最近の長男は比較的落ち着いています。


運動会が終わり、次のイベントは校外学習。その事前学習で買い物の練習をしているそうです。どうやら校外学習本番ではクラスみんなでバスに乗って100均に行き、好きなものを一つだけ選んで購入するらしい。楽しそう。

お店の写真や動画を見たり、教室を模擬店にしてシミュレーションしてみたり、お財布からお金を出して支払ったり、レシートを受け取ったり、品物をエコバッグに入れたり……そんな当たり前のように思えることも段階を踏んで丁寧に教えていただいています。


まだ未就学児の頃は買い物の概念が理解できず、品物を持って勝手に外に出ていこうとしたり、陳列してある食品パックを破ってしまったり、キャベツをむしり取ってしまったりといろんなやらかしがありました。もちろん全部お買い上げですが、シャインマスカットをやられた時はけっこう手痛かった……本人はとても喜んで食べていましたが。

そんな長男も少しずつ理解が進んでいるようで、自分が購入するものしか触らなくなったし(万が一があるのでお店ではつないだ手を絶対に離せませんが)、ちゃんと商品をカゴに入れてレジまでカートを押すようになりました。ですが、相変わらず待つことが難しいのが課題です。よく慣れたスーパーで10分くらいが限界かな。買い物は楽しんだりゆっくりするものではなく、欲しいものを手に入れるための手段でしかないので、その工程に時間がかかるとイライラしてしまうということなのかなと勝手に思ってます。こちらのペースに合わせられないので、基本的に長男を連れて買い物には行かないようにしています。

ちなみに本を叩く常同行動が激しいので、書店やコンビニの雑誌コーナーには絶対に立ち寄れません。売り物をだめにしてしまうから。


学校で買い物に行くとなるとまた雰囲気が違うので、長男がどのように振る舞うのか興味があります。

『文具コーナーの塗り絵やノートに興味があるみたいです』と連絡帳に書いてありましたが、当日売り物を開いてバンバン叩くことを我慢できるのか、心配……そして他の子やお客さんもいるのでおそらく待つシーンもあるかと思います。でもきっとこのような体験を通して少しずつ他者に合わせた生活ができるように訓練になるかな、なんて思っています。


教室が模擬店になった時は、入った瞬間に大号泣してしまったそうです。先生が上手にクールダウンさせてくれて、手順を見せて仕切り直すとちゃんとできたとのこと。原因は不明ですが、手順が分からなかったり状況がいつもと違うとパニックになってしまうことがあるので、理由はそのあたりかなと思っています。

日によって品物を陳列してある位置を変えているようで、そうすると見つけられなくなるみたいですが、怒ることなく先生と一緒に頑張って欲しいものを探しているそうです。いろんな状況に適応する力も身に付くかな?



その、模擬店の買い物練習で大号泣したと連絡帳に書かれていた日のこと。

長男をデイに送っていったあと、次男と一緒に児童館に行きました。児童館では学校が終わった小学生が来ていて、ちょうどその中に長男の同級生(つまり地域の小学校の二年生の子)たちがいました。園で長男と同じクラスだったその子たちは皆とても大きくてしっかりしていて、児童館中に人形を隠して見つけ出すというゲームを考えついてルールを決めて遊んでいました。


長男がもしあの輪の中にいたら。

長男があの子たちみたいに普通に話せて、普通に小学校に行けていたら──そうしたら、もっと幸せだったのかな。


私の心の中に、そんな思いが唐突にあらわれました。こんなふうに考えることなんて、最近なかったのに。でも、園で同じ時間を過ごした子たちはもう既に友だち同士で宿題やって遊んでいて、そこには親も見守る大人もいなくて。かたや長男は授業中に理由も分からないまま突然泣き出してしまうようなこともあって、常に親か先生かデイのスタッフさんか……必ず誰か大人がそばにいてやらないといけなくて。


長男は可愛いけど。

園の頃を思うと落ち着いたけれど。

でも、私たち家族もあちら側だったら、どんなに良かっただろう。


『障害があっても幸せに生きられる』なんて言葉では片付けられない気持ちがそこにありました。だって、日々の現実がそこにあるから。

特に知的障害なんて、ない方がいいに決まっている。

買い物の練習をしなくても、スムーズにできるようになる子の方が生きやすいに決まってる。



きっと、その思いを捨て去るのは難しい。だから時々、こうしてエアポケットに落ちるんでしょう。

でも長男はこの社会で生きていかないといけないのだから、今やっている買い物の練習みたいに、社会生活を送れるようにするための勉強をしていかないといけない。少しでも生きやすくなるためにね。


果たして、当日何を買ってくるのかな。