“死んだら生きれない”から始まる、生きるを寿ぐ物語。
応援の循環チアフルエンサー・こうさかゆうあです。
Instagram・TikTokなどで
14年前の「波乱万丈劇場」をショート動画でご紹介しています。
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赤い糸には、意図がいる。
──40年前の十三駅。
通勤ラッシュ。
人の波に揉まれながら、私は、
ホームと電車の間に落ちそうになった。
そのとき、ぐいっと腕を引き上げてくれたのが、
押し屋のバイトの男の子。
かっこいいというより、
ただただ、テキパキしてた。
ドアを押さえ、車掌に手を上げるその動作が、
映画みたいで、気づいたら恋をしていた。
携帯なんてない時代。
どうしても話したくて、
帰りの電車で手紙を渡した。
そして数日後。
電話がかかってきた。
黄色いワンピースを着て会いに行った。
大学生で、一つ年上の彼。
何度か会って、お茶をした。
そこから距離感は変わらなかった。
好きなアイドルは「新田恵利」だって言ってた。
——あ、わたしのこと、好きじゃないんだな。
勝手にそう思った。
そのまま連絡は途絶えた。
数年後、母が言った。
「あの子、電話してきたよ。
“笑った目がかわいかった”って。
なんか、新田恵利に似てたなぁって。」
……似てへんわ。
赤い糸なんて、
靴下の裏についたゴミくずみたいになってたのに。
でも、ちょっとだけ胸がキュッとした。
あのときもし先に行く彼に、
「一緒に歩こう」って言えたら。
うしろから袖を引けたら。
——糸が赤くなるには、意図がいる。
結びたいと思わなければ、
運命の糸なんて、ただの細い線。
誰かが引いてくれるのを待ってるだけじゃ、
色づきもしない。
ロープどころか、まだ糸にもなってなかった頃の話。
それでも、たしかに胸のどこかに残っている。
……なんでこんなこと、今さら思い出すんやろな。
きっと、
「まだ間に合うこと」があるって、
心のどこかが教えてくれてるんやと思う。
そうだよ。
袖は、自分で引っ張ろう。
「待って」って、自分で言おう。
「いつか」はもうこないかもしれない。
今、なんだよ。
今やるんだよ。