それを邪魔するように愛猫ルイが、作業台周辺で遊びまわる。
ガスボンベや、その他の薬品が置いてある一区画は、気をつけて彼が行かないようにしていたのだが、
遊んでいるピンポン球や、それと同じくらいの大きさのボールたちが、
なぜかその立ち入り禁止場所の隙間に溜まっていく。
それに気がついてからは、球がなくなると禁止地区のあたりから動かなくなったルイ。
幾度となくそこで遊ぶため
彫金作業が滞り、主人の書斎にルイを入れて、扉をぴしゃりと閉める。
普段ほとんどなかないルイが、か細い声でないている。
我慢ならず、扉を開けて、
諭すように
「ここはダメ!痛い痛いになるから、危ないから!」
と語りかける。
しかし、彼の頭はもうその場所への執着でいっぱいのようで、
すぐさま襲撃となる。
犬のように理解してくれることに期待して、この言い聞かせ、
ダメな場合、再度閉じ込める、
そして解放。
という工程を数回繰り返す。
私の脳みそも、ほとんど猫並みである。
やっぱり猫は猫で、犬にはなれない。
変わらぬ状況に困った私は、
まずはその隙間を埋めるために箱類を移動させる。
これで隙間は埋まった!
と安心していると、ピンポン球は入らなくなったけれど、
あれこれボックス類で蓋をしたため、作業台と立ち入り禁止場所の空間が広がり、そのボックスに乗って遊びだす始末。
ではガスボンベごとダンボールで覆ってしまおうと、
再び工作作業。
しかしこれまた空間が良い感じにできてしまい、そこに入り込む。
最後は鷲掴みで、引きづり出してお尻をペンペンする始末。
問題解決は何もできず、
終わらせるべき作業も全く進まず、
そして最後は暴力行為に至った自分に辟易してしまった。
交戦体制だと相手もかかってくる。
動物ならば尚更である。
そこもわきまえて、対策を練らなくては…
自己嫌悪に陥った私は、その晩、ルイに向かって
「ごめんね。」
を連呼していた。
そして密かに思う。
遠くない将来、私の作業台は、地下倉庫に設置されているかもしれない。
既に、研磨機などの大きな機械や線を引くための道具などは地下に置いてある。
もしも、そういう日が来るとすれば、
やはりそれは必然なのかもしれないと、
地下の倉庫が広く、機能的な工房となっている様子を思い描く。
それも、中々悪くないかもしれない。
今日も最後まで読んで下さり、ありがとうございました。



