スーパームーン撮影騒動記
その1
無断転用禁止
2、3日前のことじゃ。
久しぶりに満月の写真を撮影したいと思ってのう。
奇しくも今夜の月はスーパームーンじゃという。
しかしわしはスーパームーンには余り興味がなくてのう。
スーパームーンであろうがなかろうが、ただ単に「月のある風景」を撮影したいというだけじゃ。
月がちょいとばかり大きく見えたところでどうということもないわい。
撮影地は琵琶湖の湖西じゃ。
湖西の湖畔にはこの時期になるとノウルシが咲くからのう。
月光に照らされてひっそりと咲くノウルシをモノにしてみたいと思ったのじゃよ。
ノウルシ群生地への道を急いでいると、途中で湖畔に咲く桜並木に出会ったわい。
ここは音に聞こえた桜名所の海津大崎でのう。
折から桜満開とあって、コロナ騒動などものかわ、車と人で溢れかえっているのじゃよ。
こんなところに留まって、変なハヤリ病を移されてはかなわぬわい。
慌てて素通りしようと思ったのじゃが、カメラマニアの悲しい性とでもいうのかのう。
ついついカメラを取り出してしまうんじゃよ。
ボートに乗って撮影している人がいるぞえ。それも面白いかもしれぬのう。
しかし海津大崎の桜を題材にした名作は嫌というほど目にしているからのう。
ワシが今さら撮ってみたところでどうなるものでもないわい。
数枚撮ったところで先を急いだ。
さて目的地に着いたぞえ。
ノウルシがなかなか派手に咲いているのう。
しかしここでは月の出がうまく撮れぬのじゃわい。
お月さまがお出ましになる方角は前がふさがっていて地平線があまり見えぬからじゃ。
しかし待てよ。
そう言えば近所にまだ群生地があったわい。
と、移動しながらあちらこちらを探し回った挙句、見つけたのがこの場所なのじゃが・・・。
ただしここは昨年の今ごろ、日の出を撮った場所なのじゃ。
同じ場所では能がないのう。
しかし昨年はお天道様の撮影じゃった。
今度はお月様じゃから、ま、よしとするか。
と、自分で自分を納得させてこの位置に決めたわい。
日の暮れまでにはまだ間があるのう。
時間つぶしにもう一ケ所別の場所へ「視察」に行ってみるか。ノウルシはないが、時々撮影に行く場所じゃ。
到着すると、駐車場の後ろは桜が真っ盛りじゃった。
今までこの時期に来たことがなかったから、こんなところに桜があったとは気がつかなったわい。
そうじゃ。
この桜を前景にした月の写真も悪くないわい。
よ~し。予定変更じゃ。
ノウルシはヤメにして、今夜の月撮影はここで粘るとするか。
この辺りから、桜を前景に満月を撮影すれば面白いかもしれぬのう。
それにしても夕方までは暇じゃ。しばらくは桜の独り撮影会といくか。
花びらが草むらに落ちて、草に咲いた花のように見えるわい。
しばらくは西日を浴びる桜をあれこれ撮っていたのじゃが、ふと東の方角を振り返ると、何となく空模様がおかしいことに気がついた。
遠くの竹生島も霞んでしまっているわい。
風も強くなって、かなりさざ波が立っている。
オオバンも波に翻弄されているようじゃ
。
何と、フロントガラスには雨粒まで・・・
ところが西の方角は相変わらず日が差していて、雨の気配などさらさらないのじゃよ。
しかしいくら西が晴れていても、わしは月の出を撮影に来たのじゃからのう。
東が曇ってしまったのでは意味がないわい。
しかしワシの気持ちとは裏腹に、空模様はいよいよ怪しくなるばかり。
強風が吹いて水面は波立ち、桜の枝も大揺れじゃ。
黒い雲が東の空一面を覆ってきたぞえ。
これは一体どうなることやら?
天候ばかりは、わしでは何ともならなぬわい。
この後の結末は次回に回すことにしようかのう。
つづく
無断転用禁止
























