[1249]黒田東彦(くろだはるひこ)超金融緩和(ちょうきんゆうかんわ)について
http://www.snsi.jp/bbs/page/1/
http://www.snsi.jp/bbs/page/1/
黒田東彦(くろだはるひこ)日銀総裁が、4月4日に突如、発表した超金融緩和(ちょうきんゆうかんわ)の金融政策の発表とその後の様子について書きます。あれには私も驚いた。ぶったまげた、と言うべきだ。
日本の金融問題として極めて重要な問題だ。簡潔にポイントフォームで書いてゆく。後のほうに黒田東彦自身が自分で書いたと思われる「黒田超金融緩和」(日本のイージング・マネー、easing money 政策 )を載せます。
1. 黒田は、「マネタリーベースを今の130兆円から270兆円にする」と驚くべきことを発表した。これは日本が持っている資金の一挙投入である。小出しにしない、ダラダラとやらない、ということだ。
2.これで、黒田東彦は山本五十六(やまもといそろく)の再来だと、アメリカでも驚かれた。「Admiral Yamamotoアドミラル・ヤマモト(Isoroku イソロク、提督、元帥)の1941年12月の真珠湾攻撃、及びその半年後のミッドウェー海戦と同じである」と見られている。黒田は山本五十六と同じで短期決戦に出た。持てる力の一挙投入であり短期決戦である。
当時、日本海軍の空母5隻を投入したに等しい(これらが撃沈されたらあと4隻しかなかった)。黒田は山本・連合艦隊司令長官と同じでこれからの半年、1年で決着をつけるしかない。
3.黒田は己れのfortuna(フォルチューナ)に賭けたと思われる。フォルチューナ、即ち運命の女神に全てを託した。今のまま、ぐずぐずやっていたら、日本はデフレ大不況の巨大な渦(スパイラル)に飲み込まれる。だから黒田は一気投入の賭けに出た。勝算は1割ぐらいしかない。
4. 「5月の連休前にやらないと間に合わない」と黒田は考えた。キプロス崩れ(預金封鎖だ。銀行引き出し凍結、預金への一律の強制課税)が、3月18日に勃発していた。
だからヨーロッパ各国で富裕層が銀行預金をどんどん引き下ろす動きに出た。ヨーロッパ金融危機は、この秋を待たずに再発・再燃しそうである。これを日本からの資金で一気に封じ込める策に出た。
5.ヨーロッパ金融崩(くず)れ以外に、東アジアに戦争(その3歩手前の軍事衝突)の危機が迫っていた。黒田は、よく分からない理屈なのだが、日本の資金に余裕を持たせるために、日銀のジャブジャブ・マネーを最高限度のギリギリのところまで出すことを決めた。この後はもうあまり、通貨量のコントロールが出来なくなる。
アメリカは黒田の決断に賛成の意思を表明した。これほどの巨額のものだとはアメリカでさえ予想しなかった。黒田は、本来なら総裁就任の直後の顔見せの初回の日銀・政策決定会合であるから穏便に済ませるだろう、と回(まわ)りは見た。しかし違った。
ヨーロッパの首脳たちは、円安による通貨戦争(カレンシー・ウォー。通貨安による輸出攻勢)だとして嫌がっている。安倍晋三首相たちは、「110%の満額回答の、満点の評価を与える」と称賛した。
6.黒田東彦は私が昔から注目しているとおり、バカ者ではない。賢い男である。だから、このようなヨーロッパやアメリカ、新興諸国をもビックリさせるような巨額のジャブジャブマネーの一挙投入策にでた。これで日本国内にも、保守派の間から却(かえ)ってある種の不安が起きている。黒田さんは大丈夫か。こんなことまで言い出して、と。
同じリフレ派(ジャブジャブマネー推進派)の中にも躊躇が見られる。黒田はバカではないので、愚かな見え見えの円安誘導(=為替介入)はしなかった。しかし黒田発表によって、極端なまでに膨れ上がることになる円資金は海を越えてすぐに諸外国に流れ出している。
これはマンデル=フレミングの法則の問題にぶち当たる。日本の生損保(機関投資家、インスティチューショナル・インベスターズ)が、日本国内の金利のあまりの低さ(10年もの国債は、4日に瞬間で、0・315%という人類史上初の最低利回りをつけた)から、なんと、年率6%取れる、危険極まりない、スペイン国債にまで手を出し始めている。いつ、これが逆回転して、恐ろしい大損害を出すかもしれない。その打撃の凄(すご)さを黒田はジリジリと測定している。
7.黒田が、竹中平蔵・安倍晋三からの強い指図と命令があって、それに従って動いたことは明白である。しかし同時に、日本財務省の国金局(こっきんきょく)あがりなのでアメリカにお金を貢ぐ係でもある。この己れの運命にも従っている。
野口悠紀雄(のぐちゆきお)氏がハッキリとその近著『金融緩和で日本は破綻する』(ダイヤモンド社刊、2013年1月)で書いているが、「インフレ目標(消費者物価上昇)2%を達成するのは絶対に無理なことだ」なのだそうだ。これは、従来の経済学理論からはっきりしている。だから黒田を後押しするリフレ派(インフレーション・ターゲィテング理論)は失敗する運命にある。
8.だが、このリフレ派こそは、アメリカのノーベル賞クラスの経済学者たちの多数派が、こぞって推進している政策である。
ポール・クルーグマンやジョゼフ・スティグリッツらだ。
彼らは自分たちのことを“ニュー・ニュー・エコノミックス”(新しい新しい経済学)だと呼んでいる。
