第28回 「Tell Her About It」(1983)/Billy Joel | 柑橘スローライフ

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ロックの世界でずっと第一線で活躍し続けるというのは大変な事。
そんな代表的人物がBilly Joel/ビリー・ジョエル。
デビューから40年以上。敬服の一言です。

思い浮かぶナンバーはいくつもありますが、
まずは「Tell Her About It(邦題/あの娘にアタック)」

曲調からして、陽気なモータウン風であるので、
サウスブロンクス出身だというビリー・ジョエルは、
おそらく、青春時代にこうしたソウルやR&Bにどっぷりと浸かり、
それらの音楽が彼の音楽のベースとなっていったのでしょうね。
この曲が含まれるアルバム「Innocent Man(イノセント・マン)」全体を通して、
ビリー・ジョエルのそうした音楽ルーツを感じさせます。

モータウン風と私が考える典型的なパターンは「Call&Response(コールアンドレスポンス)」で、
リードヴォーカルが歌った後に、コーラスがすぐにそれに被せるかのごとくに
同じ歌詞(または少し変化させて)を歌うというもので、
複旋律で旋律が被るため、単純なホモフォニックな音楽と比して、より表現が豊かになります。
「Call&Response」というのは、黒人のゴスペルなどの宗教性の音楽に端を発する、
言わば「部分的な対位法」あるいは「ヘテロフォニックな形式」と言えるかもしれませんね。
この曲は、典型的な「Call&Response」の曲ではないですが、
いくつかの箇所でこの「Call&Responce」の場面があります。

ロックとひとくくりにした場合、その音楽性の大部分の基本的なルーツは黒人音楽であり、
R&Bやファンクあるいはブルースの上に成り立っている部分が大きく、
ビートルズ、ローリングストーンズ、エリック・クラプトン、ピンク・フロイド、
スティーリー・ダン、ドゥービー・ブラザーズ、ホール&オーツといった、
大成したロックアーティストは全てそうした影響下にあると言えます。
そして、ビリー・ジョエルはその典型的なひとりだと思います。

黒人音楽から影響を受けるという、いわば、ルーツの「インプット」は、
多くのロックアーティストについて言えますが、
個々のロックアーティストの外面的なテイストの違いは、その「アウトプット」の仕方、
つまり、音としてあらわれる表現の部分(作曲、アレンジ、演奏、歌唱)が
違うということが言えます。
しかし、そんな中でもビリー・ジョエルの音楽は、
最もナチュラルに黒人音楽の影響を直截に「アウトプット」していると感じられます。

この曲の当時のPVと思われるものがありました。私はなんとなくの記憶しかないのですが、
これを見るとビリー・ジョエルがやりたかったことがひしひしと伝わります。

このPVを見た限りの分析ですが、ビリーは架空のシンガーに扮して、
舞台は1963年のあのエド・サリヴァンショーになっています。
(1963年7月31日午後8時34分というボードが冒頭出ますが、これの意味するところは不明)
エド・サリヴァンのそっくりさん(似すぎです!)は、モノクロ映像でシンガーを紹介した後は、
舞台袖下手側に立っています(はじめ本当の当時のモノクロ画像と思ってしまいました)。
舞台上は黒人バンドにコーラスチームで賑々しく、さながらモータウンのステージのよう。
これはビリーの青春時代の「夢のステージ」なのでしょうね、きっと。
そして、詩作の内容に合わせて、沢山の黒人が出てきて、何だかんだやっています。
詩作の内容については他愛もなく、恋のアドバイスのようなものです。
また、もしかするとこのPVの中には幾人か有名人が入っているかもしれません。

この曲では、当時のワーナー系一流のゲストプレイヤーとして、
ピアノに黒人ピアニストのリチャード・ティー。
そして、サックスに白人テナー奏者マイケル・ブレッカー。
今は亡き、二人の偉大なプレイヤーが客演しているのですが、
ほとんど存在感を感じられずちょっと残念です。



第29回「Don't Look Back」(1978)/Boston


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