週末、私は今週で正式退職するマネージャーと話した。
これが一緒に働く最後の日となる。
マネージャーは私に「打診来たやろ?」と聞いた。
「で、どうする?」と聞かれた。
答えはまとまっていないが、私には今の職場に残りたい理由、残らねばならない理由が一つあった。
それは入社して1年少しを経過したスタッフの事である。

私が初めからずっと教えてきた子である。
23歳ながら努力家で物覚えが早く、素直で、とにかく人の頑張りをよく見抜いている子である。
私だけが職場のトイレを掃除している事に唯一気がついたイギリス人スタッフである。
以後、自らトイレを掃除してくれている。
最初から気が合うと分かったし、今も慕ってくれている。
この子を置いて私は行けない、それが一番の理由である。

私はそれをマネージャーに話した。
マネージャーは笑いながら「そう言うと分かってたから、新しく入る会社の人事にそれを話したら、役職ありの待遇であの子も入れる約束もらった」と言う。
私は「それじゃ、あの子にそれは話した?」と聞くと、「勿論。あなたを引き抜く以上、あの子の行く末を引き受けないと、あなたは来ないでしょ?」と言った。
マネージャーは「あの子もあなたと全く同じ事を私に言ってた。あの人(私)がここに残るなら、私は残ると…恩があるから」と言ったそう。

私はともかく、あの子にはチャンスだと思った。
正社員、役職、今より高い年俸。
私は「あんたは、マネージャーに付いていき!チャンスやで!」とタバコを吸いながら休憩していたその子に後ろから言った。
固まったまま振り向いた。
私をじっと見据える目、数秒無言が続いた。

私は「私が行くと行ったら、チャンス取る?」と聞いた。
不安げな表情で頷いた。
「前向きに?それとも私が命令したから?」と聞いた。
彼女は笑って「前向きに」と言った。

私は「私は面談は受けるつもり。そこで向こうが私を気に入らないかもしれない、私が向こうを気に入らないかもしれない、だからわからない。けど、あなたは行くべき」だと伝えた。
彼女は「不安で…それに本当に感謝されるかわからない…」と言った。
複雑な家庭環境、高校卒業まで続いた陰湿ないじめにより、自分の魅力はまるでない、必要とされていないと生きてきた。
十分な能力がありながら、母親と兄弟の面倒を見る為、どんな仕事もやってきた。
後は自信だけである。

私に恩があると感じて行けない、そんなアホな!
チャンスは取るべき!と言った私に、コメントで皆さんから同じ事を言われて、思わず笑ってしまった。
人間、自分の事は何も見えていないのかもしれない。
人気ブログランキングへ