『神から与えられた二つの才能』N・Sさん・・・。 | fadoおじさんのblog~明日の君に~

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  よく語り継がれている話を一つ・・・。よく聞かれる話なので知っている方もたくさんおられることと思う。ジャック・ガウディーと言う伝説のウイスキーのブレンダーがいる。

 

 ある日、あるシングルモルトを入れたグラスにその伝説的な鼻を突っ込んで、眉をひそめたことがある。今まで嗅いだことのないアロマが混じっている。ウイスキーに草の香りは珍しくないが、この香りは少し変だという。

 ジャックは再びグラスのウイスキー《プルトニー蒸留所》の香りを嗅ぎ、そして、光にかざした。その繊細なウイスキーは明るい黄金色に輝き、ほとんど緑に近い色彩を帯びていた。このこと自体に問題はない。それでも、どこか違う。しかも、ジャックはその正体についてある確信をもっていた。

 

 ジャックは電話を取って、社長のトム・スコットに、このことを報告した。トムもジャック同様その蒸留所の品質管理がいかに厳格かをよく知っている。

 『ジャック、《プルトニー》に野の花が入り込むことなんて、あり得ないことだ。』『悪いが、それがあり得るんだ』とジャックは言い、スコットランドではもはや忘れかけられている、ある植物の名を告げた。

 

 熱烈な園芸ファンのトムは笑いとばした。『ウイスキーに花の香りは珍しくないが、いくらなんでも“サクラソウ”はあり得ない』。その花は希少種で、目にしなくなって久しい。まして、それがウイスキーの中に混じることなどあり得ない。

 ジャックはスコットランド随一のブレンダー、そしてウイスキー業界の長老として、几帳面な彼は、この謎を未解決のまま放置できなかった。ジャックの頭の中には、何千というファイルボックスが並んだ記憶の貯蔵庫がある。各ボックスには、さまざまな香りの名前が書き込んである。

 

 ただちに調査チームが、蒸留所の周りを調べたがサクラソウは発見できなかった。そして、調査チームは、プルトニー蒸留所の水源を調べることにした。彼らは遂に水源(ヘンブリッグス湖)から蒸留所までの水路で、その珍しいサクラソウが群生しているのを発見した・・・。【Ballantine’s Storyより】

 

 ウイスキーは名だたる銘蒸留所の原酒を数十種類ブレンドし、心地よい香りと味のハーモニーに仕上げることから、芸術品として最高のオーケストラに例えられます。そして、その芸術品に仕上げる人を、マスター・ブレンダーと言います。ジャック・ガウディーは銘蒸留所バランタインの3代目のマスター・ブレンダーとして数々の逸話とともに語り継がれる伝説の天才ブレンダーといわれる人物です。何千種類ものウイスキー原酒の香りを記憶し、飲料水の塩素含有量を100万分の1の単位で嗅ぎ分けるといいます。

 

 

 『私は、匂いに関する仕事をやりたいと思っています』。と、高校1年生になったN・Sさんは、私の『将来どんなことやりたいの?』という質問に答えてくれた。その時、私は、N・Sさんが、香りを嗅ぎ分ける非凡な才能を持っていることを、初めて知ったのである。

 『匂いに関する仕事と言っても、香水の香りを開発する人か、ウイスキーのブレンダーぐらいしか思いつかないなあ~』と私は、微笑みながら、彼女に言った。

 

 N・Sさんが、私の教室を訪れたのは、彼女が小学校4年生の夏休みのことである。私の塾に入会を決めたものの、彼女は、極端な恥ずかしがり屋でおとなしく、2学期に入り、お母さんと一緒に私の塾を訪れた時、『入会したいの?』と私が聞くと、お母さんの後ろから顔だけを出して、頭を『こっくり』と下げただけである。

 人生とは不思議なもので、そんな彼女が、小学生の3年間、中学生の3年間、高校生で3年間、合計で9年間も私の塾にいるなんて、全く想像することなどできなかった。

 

 どんな話でも、すべてお母さん経由で、私に伝わってくる。『今度、合唱部に入部したので、塾に来る時間が遅れます』とか『恥ずかしくて質問が出来ないので、先生のほうから「分からないところはないか?」と聞いてください』・・・などなど。

 

 しかし入会してから1年ほど経過した時から、自発的とまでは言えないが、勉強の事や学校の事、部活のことなど頻繁に話せるようになっていった。

 私がN・Sさんと勉強以外で一番話したことは、音楽の事であった。彼女は中学校、高校と6年間、合唱部に所属していた。それも貴重な低めの『アルト』の美声を持っていた。また、彼女は88あるピアノの鍵盤をたたくと、90%程度は音を言い当てるという『絶対音感』という特殊な才能も持っていた。

 私は合唱曲が好きなので、授業が終わった後など、合唱の話で盛り上がったことも度々あった。また私は、彼女が高校の時に行われた、合唱部の発表会に、2回ほど花束を贈ったこともあった。

 

 

 彼女は、大学に行く目的を、次のように熱く、私に語ってくれた。今、社会は、『いじめ・パワハラ・あおり運転・DV』などなど、『他人の嫌がることを平気でできる人が、大勢いる。これら精神的に荒廃した社会と、病んだ人達の心の手助けをしたい』。そして『私の目指す大学には、「自分の特性を生かし、匂いにより、精神の安定をはかり、荒廃した人々の心を救おうと、研究を行っている、有名な教授がいる。」私は、そこで学びたい』。と夢を語ってくれた。彼女が目指したのは、そのような研究が出来る、北海道の地方都市にある工業系の国立大学である。私は、彼女の話を聞き、小学生に時、お母さんの後ろに隠れて、恥ずかしそうにしていたN・Sさんの成長を感じ、胸がいっぱいになった。 

 

 N・Sさんは、高校から一般推薦を受け、その大学で面接を受けることになった。面接では、彼女が持っている非凡な才能である、匂いのことを熱く語り、面接官と白熱した話をしたようである。結果は、当然のように『合格』した。

 今、彼女は大学に行って、しっかりと研究が出来るように、合格が決まったのにも拘らず、毎日、私の教室に勉強に来ている。彼女は大学に行く意味と目的を、はっきりと理解している。

 

 彼女が、神から、与えられた2つの才能『非凡な匂いの才能』と『絶対音感』。今、社会は、様々な場面で、精神を病んだ人たちの起こす『目を覆いたくなるような』問題が、毎日のようにメディアを賑わしている。地位のある人もそうでない人も・・・。

 

 N・Sさん、あなたは『匂い』の研究により、しっかりと社会に貢献できる「志」の高い人材になるよう、私は期待していますよ。

 

 

 Blueさんのために『小さな空』作詞・作曲 武満 徹  歌 東京混声合唱団 指揮 岩城浩之

 You tube https://www.youtube.com/watch?v=cCVxz6mKod8

 

 1     青空みたら 綿のような雲が

    悲しみをのせて 飛んでいった

    いたずらが過ぎて 叱られて泣いた

    こどもの頃を 憶いだした

 

 2  夕空みたら 協会の窓の

    ステンドグラスが 真っ赤に燃えてた

    いたずらが過ぎて 叱られて泣いた

    こどもの頃を 憶いだした

 

 3  夜空みたら 小さな星が

    涙のように 光っていた

    いたずらが過ぎて 叱られて泣いた

    こどもの頃を 憶いだした

 

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