彼を産んだ母親はクラック中毒であり売春婦でした(黒人の貧困地区ではよくある話)。だから子育てはできなかった。
ずっとフォスター家庭を転々としながら虐待されて育って、彼が19歳の時に私の夫が後見人を引き受けたことから、私には《成り行き》で、年齢のさほど変わらない息子ができたのでした。
↓黒人の貧困地区はこんな感じです↓
彼は高校卒業資格をとって、働きながらコミュニティーカレッジに行き、四年制大学に編入して、去年30歳になってやっと卒業したのです。
「親知らず」も抜いたし、かわいい韓国人の彼女もできて、保険だって自分で払っているし、貯金もしている。彼のような生い立ちの黒人青年がここまで来るには、努力だけじゃなくて、「運」もかなり影響するように思います。《貧困地区出身の黒人》という穴から這い上がるのは、色々と幸運な条件が重なったとしても、とてもとても難しいのです。
卒業後は日本へ。JETで中学校の先生として鹿児島で働いています。日本で人種差別されてないか聞いてみました。
日本では差別感じたことないよ。実際、自分の人種が有利と感じることもある。
誤解を恐れず言うと、日本にだって黒人を差別する人はいると思います。いると思いますが、彼が母国アメリカで生まれてから毎日、差別されてきたことに比べれば、日本での差別なんて無いに等しいということでしょう。
アメリカの貧困地区というところは、目を背けたくなるようなことが沢山ある場所です。それは黒人が、凶暴だからでも怠け者だからでもありません。
Institutional Racismがあるからです。これは「負の連鎖か生まれない」深い穴がある根本的な原因です。格差の直接的な原因。
黒人がアメリカで公民権を得たのは1968年ですが、そこから白人みたいな普通の生活ができるわけはなく、以下のような問題に苦しめられました。
①住宅ローンを組ませてもらえないから、家を購入できなかった問題。黒人の住む地区は《レッドゾーン》というように暗黙の了解で住み分けされており、このゾーンの家にはローンがおりなかったのです。白人が60年代に数万ドルで購入した家は、今頃その10倍の価格になって、親から子へ、孫へと受け継がれていくでしょう。黒人には、そんなことは出来なかったのです。
②教育格差問題。学校は住民の税金によってまかなわれています。国や州からの援助は出ますが、家を所有する人から取るプロパティタックスやビジネスのセールスタックスで、学校を運営しているのです。当然、家もボロボロでビジネスももてない黒人地区の学校はお金がありません。優秀な先生も雇えないし、教材も十分でないし課外アクティビティもありません。もともと優れた頭脳の黒人の生徒がいたとしても、白人のようにギフテッドに行けるわけでも、飛び級できるわけでもありません。予算がないのです。大学に行くという選択がない黒人はとても多いです。
③裁判と求刑の不公平。教育のチャンスもなく、常に貧困状態が続いているために犯罪率が高くなります。白人と黒人では同じ犯罪を犯しても求刑には差があります。全く同じ犯罪でも、平均で20%長い刑期を求刑されるのです。黒人=ドラッグみたいに印象が操作されていますが黒人と白人のドラッグ使用率は同じです。ただ黒人の方が有罪になって懲役食らう率が高いのです。社会に危険を与えない軽罪でも、長期の懲役をされ若い黒人青年は大量投獄されるのため、‘’男性不在‘’の家庭が多くなり、少年はギャングに入りまともな道へ行くことが難しくなります。
④選挙権の剥奪。こうして長期で大量投獄されてしまった黒人には選挙権を剥奪されてしまいます。黒人の投票率が低いのにはこのような事情もあるのです。
それでも、世間は黒人に厳しい目を向けます。
黒人はもともと凶暴で知能が低く犯罪を働くと言っては責め、黒人が権利を主張したり、白人の生徒を差し置いて奨学金を貰えば《白人のキッズに不公平じゃないか》と不満を漏らし、無残に警察に殺されて失った黒人の命の正義のために立ち上がったら、そこに暴力があろうと無かろうと制圧される。
70%の白人は、差別は個人の問題であり法や体制は関係ないと言います。
そんな風に言われて責められても
黒人には、理解ができないのです。
全然違う景色を見ているのですから。
今日、トランプがアメリカの失業率が低下したことを伝えながら自慢げに言いました。
「GeorgeFloydも、素晴らしい出来事がこの国に起こっていることを上から見ているだろうね」
えっ???
フェイクニュースではありません。
これが現実なのです。





