第2章「出会い」


●主役? 登場


所変わって若葉台公園。3人の女の子が並んで歩いている。

彼女らこそ、今をときめくカラフルなガールズ戦士『パステルガァル』の英ちえり・瀬々良木るりか・分部みつばの3人だった。


ちえり&みつば「デリ~トス?」

るりか「そいつがダークネス・ガーディアンのコピーを大量に作って、良くないことを企んでる悪いやつ、って事ね!」


かあら「そうカラ。ただこのデリートスが、どうやってガーディアンをコピーする力を手に入れたのは、まだよく分かっていないカラ」

手のひらサイズのネコのぬいぐるみが、状況を細やかに説明している。

彼女の名前は『かあら』。世界の色を守る『パステルワールド』を破壊しようとする『ダークネス・ガーディアン』を阻止するために、彼女はちえり達に『パステルガァル』になって欲しいと頼み込んだのである。


ちえり「ふう~ん…」

首を傾げるちえりのツインテールがふわふわと揺れる。

英ちえりは、小学6年生。世間には隠しているが、世界の『色』を守るパステルガァル・チェリーに変身する女の子である。


るりか「ようっし! そんなヤツ、あたしたちパステルガァルが華麗にやっつけてあげるわ!」

そう言いながら、拳を高々を持ち上げるるりか。


ちえりパステルガァル! 公式ブログ-拳を振り上げる、るりか。


ちえり「るりかちゃん、がんばれー!」

みつば「心から応援してますの~」

るりか「いやアンタ達も一緒に戦うの! アンタたちもパステルガァルよね? そーよね!?」


るりか、ふたりの頭を掴み、手の平で髪の毛をもみくちゃにする。

ちえり&みつば「いたたっ、そ、そうで~す!!」

るりか「わかってればよろしい」

ココン、とふたりの頭を手刀で叩く。


瀬々良木るりかは、中学2年生の女の子。パステルガァル・ラピスラズリに変身。

年下のちえり・みつばに対しては、ちょっとした保護者兼お姉さんでもある。


ちえり「いったたた………」

みつば「ひどいですの。そのデリートさんより、るりかさんの方がよっぽど凶暴ですの」

るりか「誰が凶暴ですって!? 愛のムチよ、愛のっ」


そしてカールの髪の子は、分部みつば。パステルガァル・ハニーに変身。

ちえりのクラスメート。ちえりの事が大好きで、彼女を『ちえり様』などと呼んで慕っている。


るりか「んで…この若葉台に、デリートスが潜伏してるのね。どうやって見つけだしたらいいの?」

かあら「色の力を使う相手だから、使ったときに気配で分かるカラ」

ちえり「使わなかったら?」

かあら「それは…。でも何もしなくても、ある程度近づけば何とかなるカラ」

るりか「そっか。つまり色々動き回って、今日中に見つけないといけないって事ね。ここまで結構遠かったし、電車賃も掛かったからな~」

ちえり「おごってもらって、ありがとう~」

るりか「ど~いたしまして。あんたたちは子供料金だから半額で助かるわ」

ちえり「えっ、るりかちゃんは子供じゃないの?」

るりか「そっ、もう大人料金なの。子供料金の2倍はプレミアムって感じ? う~ん、あたしっておっとな~♪」

みつば「精神年齢の方はずうっと子供ですのっ」

るりか「やかましっ! 相変わらず一言多いの!」

みつば「フンっ、さっきの仕返しですの~」

ツーンと顔を背けるみつば。


ちえり「ケンカしちゃだめだよ。それより電車楽しかったね、ぶんぶん~」

ふたりがケンカしている風景を見るのが辛くなったのか、ちえりは急に話題を変える。

みつば「そうですの。何だかピクニックに来たみたいですの~」

るりか「フゥ、こらこら。とにかく、何としてでも今日中にワルモノをあぶり出さなきゃね!」

ちえり&みつば「おー!!」


ふたりのかけ声に合わせるように、ぐう、とちえりのお腹が鳴った。


ちえり「うう、おなかすいた…」

みつば「どうなさいましたの、ちえり様?」

るりか「どしたん、朝ご飯、食べてきた?」

ちえり「ううん…ぱれっとがなかなか起きてくれないから、ちょっとだけしか…」

ぱれっと「そうなのれす。昨日の晩から緊張しすぎて、眠れなかったのれす。もう少し寝かせて欲しいのれす…」


耳の大きなぬいぐるみ・ぱれっとが、ちえりのリュックから顔を出す。

彼は最初にちえりに出会い、即決でパステルガァル・チェリーに変身させた使者である。

最初はちえり達に振り回されていたが、それにも最近慣れてきたのか、どうやら今回は彼がちえり達を振り回す担当になっているようだ。


かあら「ぱれっとが原因だったカラ! というか、さっきからかあらにばっかり説明させて、ずーっと寝てるカラ! そろそろ起きるカラ!」

ぱれっと「ごめんなのれす…ぐう」

ぱれっとはゆっくり目を閉じると、再びリュックの中に隠れてしまった。


ちえり「あれ? ぱれっと、ぱれっとー?」

みつば「また寝てしまいましたの…」

るりか「放っておきましょ。まだ来たばっかりだし、おネムな状況じゃ、うまく探せないでしょ」

