特別版『ふたりはプリキュアMilkyWay&ちえりパステルガァル!スペシャル・ハーモニック』
※こちらの作品はヒカルミの世界様の作品「ふたりは「プリキュアMilkyWay
」と、当ちえりパステルガァル!のコラボ作品です。ストーリー、著者はライネス
様です。執筆ありがとうございました!!
第1章「ひかりと鉄板」
●金物屋のレナ
若葉台商店街のとある金物屋。九条ひかりと早瀬ゆとり、その店のカウンターで待っている。
しばらくすると、20代後半と思わしき女性が奥からやってくる。
その手には、四角い鉄板が抱えられていた。
レナ「ハイ、お待たせ。これでどうかしら?」
女性は鉄板をひかりに手渡す。
ひかり「ありがとうございますっ!」
彼女はこの金物屋の跡取り娘で、名前はレナといった。
アカネとは同い年、共にベローネに通った仲で、今でもタコカフェの鉄板のメンテナンスを任されるなど、親交が続いている。
もちろん、この鉄板も彼女が作ったものだった。
余談ではあるが、かつてベローネの女生徒の間で話題になった怪談、『ベローネのルリ子さん』の噂を流した首謀者の中には、彼女も含まれている。
ゆとり「どう、ひかり?イメージ通りに焼けそう?
ひかり「(鉄板をじっと見つめて)………うん、これなら上手くできそう! レナさん、ありがとうございました!」
ペコリと頭を下げるひかり。
ひかり「ええと、それじゃ、お金の方を…」
レナ「ううん、お金は、今回はいらないわ。そのまま持っていって」
ひかり「ええっ!? それはダメです。このへんは親しい人でもキッチリしておかないと、ってアカネさんが…」
ゆとり「そうですよ。そりゃタダでもらえるのは嬉しいですけど…」
レナ「本当にいいのよ。理由は、そうね。これでアカネに新メニューを披露した後に教えてあげるわ」
ひかり「わ、わかりました。ありがとうございます…」
ひかゆと、レナにペコリと頭を下げる。
ひかり「あ、それからレナさん、この事はアカネさんには内緒で…」
レナ「わかってるわ。ひかりちゃんの新メニューお披露目の成功、祈ってるわよ。アカネのビックリするところ、あとで細か~く聞かせてね!」
ひかり&ゆとり「ハイっ!」
●唐突な襲撃、ダークネス・ガーディアン
ウキウキ気分で金物屋を出てきたひかゆと。
ひかりは鉄板を宝物のように抱えている。
ゆとり「そういえばさひかり、あのメニュー、いつアカネさんにお披露目するの? アタシ今から楽しみなんだけど~♪」
ひかり「うっ、うん、近日中には………」
ゆとり「近日中って、いつ?」
ひかり「それは、その、近日中に………」
ゆとり、ひかりの曖昧な発言にムッとする。
ゆとり「ひかりぃ、そんなんじゃいつまでたってもお披露目できないよ。アタシだって何度も試食させてもらったんだし、絶対大丈夫だって」
ひかり「うっ、うん。ごめんね…」
これじゃ埒があかないと、ゆとり、ひかりにぐいっと顔を近づけて、
ゆとり「でっ、お披露目はい・つ・な・ワ・ケ?」
と問い詰める。
ひかり「あの、その、それは、その………」
セインフ「ちょっと待ってほしいセイン。…何か怪しげな気配を感じるセイン!」
ゆとり「ええっ? アタシそんなにヤな感じだった?」
スワンフ「そうだったけど、そうじゃないのスワン。とっても重くて、イヤな雰囲気を感じるのスワン」
セインフ「あっちだセイン!」
セインフの言われるままにふたりが向かったのは、商店街の外れの狭い道。女の子2人が歩くには、ちょっと用心しなければならない場所である。
その先の物置の陰に、ゴミ袋大の、なにやら黒い霧のようなものが蠢いていた。
ゆとり「あれは…ナラクーダ? ちっちゃいけど」
スワンフ「ううん、あれはちょっと違うみたいなのスワン」
ひかり「ちがうの?」
セインフ「うん。でも邪悪な気配がプンプンしているセイン!」
ゆとり「ワルモノって事は間違いないか。狙いはアタシたち、かな?」
ひかり「このまま放っておいていいひとでは、無さそうね…」
ゆとり「ひとだったらいいけどネ。とにかく、後を追いましょう!」
ひかり「うん!」
覚悟を決めたのに気づいたのか、ゴミ袋が曲がり角にサッと隠れる。
ふたりはそのまま駆け足で後を追い、角を曲がる。
そこは細い路地裏。ふたりが曲がった角の20メートル先に、先ほどの黒い霧が蠢いていた。
しばらく様子を見ていると、その霧は前触れもなく、ものすごい勢いで風船のようにふくらんでいく。
そして、その霧の中から………
ガーディアン「ダイナゴ~ン!!」
今までと違う奇声と共に現れたのは、丸くて大きい、ぬいぐるみのような小豆色の怪物だった。
ひかゆと「ひゃああああっ!!」
唐突な怪物の出現に驚愕するひかゆと。
ひかり「あれは…ク、クマのぬいぐるみ、かしら…?」
ゆとり「見方によっては、結構カワイイ…のかな?」
