「他人」だから。
『ボーッと観る会』、昼の部。
開始前の雑談タイム。
アメリカ在住のAさん。
お盆も帰国されないんですね。
「ええ、けど、息子が日本に。」
あら、息子さんが?
「ちょうど高校を卒業しまして。」
そっか、新学期は、9月からでしたね。
「はい、その間に卒業旅行みたいなかんじで。」
というと、友達と?
「いえ、ひとりです。」
ひとり?
Aさんのご実家に?
「にも寄るんですが。」
ですが?
「富士山に登るみたいで。」
ほー、富士山に。
「近くのロッジを予約してます。」
ほー。
「で、実家に寄った後。」
寄った後?
「バリに2週間。」
ほー、日本から直接?
「そうなんです。」
まさに、思い出のひとり旅。
「それが驚くというか、あきれるというか。」
はい?
「富士山以外は、宿もホテルも予約してないんです。」
えっ。
「全くのノープラン。」
「行き当たりばったりで。」
あら。
「『大丈夫なの?』って訊いても。」
訊いても?
「『全然平気、平気』って。」
大物ですね。
「わが子ながら、ほんとに。」
「もう誰に似たのか?」
ご主人もそんなかんじですか?
「いえ、アメリカ人にしては几帳面です。」
ほー。
「頼まれもしないのに。」
「旅先の情報を調べて息子に送ってます。」
あら、ステキなお父さん。
「息子は完全スルーですけど。」
自由人だな~。
「どちらにも似てないんです。」
「不思議なことに。」
へー、そうなんだ。
「息子は、超外交的で。」
「娘は、超内向的で。」
両極ですね。
「私たちのキャパを広げてくれるみたいで。」
ホントだ。
で、Aさん。
「はい?」
心配じゃないんですか?
「えっ、息子ですか?」
ええ、息子さん。
海外ひとり旅。
しかも、ノープラン。
母親として、気になるのでは?
「いや、それが全然大丈夫です。」
あら。
「母親として鍛えてもらったのでしょうね。」
なるほど。
「何を言っても聞きませんし。」
ですね。
「たしかに母親ですが。」
ですが?
「気分は『他人』です。」
ほー、他人。
「『わが子』だと思うと。」
思うと?
「どうしてもコントロールしたくなるんですよね。」
ですね。
息子さんまで「わたし」に。
手足のように動かしたくなる。
けど、思いどおりにならない。
そこに苦しみが。
そこで「他人」ですか。
ある意味、ひとりの大人として尊重しているとも。
「どうなんですかね~。」
「鍛えてもらったことは、たしかですが。」
ピピッときたのが、こちら。
「『私』という夢から覚めて、わたしを生きる」
中野真作 青山ライフ出版
> あなたの周囲の世界にあるもので
> あなたの注意を特にひきつけるもの、
> なんだかわからないけど気になったり、
> 感情を動かされるものは、
> すべてあなた自身の影の投影です。
> 本来はあなたの大切な一部なのに、
> そのことを忘れ、じぶんではないものとして
> 自分の外側に押しやられてしまったその部分は、
> あなたに気づいてもらいたくて、
> あなたに愛を求めて、いろんな形で
> あなたの注意をひきつけようとします。
> それが、あなたの世界にさまざまな問題
> (のように見えるもの)が現れる原因です。
> あなたの世界に苦しみ(のように見えるもの)が
> 現れる原因です。
結婚して、アメリカに移住。
現地に何のコネもないのに。
一から保育園を立ち上げたAさん。
「以前から、やろうと思ってたわけではなく。」
「なぜか『やろう』『やるしかない』『できる』と。」
そう感じたから、そうする。
息子さんと同じじゃないですか。
去年まで息子さんに振り回されていたAさん。
けど、先日、
> 他の人から見れば、Aさんもかなり大胆な人ですよ。
と私が言ったら、
「そうかもしれませんね。」
とフツーに受け容れられてましたね。
行き当たりばったり。
ノープランな息子さん。
イヤになるほど、見せつけてくれましたからね。
Aさん自身の「影」を。
切り離した「影」。
・・・なんだこれも、わたしか。
腑に落ちるほど、息子さんが気にならなくなる。
Aさんの「他人」発言。
息子さんが見せてくれた「影」を
「自分」として受け容れられたからこそ。
思いどおりにしたくなる「わが子」ではなく。
コントロール対象外。
あるがままを受け容れる存在としての「他人」。
私には、そう観じられたなあ~。
えっ、あなたも。
心揺さぶられる人が?
あなたから観れば、
その人は、どんな人?
他人に言わせれば、
あなたも、そう見られてるかも。
そう。
あなたがまだ認められない
あなた自身の「影」かも。
今日は、ここまで。