かあら「後でひどいカラ。覚えておくカラ…」

かあら、幸せな笑みを浮かべて眠りこけるぱれっとを想像して、彼が収まったリュックを思い切り睨みつける。


るりか「とりあえず、腹が減っては戦はできぬ、ってね。作戦会議も兼ねて、あそこのお店で少し食べよっか」

とるりかが指さしたのは、おなじみ(?)デラタコカフェであった。

遠目に見ると、可愛い文字で『ただいま営業中♪』の札が下ろされている。


みつば「あれは…お店ですの?」

ちえり「車のお店だね~」

るりか「屋台だよ。あれはたこ焼き屋…かな? 少しだけなら、おごってあげるよ」

ちえり「わあい、たこ焼き、たこ焼き~♪」

みつば「ちえり様、待ってくださあい~♪」

ちえりとみつば、デラタコカフェに向かってダッシュしていく。


るりか「やれやれ。ホントにお腹空いてんのかしら」

かあら「? …あのたこ焼き屋さん、何故か不思議な感じがするカラ…」

るりか「ホント? もしかして、いきなり当たり!?」

かあら「そういうのとは違うカラ…ううん、多分気のせいカラ」

るりか「そっか。変な現象とかが起こったら、些細な事でもいいから教えてね」

かあら「わかったカラ」


●ちえり・イン・デラタコ


ひかり「いらっしゃいませ!」

ちえり「いらっしゃいました~♪」

ひかりの丁寧な挨拶に、これまた丁寧に返事するちえり。

プリキュアとパステルガァル、ふたりの主人公が出会った瞬間である。

お互いが正体に気づくのはもう少し先の話になるので、それまでしばらくのご辛抱を。


ちなみに少し離れた席には早瀬ゆとりが座っており、すでに飲み干したジュースの、氷が溶けた後の水を飲んでいた。何かを気にしているのか、若干イライラしている様子である。

休日の午前中という時間帯のため、他にお客さんはいなかった。


アカネ「いらっしゃい! 何にします?」

るりか「すみません、たこ焼、一皿ください」

ちえり&みつば「え~っ? 一皿だけ~!?」

るりか「うん、一皿。だってここで食べ過ぎたら、お腹いっぱいになって動けなくなるわよ。ここのたこ焼、けっこう大きいじゃん」

みつば「うーん、確かにおっきいですの」

ちえり「100個食べたら、お腹いっぱいになっちゃうね」

るりか「イヤそれは食べ過ぎだし、そんなにおごらないからね」

アカネ「ははっ、お姉ちゃんは大変だ。アタシとしては、ひとり一皿ずつ頼んでくれると嬉しいんだけどね~」

るりか「ええ~、おねーさん、勘弁してくださいよ~」

アカネ「冗談、冗談。アンタ達、あんまりお姉ちゃんを困らせちゃダメだよ」

ちえり&みつば「は~い!!」

るりか「ウソつけっ!!」

先ほども似たようなやりとりがあったが、るりかは少々涙目になっている。


アカネ「アハハ、じゃあ注文は一皿だね。足りなかったらまた言ってよ」

るりか「すみません、お願いしますっ」

ちえり「おねがいします~」

みつば「よろしくお願いいたしますの、おばさま~」


おばさま。

年齢が気になる女性にとって、ちょっと聞き捨てならない言葉に反応したのは…何故かひかりだった。

ひかり(おっ…おばさま!?)

るりか「こっ、こらみつばっ!」

さすがにるりかもみつばを制する。


しかし言われた本人は、

アカネ「いいっていいって。出来上がるまで、ちょっと待っててね~」

全然気にしていない様子である。


るりかに引っ張られ、近くのテーブルに座るちえりとみつば。

ひかりはこの席に注文の品を持って行く気にはなれず、タコカフェビークルの陰に隠れてしまう。

セインフ「ひかり、どうしたんだセイン?」

気になったセインフが声を掛けるが、返答に困ったひかりは何も言えなかった。


アカネ「ひかり、出来たよ。あれ? どこ行ったのかな。…じゃあひかる、代わりに持って行ってあげて。あそこのテーブルの3名様だよ」

ひかる「はーい」


ひかるがたこ焼きを持っていったのを見計らってから、ひかりが姿を現す。

アカネ「ん? ひかり、どうしたんだい? …もしかして、あの子達と何かあったの?」

ひかり「はっ、はい」ひかり、みつばを指さし「あのカールの子、アカネさんの事を、お、おばさまって…」

アカネ「誰だって歳は取るもんさ。あの子からすれば、あたしはおばさんなのは間違い無いんだし」

ひかり「で、でも…!」

アカネ「言われたのは初めてじゃないよ。さすがに最初に言われたときは、ショックで一週間ほど寝込んだけどね」

ひかり「そっ、そうなんですか…」


確か2年前だったか、そんな事があったのをひかりは思い出していた。確か、修学旅行の前だったかしら?

理由は教えてくれなかったが、なるほどそういう事情だったのか。


アカネ「それじゃ…傷心のおばさまのために、これで何かひとつ作ってくれないかい?」

と言いながら差し出したものを見て、ひかりはギョッとする。

その手には、先ほど金物屋でレナに作ってもらった、あの四角い鉄板が握られていた。