父はヘビースモーカーだった。
一日に2箱半くらい吸っていただろうか。
出かけるときは、電車のホームで吸い、降りてからまた吸う。
飛行機が地獄だと言っていた。
家の壁紙はヤニで完全に色が変わり、たばこの匂いが染み付いている。
父と言えばたばこ、と言っても過言ではなかった。
そんな父もかつて一度だけ、一年間禁煙をしたことがあるそうだ。
もう30年ほど前のことだろうか。
一年間禁煙すれば、新しいカメラを買うという約束で始めたそうだが、
その間はイライラし放題、八つ当たりし放題で家の中は荒れていたらしい。
その際はちょうど一年目に約束どおりカメラを手にし、その瞬間からたばこを手にしたという過去があった。
父とたばこは切っても切れない縁で結ばれていると思っていた。
人の忠告や心配はものともしない頑固者。
なんとこのたび、増税にあたりその父が、禁煙を始めた。
続けることが苦手な父が、31日間かけてたばこから離れるように計算された31本のパイポを毎日取り替えた。
最後の31番目のパイポを数日間、惜しむように使い続け、ついに、たばこを手放した。
10日ほどたっただろうか、父の禁煙は続いている。
もしこのまま禁煙が続くとしたら・・・やはり、増税に感謝、だなぁ。。。
家族に病人がいてもたばこを吸い続けた父。
最近は私の妊娠中、また、孫の前、さらには咳き込む母のため換気扇の下に移動するようになった。
そんな父の変化を嬉しく思うのでした。