今日は土用の丑の日 | ザスタのクマさん

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今日は、土用の丑の日です。
何故『土用丑の日』に鰻を食べる習慣ができたのか? 一番有名なものをお話します。

江戸時代、うなぎ屋がうなぎが売れないで困っていることを、平賀源内に相談しました。
この時の、 「“本日丑の日”という張り紙を店に貼る」 という平賀源内の発案が功を奏し、
うなぎ屋は大繁盛になったのです。これを他のうなぎ屋もこぞって真似するようになり、
次第に「土用丑の日はうなぎの日」という風習が定着したとされています。

夏の土用丑の日のにぎわいと、
江戸下町のうなぎ屋は相性ぴったり。

🎐 土用の丑と下町鰻

 丑の日ともなりゃ、
浅草あたりの夕暮れは、
そりゃあもう騒がしいねぇ。

夕立あがりの石畳がまだしっとり光って、
屋台の行灯がぽつぽつ灯りだすと、
川風がふっと匂いを運んでくる。
焦げたタレとうなぎの脂が
まじりあった、あのたまんねぇ香りよ。

「へい、丑の日だよ、お立会い」 
 
年季の入った暖簾をくぐると、炉端の前に、
いかにも江戸の職人って面つきの親爺が、
きゅっと鉢巻きを締めて立ってやがる。

指は炭で黒く、包丁はよく研がれて、
まな板の上でうなぎがひと暴れ。
 
「おっとっと、そうあわてなさんな。これから天国行きだ。」

屋台のまわりには、長屋帰りの左官や大工が、ひょいっと
腰をかけてる。銭の心配ぁあっても、腹ぺこには勝てねぇ。

「親爺、きょうは丑の日。景気よく一枚、分厚く頼むぜ。」

「なぁに言ってやがる、丑の日じゃなくたって、うちは
いつでも分厚いさ。だがまあ、きょうは“ご利益”つきだ。」

親爺は、炭をつついて火を起こすと、串打ちしたうなぎを
ぱっと並べる。じゅうっと脂が落ちて、煙が立ちのぼる。










「昔はなぁ、夏場にゃうなぎなんざ、
誰も見向きもしやしなかったんだ。」
 
そう言って、タレ壺から金の糸みてぇに、
とろりとタレを垂らす。
 
「ところがよ、物知りの先生が来てな。
“丑の日に“う”の字のつくもん食や、
夏負けしねぇ”ってんで、店先にでっけぇ字で
書いてくれたんだ。“本日土用丑の日”ってな。」
 
親爺は目を細めて笑う。
 
「するとどうだ、表にゃ人がぞろぞろ。うなぎが旬だの
何だの、そんなこたぁ誰も気にしねぇ。腹と銭と看板さえ
良けりゃ、季節のほうが言うこと聞くって寸法よ。」










井戸端で洗い物をしていた娘っこが、
ちらりと店の中をのぞいて、すぐ目をそらす。
夕餉どきの、ささやかな色気である。

「へい、丑の日特盛一丁、お待ち遠さま」

焼きあがった蒲焼きが、湯気を立てながら丼におさまる。

「ほらよ、江戸の夏の薬。“土用の丑”って看板代込みだ。」

照りは川面の月みてぇで、
香りは長屋のガキどもを引っぱり出し、
その煙を鼻先で追いかけながら、
裸足のまま店先にへばりつく。 

「親爺、いい匂いだなぁ。」

「今はこの匂いで我慢しな。
大きくなったら、仕事帰りに一人目ーだ!。」

親父がそう言って笑うと、皺だらけの
顔が、炭火よりあったかく見える。

長屋の夕空は、まだ茜色の名残りを
引いていて、どこかの屋根から、
風鈴がちりんと鳴る。

屋台の赤ちょうちんに、湯気がふわりと立ちのぼり、
長屋の裏まで、その香りが、まるで落語の
オチみてぇに、するすると流れていった。

「丑の日の煙は、今年もまた、空のどこかで
源内の鼻先をくすぐっているに違いない、」
と老主人は夕空を見上げながら、
心の中でだけでしみじみと噛み締めた。



今日が良い日となり、

明日がさらに素晴らしい日となりますように晴れ。

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撮影   文   熊谷


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