スワンフ「外見にだまされちゃいけないのスワン。すごく邪悪な気配を感じるのスワン!」
ゆとり「わかってる!」
セインフ「ふたりとも、気をつけるセイン!」
ひかり「わかったわ!」キリッとした表情になったひかり、ゆとりの方を向いて「ゆとりっ!」と呼びかける。
ゆとり「オッケイ!」
レナからもらった鉄板を壁に立てかけて、変身の構えを行う。
ひかゆと「ツーショット・ハーモニック・レイディエイション!!」
ルミナス「とわに純なる、光輝の使者・ピュアキュアルミナス!」
ラピッド「とわに純なる、光速の使者・ピュアキュアラピッド!」
ルミナス「煌き!」
ラピッド「駆け巡る!」
ルミラピ「『ふたりはプリキュア』っ!!」
ラピッド「時の流れを捻じ曲げる、あなたっ!」
ルミナス「素直な心に、お戻りなさい!」
ガーディアン「ダイナゴ~~~ン!!」
小豆色のぬいぐるみ、プリキュアに向かって突っ込んでくる。
ラピッド「まずはアタシがっ!」
それより早くラピッドが突っ込んでいき………スライディングで、怪物の股下をくぐり抜ける。
ガーディアン「ぐあっ!?」
ラピッド「遅いっ!」
後ろに回り込んだラピッド、そのまま怪物の後頭部に回し蹴りを放った。
ガーディアン「うお!? ゴおお~~~ん!!」
効き目はイマイチだったが、自らの速度に意図せぬ弾みが付き、怪物がバランスが崩していく。
その正面に待ち構えていたのは------ルミナス!
ルミナス「やああああっ!!」
体勢を崩した怪物の腹に、正拳突きを打ち込んだ。
ガーディアン「ゴお~~~~~~~~~ん………!」
溜めに溜めた必殺の一撃に、見事に吹っ飛ばされる怪物。
ラピッド「おわっと!」
危うくぶつかりそうになったラピッドが、頭を抑えてかがみ込む。
怪物はそのまま体勢を立て直せず、哀れ路地裏の壁に激突。ドカーンという轟音と煙をまき散らした。
ルミナス「ごっ、ごめんなさい…」
ラピッド「ノープロブレム。それより、アイツは………」
モクモクと上がる煙が晴れると………そこにはもう、あの怪物の姿はいなかった。
ルミナス「ええっ? 消え、た…?」
セインフ「いやな気配も消えたセイン」
スワンフ「やっつけた、のスワン?」
ラピッド「逃げられたのかもネ。でもアイツ、今まで戦ってきた敵とは違うみたい」
セインフ「気になるセイン。僕はさっきの気配について、後で調べてみるセイン」
スワンフ「スワンフもお手伝いするのスワン」
ルミナス「お願い。でも、あれはいったい何だったのかしら………」
心配しながら、鉄板を拾い上げるひかり。
とにかく、今はこれが無事だったのが何よりである。
●『世界無色計画』
このふたりの戦いを、ずっと離れた位置で見物していた者がいる。
「あれが伝説のプリキュア、ルミナスとラピッドか」
先ほどの怪物をひかりとゆとりにけしかけたのは、この男である。
名前はデリートス。その風貌は、かつて『ナラクーダ』の幹部としてプリキュアと戦った『リバーサス』にそっくりであった。
ガーディアン「ゴおおん………」
先ほどやられたガーディアンが、いつの間にやらデリートスの下に戻り、彼の前で縮こまっている。
デリートス「ご苦労だった。汚名返上の機会は、すぐ与えてやる………戻るぞ!」
そう言うと男と怪物は黒い炭のような色に染まり、灰のように風に吹かれて消えていった。
所変わって、デリートスのアジト。
デリートス、本皮のイスに座り、物思いに耽っている。
ちなみに部屋は真っ暗で、明かりの一つも無い。そんな中なのに、彼の手は迷うことなくワイングラスをつまみ上げる。
その目前には、数十体のガーディアン共が彼の前にひざまづき、号令を待っていた。
連中は、過去に世界の色を守る勇者『パステルガァル』によって倒された怪物どもである。
先ほどの小豆クマのガーディアンも、その中に含まれていた。
デリートス「やはりただの小娘ではない。真正面から戦うのは危険な相手。だが………」
デリートスはワインをひとくちだけ飲み、テーブルに叩きつけるように置く。
デリートス「俺様はワルモノだから、正々堂々と戦う道理など、ない!」
ガーディアン「グギャアアアッ!」
無茶な理屈に合わせて、大勢のガーディアン達が大声を上げる。
デリートス「『世界無色計画』。すべてを単色に染め上げるためにも、ヤツラには消えてもらわねばならん」
デリートス、グラスに残っていたワインを傾け、床にこぼしていく。グラスからこぼれ落ちたワインは徐々に黒く染まり、床に届く前に塵のように消えていった。
デリートス「偉大なる計画を、これより始めよう。第一歩として………フン、まずは適当な『色』の力を手に入れるか。行くぞ!!」
ガーディアン「グギャアアアアアッ!!」
怪物どもの怒号と共に、デリートスが立ち上がった。
