「成功ではなく、失敗を定義せよ」 「“ケースバイケース”を崩す質問」 | 「今日は最高な一日にするぞ。」と唱えて一日を始めてみませんか?

「今日は最高な一日にするぞ。」と唱えて一日を始めてみませんか?

何か面白い事ありますか?
無いのなら面白くしてしまえー!

午後の会議室

 

営業の男は自信に満ちた口調で語っていた

「今回の施策ですが、御社の売上を大きく伸ばす可能性があります。

 実際に、半年で20%以上の成長を達成した事例もございます」

「20%か……それは大きいな」

「今回ご提案するのは、新規顧客層を取り込める画期的な施策です。

 成功事例も多数あり、御社にも大きな利益をもたらすと確信しております」

隣に座る上司は興味深そうにうなずき椅子からわずかに身を乗り出している

同い年だが役職は上、普段は冷静な人間だがこうした“可能性の話”にはやや弱い

「初期投資はどれくらいだ?」

「こちらのプランですと——」

具体的な数字が示されるたびに上司の表情は明るくなる

意思決定に傾きかけている空気だった

はそこで口を開いた「その20%、どうやって算出していますか?」

営業は一瞬こちらを見る

「類似事例をもとにした期待値です」

“類似”とは、何が一致しているんですか?」

上司が少しだけこちらを見るが関心はまだ営業に向いている

営業は滑らかに答える

「市場環境や顧客属性などを総合的に——」

「総合的、では判断できません。条件を分解してください」

空気がわずかに変わる

営業は続ける「市場環境が大きく変わらなければ、十分に実現可能です」

上司がうなずく「なるほど、それなら現実的だな」

は間を置かずに差し込む「その“市場環境”が変わる要因は何ですか?」

営業の視線が一瞬泳ぐ「競合や景気動向などが——」

「競合が同様の施策を打った場合は?」

「それはケースバイケースで——」

「その言葉を使わずに説明してください」

上司の表情がここで初めて止まった営業は言葉を探す

「……影響はありますが、状況によって——」

上司の方を見て、静かに言った

「現時点では、“うまくいく前提の話”しかありません」

上司の眉がわずかに動く

「失敗する条件が定義されていない状態で投資することになります」

営業が慌てて補足する

「リスクも当然考慮しておりまして——」

「では、失敗要因を三つ、優先順位付きでお願いします」

「初期投資回収の遅れ、顧客獲得単価の上昇、競合の参入です」

「それぞれの許容ラインは?」

 

沈黙...

 

上司がゆっくりと背もたれに体を預けたさっきまでの

前のめりの姿勢が明らかに崩れている

は静かに畳みかける

「どこまで悪化したら撤退するのかが決まっていない。つまり、“失敗の定義”がないということです」

営業は何も言えない

は最後に上司に向けて言った

「成功するかどうかは誰にも分かりません。

 ただ、“どこで止めるか”が決まっていない投資はコントロールできません」

完全な静寂

数秒後上司が口を開いた「……今回は見送ろう」

はっきりとした声だった

営業の肩がわずかに落ちる「再度、精査して出直します」

ドアが閉まる

上司は深く息を吐いた

「正直、かなり乗りかけてた」

は短く答える

「数字は、現実に見えますから」

上司は苦笑した

「危ないところだったな」

窓の外では、いつも通りの街が動いている

だがこの部屋ではひとつの判断が引き戻された

“可能性”ではなく“制御できるかどうか”へと

 

単なる”文句言い”のでも役に立ててよかった

 

「成功確率」ではなく「失敗条件」で判断せよ

人は魅力的な数字や成功事例に引き寄せられますがそれだけでは意思決定として不十分です

重要なのは、どんな条件で失敗とみなすのかどこで撤退するのかが定義されているかどうかです
成功は予測できなくても、失敗のラインは設計できる。この視点が、判断の精度を大きく左右します

(例)「売上が伸びる可能性」ではなく、「顧客獲得単価が○円を超えたら撤退」と決める

 

「ケースバイケース」は思考停止のサイン

「状況による」「ケースバイケース」という言葉は一見柔軟に見えて

実は責任や前提を曖昧にする言葉です意思決定の場ではそれを分解し、条件・要因・前提として

言語化できるかが重要になります。説明できないリスクは、管理できないリスクです