考えていても仕方がないそう思った2016年春。

僕は、気晴らしに友人達と中目黒の花見に出かけることにした。

 

考えたって当てがないのだから、こうなったら楽しむしかないかと思ったのかもしれない。

 

しかし、自分のやりたいことを諦めて心から楽しめることなんてあるんだろうか・・・と僕は思えた。

 

友人たちに声をかけて集まることにした。友人は「別の友人を誘って行きたい」と言ってきたけど僕は「別に構わないよ」と軽い返事をした。

 

晴れない気分のまま花見に行った。友人が誘ってきた初対面の男性から名刺を渡され自己紹介をされた。

 

すると彼は興味深いことを言った。

「僕は表舞台に現れない隠れ資産家の先生に学んでいる」と言ったのだ。

 

「その方はどんな先生なの?」と聞いた。

この時の僕の心境は決して高ぶってはなく「東京にはいろんな情報があるからなぁ」と思った。

 

彼は話し続けて「その方は世界資産家で、こんな方であんな方で・・・」と話す。

 

彼の話の奥に浮かぶその隠れ資産家の先生のイメージは、今まで会ったことがない類の人物に思えた。

 

凄そうな人だと思ったが、僕は金持ちというのが苦手だったのだ。僕自身が決して裕福ではなかったから。

 

東京に来て出会う金持ちというのは、どこかギラギラしていて何か怖い感じがした。「そういうお前はどうなんだ?!」と言われたら僕はもっと冴えない人間だっただろう。だからか、いわゆる金持ちというのはどう接していいのか分からなくて気持ちが引ける。

 

しかし、その話をする男性は僕が最も信頼する友人の紹介だったので、少し信じてみたくなった。その「ほんの少し信じてみようかな」と思った瞬間、「もしかして自分が探し求めているような出会いだろうか」と頭をよぎった。

 

何ヶ月も「自分には限界があってあてがない」と悩み、この先の未来が見えないと思った日々だったけど、もしかしてその男の子が言うその「隠れ資産家」の方が、探し求めていた人なのかもしれない。

 

僕は彼に「その先生に会うことはできないのですか?」と聞いた。

 

すると彼は「いや直接ご紹介することはできません。やはり由緒ある方ですから、誰にでも合わせることはできません」と言われた。

 

「やはり僕はそういう世界には縁がないんだろうなぁ」と思った。

 

でも最初のためらいをよそに、一歩踏み込んで見ると僕には今度は野心が出てきて「なんとか彼を説得し、その隠れ資産家の先生にいつか会うチャンスをつかもう」と思えた。


 

それが叶うかも分からないし、果たしてそれが僕が求めた出会いなのかもわからない。

 

東京で一体、何回、期待を裏切られたことかわからなかった。

これはチャンスかもしれない、あれはチャンスかもしれない・・・そう思いながらここまで来て期待通りになったことがなかった。

 

東京の人は冷たいと言うけれど、期待はずれの繰り返しを浴びると人は冷めるもので、心が折れる。当時の僕はそんなこんなで冷めきってしまい、どこか世の中に絶望している状態だったのだ。

 

しかし、この時は「これこそ最後のチャンスかもしれない」と思うことにし「期待に裏切られるのは怖いから、あまり力まないようにする」ことにした。

 

それから今度は僕が彼を何度か食事や友人のパーティーに誘い、少しずつ親交を深めた。そして会うたびにその隠れ資産家の先生に会ってみたいと言った。

 

すると3ヶ月が経ったある日、彼がついに「そんなに望まれるなら一度、先生に伺ってみます」と言ったのだ。

 

そして伺ってもらったところ「そこまで言うなら一度、会う時間を作ります」と資産家の先生が仰ったと連絡をもらえた。

 

気持ちが高ぶって喜んだが、それでも僕はまだ過度な期待をしないように自分に言い聞かせていた。

 

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