“死んだら生きれない”から始まる、生きるを寿ぐ物語。
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※こちらは2026年6月19日に発行したメルマガを加筆修正したものです。

 


 



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普段お世話になっている富士酢の飯尾醸造さんの記事を読んで、
堀河屋野村さんの三ツ星醤油をお取り寄せました。
 

三ツ星醤油。


ずっと昔に飯尾醸造さんの蔵におじゃましたときに
知ってから時折いただいてきました。

 

先日、Facebookの記事で
飯尾醸造の五代目さんは

「日本でいちばん尊い醤油」

と書かれていました。

 

富士酢をつくっている飯尾さんが、
醸造家としてそう書くお醤油って、
いったいどんな味なんだろう。


わたしは本当に一消費者でド素人なので
そこが気になっていただいておりましたが

飯尾さんでお取り扱いするものが
小さい小瓶だけになってしまって少し遠ざかっていたんです。


今回届いたお醤油を開けるときに、
ほんの少しこぼしてしまいました。


あ、もったいない。

そう思って、
指についた一滴をぺろっと舐めてみたんです。

そしたら。

しょっぱい、より先に、
甘さがふわっと口の中に広がりました。
 

あ、これだった♡
最初に驚いたの。


お砂糖の甘さではなくて、
発酵して、時間をかけて、
ちゃんと奥から出てくる甘さ。


思わず、にんまりしました。

お醤油を舐めて、
にんまりすることってあるんですね。


この一滴。
「あ、これは残ってほしい味だ」と思いました。



堀河屋野村さんは、和歌山で330年続くお醤油とお味噌の蔵。

そこでつくられる三ツ星醤油は、

和釜に薪を焚べて大豆を蒸し、
和釜に薪を焚べて小麦を炒り、
機械を使わずに手で麹をつくり、
木桶で長く発酵、熟成させ、
また和釜に薪を焚べて火入れする。


読んでいるだけで、
いまの時代に本当にそんな造り方が残っているのかと
びっくりするような製法です。

 

でも、残っているんです。

残っているけれど、
ぎりぎりでつながっている。


今、
堀河屋野村さんの店舗兼主屋が倒壊寸前で、
蔵がピンチだそうです。
 

私は、こういう話を聞いたときに、
ただ「大変そうだから応援しなきゃ」とは思えないこともあるので、やみくもに自分がおすすめするもののことを書かないこともあります。


でも今回、
こぼれた一滴を舐めてしまったことで

舐めた瞬間に、
これは説明より先に、心がわかるものだと思いました。


こういう味がなくなるというのは、
ただ商品がひとつ消えることではないんですよね。


煮物の味が変わる。

卵かけごはんの幸せが変わる。

お刺身につける一滴が変わる。

冷奴に落とす香りが変わる。


台所の中にある、
小さな豊かさがひとつ消えてしまう。


私は最近、暮らしの中で、
そういうことをよく感じています。


お出汁を飲みたくなること。

二種類のらっきょうを漬けること。

お魚をさばいて、ぐずぐずになっても食べること。

お花を植えること。


どれも大きな出来事ではないけれど、
暮らしをちゃんと自分のものに戻してくれるものだと実感しています。

お醤油も、きっとそういうもののひとつなんだと思います。

 

ただの調味料ではなくて、
日々の食卓を支えている、
見えにくい土台みたいなもの。


その土台を、
330年続けてきた人たちがいて、
いま、それを次につなげるための力が必要になっています。

 

飯尾醸造さんの記事にあった言葉を借りるなら、

手麹。
薪火。
木桶。
330年。
18代。
樽廻船。

 

こういう言葉が、
ただの昔話になってしまう前に。

いま、応援できる人が応援することで、
次の台所に残せる味があるのかもしれません。

 

ただ「かわいそうだから買ってください」ではなくて。

そうではなくて、
おいしいものを、おいしいと思った人が買う。

残ってほしい仕事に、お金を流す。

自分の食卓に迎えることで、
その仕事が続く方へ一票を入れる。

そういう応援ができたらいいなと思っています。


私はこれからも
この三ツ星醤油で卵かけごはんを食べたいです。

冷奴にもかけたい。

焼きおにぎりにもしたい。

お刺身にもつけたい。


想像しているだけで、
もう台所が、いや人生が少し楽しくなっています。

こぼれた一滴で、
守りたい味があることを知りました。


気になる方は、ぜひ見てみてください。

 

 

 

食べることは、
とても日常的な応援になる。

今日の台所から、
330年続いた味を、もう少し先へつなげられたらうれしいです。



 

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