前回分
岳生は九尾に選択を迫られていた。
……自分を差し出すか、諦めるか……?
「それって……どちらかしか選べないんですか?」
他の選択はない、どちらかだけだ。
九尾は迫った。
「諦めるっていうのはどういうことですか?」
岳生は尋ねる。
それは諦めるを選択したら判ることだ……
「いや……その……」
何を迷っている。
「いや……」
差し出すのが、嫌なら諦めることを選択すればいいことだ、なのに、何を迷っている。
「……聞いてもいいですか? あの……」
お前の考えていることは大方判っている、差し出すとどうなるか知りたいのだろう?
「その……死ぬんですか?」
岳生は思いきって尋ねる。
死にはしない、わたしの1本目と2本目の先の尻尾を返して貰うだけだ!
「か、返して貰うって!?」
言った通りのままだ。
九尾がそう言うと、岳生の両目から鼻、口、両耳、それから両手首、足首と順番に真っ黒な空洞になっていく。
岳生はもうしゃべれないし、何も見えないし鼻も何も感じないし、耳も聞こえなくなる!
そして、手の先と足の先に何も感じなくなりバターンと倒れてしまう。
わたしの声は耳では聞こえないだろうが、お前の脳に直接話しかけている。
これで判っただろう? わたしの尻尾を返して貰うとはそういうことだ。
仕方ないだろう? わたしの尻尾はブラック飴となり、お前の体内と一体化してしまったのだからな。
こうする他はない。
岳生は思わず、
……最初から、強行で取り戻すつもりだったんだろう? まだオレは何も選択してないのに勝手なことを!
神様のくせにとんでもないことするな!
心の中で九尾を責めた。
すると、
今更だがな……お前らのいう神というのは、ただの気まぐれに過ぎない。
あの寿老人もそうだ、酒さえあればお前がどうなろうと知ったことではないんだよ。
歴史もそうだろう? カインとアベル、神がどちらか一方の供物だけを持ち去った為に、人間初の殺人が起きた。
あれだって神の気まぐれだ。
それからジャンヌダルクもだ、1回だけの啓示をした後はジャンヌがどんなに酷い目にあっても神は助けに行かなかった。
どれもこれも神の気まぐれだ。
寿老人はもうここには来ないだろう、残念だな。
結局、わたしに全てをゆだねたわけだ。
……そ、そんな……
そしてわたしの11目の部分は、お前の心を貰うことにする。
途端、岳生は何も感じなくなってしまった。
なので九尾の声すらもとうとう聞こえなくなる。
残ったのは、無限の闇だけ……
続き
はじめから



