今日は冒険家の日 | ザスタのクマさん

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あらゆるアート、デザイン、 特に写真が大好きなクマこと熊谷の作品集。

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今日は冒険家の日。
1965年同志社大学アンデス・アマゾン遠征隊のボート下り。
1970年植村直己さんによる世界初の五大陸最高峰制覇。
1989年堀江謙一さんのミニマーメイド号による太平洋横断。
複数の歴史的な出来事が同じ日に重なったことから、自然と語り継がれてきた記念日。

密林の灯

人間の世をジャングルと呼ぶのは、
少し気取った言い方に聞こえるかもしれない。

けれども、実際また、それほど外れてもいない。
道のないところに道のようなものが見え、
光のあるところに必ず影が伏している。

そこには名も知れぬ蔓が人の脚にまといつき、
見えぬ湿気が志を腐らせ、また思いがけぬ所に、
ひそかに花の匂いが漂っている。

私は若い日の或る時、ことさらに険しい
その繁みの中へ、写真とデザインという
細い刃物を携えて分け入った。

今になつて思へば、それは若さの
野心であつたかも知れぬ。

いや、もつと曖昧な、
説明しがたい飢ゑであつたらう。





レンズを覗くということは、外界を見るよりも、
むしろ己れの迷いを覗くことに似ている。

光は常に美しいとは限らず、影は必ずしも暗いとは限らぬ。
女のひとが森の前に立つとき、その姿は一輪の花ではなく、
むしろ繁茂する生の気配そのものとなる。

私はシャッターを切り、さらに机上で色を整え、
傷を消し、沈んだ緑に呼吸を与える。

そのたびに、ただ景を作っているのではなく、
見過ごされるはずの一瞬に、ようやく名を
与えているのだと思った。






そして、今にして思えば、ずいぶん
気の長い冒険をしてきたのである。

かような不安定な稼業に身を置く者の背後には、
往々にして、本人よりも遥かに堅実な沈黙がある。

私の場合、それはカミさんであり、また家族である。
彼らは声高に冒険を称えはしない。

ただ、日々の暮しの中で、私の危うい舟が転覆せぬよう、
岸から見えぬ綱を握っていてくれたのである。

私は幾度となく、その恩を忘れたふりをしながら、
実はその綱の張りによってのみ、深みへ沈まずに済んだ。

ジャングルは今もなお、私の前に茂っている。
されど昔と違うのは、そこに分け入る私の足もとに、
すでに帰るべき灯があることである。

写真もデザインも、冒険の名を借りた
長い感謝の告白にすぎぬのかも知れない。

女と森の幻想を写しているようでいて、
生きる事の茂みで見失いかけた灯を、
なお灯のまま持ち続けてくれた人たちへの、
遅い感謝のしるしである。

『冒険家の日』に記す。


最後までご覧頂きありがとう。

今日が良い日となり、

明日がさらに素晴らしい日となりますように晴れ。


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撮影レタッチ  文   熊谷


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