人材を採用するとき、「労働条件通知書」と「雇用契約書」、どちらを用意すればよいのか迷われたことはありませんか?
名前は似ていますが、それぞれの書類には異なる役割があります。
この違いをしっかり理解しておくことで、労使間の認識のズレやトラブルを未然に防ぐことができます。
今回は、中小企業の経営者の方に向けて、それぞれの違いと整備のポイントをわかりやすく解説します。
●労働条件通知書とは?
まずは「労働条件通知書」から見てみましょう
労働条件通知書とは、労働基準法第15条に基づいて労働者に労働条件を明示するための書面です。
主な目的は、「最低限、どのような条件で働いてもらうのか」を明らかにすることにあります。
書面での通知が義務付けられている事項には、主に次のようなものがあります。
・労働契約の期間
・就業場所・従事する業務の内容
・始業・終業の時刻、休憩時間、休日など
・賃金の決定・計算・支払の方法、支払時期
・解雇に関する事項
・その他
これらは雇い入れの際に、原則として書面で交付することが法律で義務づけられています。
最近では電子メールやクラウドサービスなど、電子的な方法での交付も可能ですが、「出力できる状態」であることが条件です。
●雇用契約書とは?
一方の「雇用契約書」はどうでしょうか?
雇用契約書は、労働者と使用者が契約内容に合意したことを確認するための書面です。
雇用契約は、口頭でも成立するため法律上の作成義務はありませんが、労使双方の合意を明文化し、後々のトラブル予防に有効です。
署名・押印がされていれば、契約の存在を証明する重要な証拠にもなります。
万が一、「言った」「言わない」のトラブルが起きた際にも、この契約書があると心強いですね。
●労働条件通知書と雇用契約書、どちらが重要か?
違いを理解して、両方整備するのが安心です。
労働条件通知書は労働基準法で義務付けられている「通知」、つまり使用者が一方的に条件を示すものです。
一方、雇用契約書は「契約」、つまり労使が合意した証拠としての意味を持ちます。
「どちらか片方だけ用意すればよい」と考えがちですが、両方を用意することで、より安心して雇用関係を築くことができます。
たとえば、労働条件通知書で法定の明示事項を記載しつつ、契約書で会社独自のルールや合意事項を補足するなどの運用が可能です。
2つ準備するのが手間であり、時間がない方は、もっと簡易な方法として、書面のタイトルを「労働条件通知書兼雇用契約書」とし、余白に労働者の署名押印をもらっておく方法があります。
信頼される職場づくりの第一歩として、労働条件通知書と雇用契約書、この機会に一度見直してみてはいかがでしょうか?