そして従来の経済学理論にこだわる者たちを、古くさい時代遅れの経済学理論だと言って貶(けな)して罵(ののし)っている。浜田宏一と高橋洋一が、その日本国内での扇動係、旗振り人をやっている。
日本でもこのリフレ政策(再通貨膨張政策)を無理やり実行させるために竹中平蔵がアメリカの忠実な手先の最高司令官として動いている。浜田宏一(イェール大学教授)という、おかしなジイさんを内閣参与の肩書にして使っている。そして失敗したら浜田をスケープ・ゴートにしてお払い箱にする気だ。
9. 日銀(中央銀行)が、資金を金融市場に無制限に供給しさえすれば、
①国民の消費が伸び、
②企業への銀行からの貸出しが増え、設備投資が増え、
③雇用が新たに生まれ、
④従業員(サラリーマンたち)の給料が上がり、
⑤これで国民の消費がさらに伸びて、景気が回復する。だから
⑥ 増税をしても国民経済は破綻しない、という理屈である。
しかし、こんなことはどうせ出来ない。
10.中央銀行が持つ金融政策(フィナンシャル・ポリシー)の力は限られている。金融政策は古くから、あまりに過熱してしまった経済(インフレ、好景気)を引き締めて、糸(いと)で手前に手繰(たぐ)り寄せ引っ張り寄せることはできる。
しかしその反対は出来ない。
この金融政策という糸を向こう側に押して、現状のデフレ(不景気)を無理やりインフレに変えて景気を良くすることはできない、のである。
ところが、今のアメリカの激しい不況(デフレ)に直面して、バーナンキFRB議長以下、気が狂ったようにアメリカの経済学者たちは、自分たちが実際の政権運営に関わって来たものだから従来の経済学の理論をかなぐり捨てた。
彼らは過去に経済政策(エコノミック・ポリシー)を泥だらけになって提案し、運営・執行しなければならないポリシー・エクセキューター(policy executor、政策立案かつ実行者)でもあったから、このニュー・ニュー・エコノミックス(新新経済学)に突き進んでいる。
11.だから私、副島隆彦が、日本も又すでに金融統制体制(=預金封鎖)に突入したのだと宣言した(4月1日)ことは、その3日後の黒田発表と矛盾しない。
私たち国民は、すぐに自分の銀行預金をどんどん引き下ろすべきである。
私たちは、政府や官僚たちから今後どんなひどい目に遭わされるか分からない。
預金封鎖とは、
①銀行預金引き下ろしの規制、制限そして禁止=凍結と、
②新札切り替えである。
そうなると旧札の「タンス預金」を使えなくなる事態が起きるであろう。
だから、金持ち(富裕層)は特にどんどん自分の預金を下ろして、実物資産(タンジブル・アセット)に変えるべきである。本当に緊急事態となったら、古いお札は急激に、たった3ヶ月ぐらいしか使えなくさせられてしまう。
1946年(昭和21)2月に起きたことが、また、繰り返し起きようとしている。
12.日本政府は、アメリカの言いなりになって日本国民のタンス預金のあぶり出しにかかっている。だから、日本の金持ちたちは、自分の資産を守りたかったら実物資産=その代表はやはり金(きん)である= に、今からでもどんどん変えるべきである。
あるいは、安全な外国に持ち出すべきだ。capital flight(キャピタルフライト、資産避難)はすでに起きている。日本の富裕層は“金持ち難民”化して続々と国外に脱出しつつある。日本の国税庁や金融庁は、「金持ちが資産を外国に持ち出すのを絶対に阻止してやる」という、あからさまなまでに見苦しい態度に出ている。
13.黒田東彦自身は人格者であり、いい奴(やつ)なのだが、彼はもう日本国民の生活のことなど考えていられない。黒田であっても、国家体制と自分たち財務官僚が敷いてきた金融秩序を守ることで精一杯である。
実は、日本国債の新規の発行での「札割れ」がすでに起き始めていたのである。「札割れ」とは、財務省が新規に発行する国債をもう買うだけの力が、日本の民間銀行に無くなっていた。民間銀行はすでにアップアップの状態で日本国債を買っている。
それに更に買い余力を持たせる、というのが、今回の黒田ショックであり、これを「財政ファイナンスの意図はない」と黒田自身がシラを切った。財政ファイナンスというヘンなコトバは、日本政府(財務省)が自分の借金の穴埋めにをするためにこれほどの巨額の日銀資金の投入を決めた、ということだ。
そうではない、と黒田たちは居直る気だ。
黒田発表で、これから毎月日銀が7兆円の日本国債を直接買う(=引き受ける)ことに公然となった。「日銀の直接引き受けではありません。市場からの購入です」と公式にはまだ居直っている。しかし専門家だったら誰も信じない。
14.日本財務省は、毎月10兆円(1年間で120兆円だ)の新規の国家借金証書である国債を発行している。そのうちの7割である7兆円を日銀が直接引き受ける。
このことを恥も外聞もなく宣言したのだ。
前の白川日銀総裁(2月5日に抗議の辞任発表)でさえ、毎月4兆円を脅されながら、ずっと買っていた。
それをあと3兆円増やすというのだ。
それでも、これだけやってもデフレ不況から脱出して、インフレ経済(穏やかな物価上昇と好景気)にすることはできなかった。
だから黒田は、一か八かの、270兆円への一挙投入で、それを実現する、インフレ目標2%を達成してみせる、と世界に向かって宣言した。