第26回「Happy Xmas」(1971)/John Lennon | 柑橘スローライフ

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ジョン・レノンが1971年に発表した「Happy Xmas(War Is Over)」
すっかり、クリスマスどきの定番曲となっていますね。
しかしこの曲、私の記憶ではジョンの生前はそれほど有名ではなかったと思います。
発表時のチャート(リアルタイムではないですが)もそれほど芳しくなかったはずですし、
彼の死後になって、徐々にゆっくりと定番化してきた曲だと思います。

Happy Xmas Kyoko.(ハッピークリスマス、京子)
Happy Xmas Julian.(ハッピークリスマス、ジュリアン)

冒頭のとても小さく囁くような二人の台詞は、
ヨーコとジョンそれぞれの前パートナーとの間の子供への呼びかけ。
余計なお世話ですが、ヨーコはジョンで3人目。ジョンはヨーコで2人目。
ちなみに、ヨーコの最初のパートナーは現代音楽作曲家の一柳慧氏。
ロックのジョン・レノンと現代音楽のジョン・ケージの弟子格である一柳慧氏。
何の因果か、単なる偶然か、以前から、なかなかの面白い取り合わせだと思っています。
そして、ジョンが呼びかけている「ジュリアン」は、ポール・マッカートニーの作った
「ヘイ・ジュード」の「ジュード」のモデルですね。

ジョンの「So this is Xmas~」という歌い出し。
やはり特別な空気感を持っていて、ぐんと引き込まれるカリスマ性があります。
最近、本当の意味でのカリスマ性を持っているアーティストが少ないのが残念です。
欧米では、ロックは20世紀のうちに「再生産化された音楽」となり、
そこから既にかなりの時間が経過し、ルーティーンとしてのビジネスの動きに完全に
なってしまいましたから、カリスマ性などと言うもの自体の生まれる素地がない、
実相はそんなところで、今は「大きなカリスマ」の時代ではなく、「小さなカリスマ」を
ネットの中などに、個人個人が見出していく時代ということなのでしょう。

さて、ビートルズ解散後のジョン・レノンの音楽活動を、
一般に「愛と平和」の活動だ、というようなことがよく言われます。
この「Happy Xmas」も副題が「War Is Over」ということで明確に反戦歌です。
しかし、彼のこうした「反戦的」な思想は、一般に左翼的とされる発想とは、
本質的な意味で違うだろうと私は思っています。
ジョン・レノンは、共産主義的・社会主義的なものの発想を
元々、恐らくあまり持ち合わせていなかったのではと思っています。
多分にヨーコ氏の扇動によるところが多いとは感じられますが、
二人の基本的な「平和観」は、恐らくもっとプリミティブ(原初的)なもので、
ただ「殺し合い」や「憎しみ合い」や「傷つけ合い」を止めようよ、
と言っているだけで、それが本質だと思います。
「イマジン」で述べている歌詞内容も、狭い意味での左翼的なものではなく、
もっと物事の根源的なところからの発想だろうと思います。

また、これらの平和的な活動を進めたのは、彼ら二人の私生活、
特に前パートナーや子供たちに対する必ずしも倫理的に好ましいとは言えない行いや、
離婚に関わる裁判などの顛末が、あまりみっともいいものではなかったから、
個人的な、そうしたことへの反省、或いは禊(みそぎ)のような意味合いも
実のところはあったのだろうと思います。
つまり、お互いが個人的にしてきてしまった過ちや罪を、
大きな博愛的活動を行うことを通して、「許し」のようなものを得られる、
あるいは浄化される、何かそんなような「救い」を求める気持ちがあったのではと思うのです。
冒頭の囁くような台詞は、そんな二人の祈りが込められているような気がします。

ただ、彼らは「世界的な著名人」という立場を有効に活用し、
平和的活動を通じて、実際に「ベトナム停戦」にも一役買ったと言われているように、
確実な足跡を現に残したという点では、大きく評価をすべきと思います。
当時ジョン・レノンは、まだ30代に入ったばかりの若年層の範疇であったわけで、
今の時代、こんな動きができる「31歳」は少ないでしょう。
自分達の利益だけを追求し、リスクテイクをまったく行わず、
取ってつけたような守りの動きしかしない一部の組織・階層の人種よりは、
遥かに社会貢献的だということは間違いない事実だと思います。
アーティストの中にですら、「世界的な著名人」であるにもかかわらず、
自己の売り込みや利益ばかりに奔走し、社会への還元や奉仕ということに
無頓着な連中が間違いなく沢山いるだろうと憶測されますが、
ジョン・レノンの活動は、そういう人々と綺麗な対比をなしていると言えます。

実のところ、私が好きなのはジョン・レノンの「音楽や歌唱」であって、
彼の政治的活動や思想には、そもそもほとんど興味がありません。
しかし、彼の音楽活動と政治的活動や思想とはどうしても不可分なので、
いつも考えざるを得ないなという程度なのです。
本当はそんなことを考えずに、ジョン・レノンのロックを
ただ純粋に楽しみたい、そう思っています。
It's Only Loveとか、And Your Bird Can Singのような、
シンプルなロックをただただ聴いていたいだけ、これが本音。
本当はこの記事も楽曲の構造とかの話にしようと思っていたのですが、
もう疲れてしまって書けません(笑)。

この「ハッピー・クリスマス」も反戦歌といった重い感じではなく、
単純にクリスマスのBGMのようなものとして、軽く聴きたいですね。
ハッピークリスマス、良き週末、良きクリスマスを!



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