今年の1月、夫の同僚のご主人が癌のステージ4であることが分かった。
検査の結果、余命は最長で半年、放射線治療をすれば、それよりは長くなるかも知れないが…という診断であったが、癌が発見された2か月後に亡くなられた。

3人の子供さんは独立しており、一人は中東、一人はカナダ、一人はオーストラリアに住んでいる。
余命半年なら時間は少しはあると思い、それぞれの仕事を数週間で段取りしてからイギリスに戻る予定にしていたが、癌と分かってから2ヶ月だったから、会えたが共に思い出を作ることも出来なかったと、後悔が強く残った。

昨夜、会社のクリスマスパーティーがあり、夫の同僚はパーティーの最中も何度も悲しんだ。
夫のいなくなった初めてのクリスマスを、どうにも受け入れられないと語った。
イギリス人はパーティーの後、パブへと流れる。
が、同僚はパブには行く気分ではないと言った。
夫はその白髪の小さな体で何とか毎日を生き、夫を失った最初のクリスマスの辛さで苦しむ同僚と亡き母親が重なったのだと言う。
お酒を飲む予定はなく車で行った夫が、同僚を家まで送って行った。

帰りの車で、同僚は夫に「あなたのお母さんが住んでいた家を買って、そこに住むって、どんな感じ?」かと聞いた。
夫は「人に売るには勿体ないなと思ったから買った…というのが僕の本音やけど、妻はお母さんと住んでるみたいで寂しくないって言います。本当に時々、大きな声で聞いてほしい愚痴などを誰に向かうでもなく言う時もあるし、僕もそれを見て、今お母さん笑ってるやろな…とか思う事がある。人が聞いたら変やと思うだろうけど、お母さんがいるから妻は定期的にきっちり拭き掃除からシーツ交換、毎日のトイレ掃除をやらなアカンと思てまう…て言います」と答えた。

同僚は「私ね、その話聞いて自分の子供にも夫と私が住んでいた今の家に、私が死んだら住め!て頼んだの。なんて素敵な話だろう、本当にそうかもな、亡くなった夫も住んでるのかもな…と思うと、寂しくないときがある。辛いのは同じだけど、夫がいるかもしれないから、ちゃんとご飯作って食べようとかね…」と言った。
しかし、子供さんは「絶対嫌」だと言ったらしい。

多分、私が日本人だから、何となく亡くなった身内はご先祖様と呼び、その人達に毎朝の挨拶をする…みたいな習慣で生きてきたからそう思うのだと思うが、今日もキッチンのタイル、サンルームのタイル、3ヶ所のトイレと風呂場、シャワールームのモップがけをやって、とりあえず「これで今日の掃除は勘弁を…」と亡き義母に問うてみる。

キチガイ掃除ババアと、義母が生きてきた頃は毒づいていたが、お陰で掃除をやらなアカンみたいな習慣になったのは義母のおかげ。
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