そこにある壁 | 大きな独り言

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妻、母、女、人間としての記録と人間観察日記 in アメリカ


1ヶ月半ほど前、夫が同じ街に住む
サラという白人女性から
来年の市長選挙に出るので
そのキャンペーンを
手伝ってほしいと打診された。


夫の本職は会社員だが、公的機関の
役員をしている関係で
こういった打診をされることがある。
まだ引き受けるとは言っていないが
何回かミーティングしたようだ。


白人のサラがこの街の
市長選で勝つには
黒人票が必須となる。
そこで黒人でありながら
【白人とも上手くやれる黒人】である夫に
助人として白羽の矢が立ったのである。


黒人でありながら社会的に
成功している(特にコーポレートアメリカで)
人間は、ある程度【白人化】されている。


例えば夫の場合は、白人の前で話す英語と
黒人(特に家族)の前で話す英語は
違う言語くらいの差がある。

『ありのまま』で白人のコーポレート環境で
受け入れられることはあり得ない。
白人の友達の前でも、黒人の英語は使わない。


CNNのダン・レモンとか
良い例だと思う。




こういう【柔軟性あり】タイプの黒人と
『友達である』ことをアピールして
だから自分は人種差別主義者ではないという
非黒人がいる。


彼らは確かに人種差別主義的ではない、
善良な感じのする人々で、
多くはリベラル寄りである。
BLMをサポートする非黒人の中にも
こういうタイプは多いはずだ。


サラもまさにそんな感じ。
そんな感じなのだが、
世の中がこんな事になって
【自分の立ち位置】を明確に示すことが
求められている今
今までは気が付かずにすんでいた
白人と黒人の間にある『壁』の存在を
意識せずにはいられない
そんな出来事があったので
書いてみようと思う。


遡ること2週間前。
隣人マイクが【過去記事参照】
スキャンダルな情報を掴んできた。


私達の住むリベラルな街の警察署長が
かなり酷い
人種差別発言をしていて
(今の時代確実にニュースになるレベル。
Nワード有り)
その証拠が全部揃った
報告書があるというのだ。


慎重に動かなくてはならないので
この話は街の主要人物
数人だけに知らせていて
現在進行形でどうするべきかを
話しているらしい。


先週末、この事を何も知らない
サラに会った時に、
偶然にも彼女がその警察署長の
話を振ってきたそうだ。


なんでもサラは最近
その警察署長を連れて
人種差別の嫌がらせ被害を
受けているという
住人の家に行き、話を聞いた上で
加害者の家へ行き、警察署長から直々に
厳重注意してもらったらしい。

サラは良かれと思って
やった事なわけで、
【White privilegeを使って
黒人と一緒に差別と戦いたい】
からこその行動である。


でも、その話を聞いたあとで
サラに報告書を見せたら
絶句していて殆どパニックに
なっていたらしい。


つまり、この警察署長は
白人に対しては普通に
善人なんだろう。
白人にとって、自分の知人友人が
差別主義者だと関知することは
特殊な状況にならないかぎり、
ほぼ不可能に近い。

白人が【人種差別なんて限られた少人数にしかないレアケース。】とおめでたく考えているのは、これが理由である。


分かりやすい人種差別もあるが
【肌で感じる】人種差別は多い。
でも、それを↑のような白人に訴えたとして
【考えすぎ】【悪意はなかったと思う】
という反応が返ってくるとすれば
白人と黒人の間に存在する壁を
意識せざるをえない。


【差別主義者ではない】と
【アンチ差別】の差は、
その壁を取り壊せるかどうか、
かもしれない。