STORK TALKS NY日本人不妊相談センターのChisaです。
今回は着床前スクリーニングについてお話したいと思います。
アメリカで体外受精を受ける際に
考えなければいけないのが
着床前スクリーニング(PGT-A)
を行うか行わないか。
日本でも
今年1月から
多くの方が
この着床前スクリーニングを
受けることが出来るようになりました。
このPGT-Aを
行うメリットは
移植あたりの妊娠率が高くなって、
また流産率が低くなる
ことです。
要するに、
PGT-Aを行った結果、
染色体の数が全て正常ですよ(Euploid)
とわかった受精卵が1つでもあれば、
その受精卵を移植することで
格段に
出産する可能性が高くなる
ということです。
これだけ聞くと
”PGT-A やった方がいいよね”
となります
が、しかし
今月発表された
アメリカの論文の1つに
こんなデータがありました。
これは
アメリカ生殖補助医療組織(SART)に
メンバー登録している
全米のクリニックの医師や培養室長に
”染色体の数が異常だった受精卵(Aneuploid)を
患者が移植したいと行った場合のルール”
についてアンケートをとった結果の1つです。
”More than 75% of respondents disagreed or strongly disagreed that embryos with monosomy 4, trisomy 15, trisomy 2, complex abnormalities, or trisomy 18 should be available to the patient, whereas more than 40% agreed or strongly agreed that embryos with monosomy X or trisomy 21 should be available to the patient.”
”アンケートに回答した医師や培養室長の75%以上が4番モノソミー , 15番トリソミー, 2番トリソミー, 18番トリソミー、複数箇所に異常が見られる胚を移植することに反対、また強く反対していたが、40%以上はモノソミー X、21番トリソミーを移植することに賛成していた”
ということです。
モノソミー Xはターナー症候群、
21番トリソミーはダウン症
になることを指しています。
4番モノソミー ,
15番トリソミー,
2番トリソミー,
18番トリソミー、
複数箇所に異常が見られる胚は
移植しても
妊娠まで至らないか、
初期流産になる可能性が高いのですが、
モノソミー Xと21番トリソミーは
ターナー症候群やダウン症となりながらも
立派に生きることができるので
これらの受精卵は
破棄すべきではない
という話です。
これってとても深い話だと思います。
これまで参加してきた学会で
、特にモザイク胚については
”モノソミー Xや21番トリソミーが関係するモザイク胚は移植すべきではない”
という風に言われてきました。
なぜなら、
ターナー症候群やダウン症を持った子供が産まれる
可能性がある
からです。
しかし、
今回発表されたデータでは
ターナー症候群やダウン症を持っても子供が産まれる可能性が高いから
その受精卵は保管しておくべきで、
患者が望むなら移植すべきだ
という意見です。
確かにそうですよね。
でもこれって、
PGT-Aを行ったからわかったことで、
もし行っていなかったら、
モノソミー Xや21番トリソミーの胚を
移植していたかもしれないし、
幸運にも他の胚で先に妊娠できたら
何の戸惑いもなく
破棄していたかもしれないですよね。
PGT-Aを行っていても
”異常胚です”とだけ伝えられていれば
何の躊躇もなく破棄していた
かもしれないですよね。
PGT-Aを行うことで、
受精卵の様々な情報が
移植される前に
わかることになります。
情報がわかることで
出産にいたる可能性が高い受精卵を
選択できるという
メリットがあります。
反対に
情報がわかることで
その後の受精卵の運命について
深く考えなければいけない場合もある
ことも忘れないで欲しいです。
また、
PGT-Aを行う際は
必ず
前もって
遺伝カウンセラーと
お話することを
お勧めします。
PGT-Aを行うことで
何がわかるのか、
どのくらい信憑性があるのか?
情報を
”知ることが出来る”
一方で
”知りすぎてしまう”
一面もあることを
忘れないでください。
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