃない! んも~!!」プンスカと怒る仕草が妙にオーバーなため、一同に笑いが起こった。ひかり「では今から準備しますから、ちょっと待っててくださいねっ」涙をぬぐって笑顔になったひかり、タタタッと小走りでビークルに戻る。ゆとり「ひかり、アタシも手伝うわよ~」ゆとりもその後を追いかける。アカネ、ちえりの手を握って、アカネ「ありがと。…けど巻き込んじゃってゴメンね、あんた達~」るりか「いえ、何か大切な事みたいですし、こちらこそお願いします」ちえり&みつば「お願いしまーす!」アカネ「んじゃ、ちょっと様子を見てくるね。味は間違いないと思うけど、やっぱ気になるし、さ」ちえり達にウインクして、アカネとひかるもビークルに戻って行く。ちえり「ぶんぶん、お姉ちゃんがつくるメニュー、見に行こっ!」みつば「わかりました、ちえり様~!」そしてちえりとみつばも、ビークルの調理場までダッシュして行った。一人残されたるりか、フゥと肩をすくめる。るりか「『ちえり・マジック』発動だよ…でもココで時間を食ったら、デリートスを探す件はどうしよ?」かあら「そんなに時間を取られる訳ではなさそうカラ。それに………」ぱれっと「あのたこ焼きヘアーの子、何か不思議な力を感じるのれす」ちえりのリュックから顔を出したぱれっと、ひかりの方を見てつぶやく。後ろ髪がたこ焼きに見えることを表現しているようだ。かあら「いつ起きたカラ? それより、ぱれっとも気づいたカラ?」ぱれっと「はいれす。あの子と…隣の台風ヘアーの子から、とっても不思議な『色』の力を感じるのれす」ゆとりの事だ。髪の毛がボサボサであるのを表現しているらしい。るりか「台風ヘアーって何なのよ。ゆとりさんと、それからひかりさん」ひかゆとの方をじいっと見ながら、るりかがつぶやく。「もしかして、あの子たちがデリートス…な、訳ないわよね」ぱれっと「多分違うのれす。れも、すごーく気になる存在なのれす…」るりか「なあるほど。無駄な時間って訳でもなさそうね。とにかく今はココにいよっか」るりか、準備しているひかりの方を見る。るりか「それに、新メニューってのも気になんのよね~。あたしも見にいこっと!」●それ、食べられるの?ひかりは、タコカフェビークルの調理台の前に立つと、例の鉄板をコンロの上に乗せた。彼女の横にはサポート役としてゆとりが、そして調理台の反対側にはちえり・るりか・みつばの3人と、アカネ・ひかるの2人が、何が行われるのか状況を見守っている。ひかり「ええっと、それでは、よろしくお願いします」ちえり&みつば「お願いしまーす!」アカネ「で、その鉄板で何を作ってくれるんだい?」ひかり「はい。これから作るのは、モッフルという食べ物です」ちえり&みつば&るりか「モッフル~?」ひかり「はい。お餅で作るワッフル…」喋りながら取り出したのは、しゃぶしゃぶ用に使う薄切りのお餅だった。「だからモッフルです」アカネ「ふうん、何だかシャレみたいだね」準備している横で、ゆとりがボソリとつぶやく。ゆとり(アタシはメップルとミップルを思い出したんだけどね~)かつてゆとりとひかりがお世話になった、『光の園』に住む住人の名前である。ひかり「材料はお餅と、そして…」ひかり、金属のケースに入ったたこ焼きを見せて、「この廃棄予定のたこ焼きを使います」るりか「は、廃棄予定!?」アカネ「へえ、それを使うんだ?」るりか「ま、まま待ってください! 廃棄予定って、捨てる予定、って意味じゃないですか! ソレ食べられるんですか?」ひかり「はい。食べられますけど、焼きすぎたり時間が経っていたりして、おいしくないので商品としては出せません。これを何とかして美味しくできないか、と考えたのが、このたこ焼きモッフルなんです」るりか「な、なるほど…リユース、リデュース、リサイクルって感じなんですね」食べられるなら別にいいか、と納得するるりか。ところが、みつば「ええ~っ、再利用って、ゴミを使うんですの~!?」みつばが禁句を口にしてしまった。空気を読まない言動に一同はざわつき、そしてひかりの思考は混乱してしまった。るりか「ひどい表現するんじゃないって。食べられる、って言ってんじゃん」ゆとり「そーよ、デラタコのたこ焼きは、冷めても美味しいのに~」みつば「でも、ゴミはゴミですのっ!!」自分の意見が通らないいらだちで、絶叫してしまうみつば。おかげで今までの暖かい雰囲気が、一気に冷めてしまった。自分の言い方がまずかったせいで、こんな事になってしまった…と思ってしまったひかりは、みつばに反論できない。それでも口をパクパクさせながら、「あ、あの…」と必死で弁解を考えている。その姿を見たひかる、姉のそばに近づこうとするが、アカネに止められる。この事態をひかりがどう切り抜けるか、見守ろうというのだ。しかし…ここで助けてくれたのは、またしてもちえりである。ちえり「ぶんぶん、違うよ。ゴミで作るんじゃなくて、ゴミにならないように、ごちそうに変えてくれるんだよ」ちえり、ひかりの方を向いて「そだよね、お姉ちゃん?」と問いかける。ひかり「はっ、はい! とっても美味しくしますねっ!」やっぱりマダマダか…と思ったのか、やっとアカネが助け船を出す。アカネ「衛生面だったら心配しないで。あたしが監督してるから、ちゃんとしたものしか作らせないよ」ちえり「だって。だから大丈夫だよっ!」みつば「ちえり様…ごめんなさいませ」みつば、ひかりを見つめる。「あのう…」ひかり「いいの、わたしも言い方がまずかったかな…ごめんね、変な心配させちゃって」ひかり、ペコリと頭を下げる。みつば「お姉さまは悪くありませんの。ごめんなさいませ…」みつばも素直に頭を下げた。その光景を見ていたゆとりとるりか、双方同じタイミングでホッとする。もしちえりの代わりにこの2人が出てきたら、どのような形にしろ面倒な事態となったに違いない。…そう思いながら、アカネはホッと胸をなで下ろし、笑顔になったひかると見つめ合ってニコリとした。