乳がんと牛乳ー2 | トリファラスキーのブログ

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学習塾を30年間経営。2009年5月にあろう事かパニック障害になり、うつ病も併発。日々肉体の衰えと戦いながら、アンチエイジング情報、健康情報等を勉強している。ブログを通じて、体験のまとめと、日々の思いやいろいろな情報発信、共有をして行けたらなーっと思っています。

▼東洋に学ぶ

「中華人民共和国におけるがん死亡率図譜」を眺めて最初にびつくりしたのは中国全域を通じて乳がんが驚くほど少ないということであった。中国全体の乳がん死亡率は1万人にたった1人だったのである。この死亡率は多くの西欧諸国における10人に1人という数字にくらべてきわめて低いものであった。しかし、異なる国のデータを単純にくらべることができないのは当然である。オックスフォード大学教授のリチャード・ドール卿(喫煙と肺がんの関係を初めて確認した研究者)が指摘するように、まず年齢構成を考慮しなくてはならない。たとえば、乳がんや前立腺がんのように主として中年から高年にかけて多いがんなら、高齢者が多い欧米諸国にくらべて若年者が多い中国で、死亡率が低くなるのは当然である。そのため、疫学者は年齢構成が異なる国々の比較ができるように年齢調整死亡率を計算している。しかし、この年齢調整死亡率を用いても、乳がんと前立腺がんの死亡率は、イングランド、ウェールズ、スコットランドにくらべて、中国や日本では非常に低い。
死亡率ではなく発生率をみると、中国の啓東地方の女性は10万人のうち11人しか乳がんにならない(前立腺がんの発生率はさらに低く10万人中わずか0・5人である!)。しかし中国でも、都会(上海と天津)の乳がん発生率は地方(啓東)の2倍となる。
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私は最初、都会に乳がんが多いのは都市部の深刻な環境汚染によるものではないかと考えていた。しかし、それは間違いであった。
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都市化がさらに進んでいる香港では、乳がんの発生率が3倍(10万人中34人)に跳ね上がる。広島と長崎の発生率も香港と同列である。この日本の両都市は、都市化にともなう環境汚染に加えて、原爆の被害を受けている。広島と長崎には放射線の影響もあるのではないかと考える人もいるだろう。しかし、私の統計資料の見方は違う。私たちが今調べている資料は単なる実験結果ではない。実際にこの世で人間に起こったことを問題にしているのだ。これらの資料を注意深く検討してその意味するところをくみとるのが科学者の仕事である。これらの資料を検討して私が到達した結論はみなさんに衝撃を与えるかもしれない。
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私の結論は「環境汚染とも都市化とも関係のないある種の生活習慣が西洋人の乳がんを増やしている」というものであった。
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乳がんと前立腺がんの発生率は西洋と東洋で大きく異なる。どうしてこんなに違うのか。遺伝(人種)の違いによるものではない。移民研究によれば、中国人や日本人が西洋に移住すると、1~2世代のうちに乳がんや前立腺がんの発生率と死亡率が西洋人と変わらなくなってしまう。さらに、香港で西洋人の生活様式を採り入れた中国人、あるいはマレーシアやシンガポールで西洋式生活を送る豊かな中国人の乳がんや前立腺がんの発生率も、西洋人の発生率に近づくことが知られている。
中国で乳がんは、俗に「富貴婦病=金持ち女の病気」と呼ばれていた。これは、開放経済前の中国では、金持ちだけが「香港食」を手に入れることができたからである。
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そのころの中国人は、アイスクリームやチョコレート、スパゲッティ、フェタチーズ(訳註"山羊や羊のチーズ)まで西洋風の食品をすべて「香港食」と呼んでいた。というのも、これらの食品は当時イギリスの植民地であった香港でしか手に入らなかったからである。このことからみても、乳がんや前立腺がんは遺伝要因によるものではなく、環境要因によるものであると言うことができる。そうだとすれば、これらの病気は予防可能である!
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乳がんと前立腺がんが日本に少ない(訳註"最近は増えている)という事実はきわめて重要である。日本は、イギリスや他の西欧諸国並み、あるいはそれ以上に工業化している。重金属による深刻な公害疾患が1950年代に発生した。たとえば、水俣病はメチル水銀で汚染された魚介類を食べることによって起こったし、イタイイタイ病はカドミウムで汚染された食品が原因であると言われている。しかも、1945年に、日本は原爆攻撃を受けた。それ以来、科学者は、広島と長崎で、放射能とがんの関係を詳細に研究してきた。しかし、この2つの地域の乳がんと前立腺がんの発生率は他の日本の都市とほぼ同じである。
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現在の日本の環境は、多くの面で欧米の工業国と似ている。それにもかかわらず、日本の乳がん死亡率はイギリスにくらべて著しく低い。このことは、両国のあいだに乳がんの発生に関して根本的な違いがあることを示している。だから、探し求めている3つ目のイチゴ(生活関連要因)が、東洋と西洋のあいだに昔からあった文化の違いにあると考えるのはいい線をいっている。獲物はすぐそこにいる!
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